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【追悼】「布袋さん、HYDEさん…ギタリストは僕にとってヒーロー」 本誌だけが知るギター職人・松崎淳氏が愛されていたワケ
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.02.12 11:00 最終更新日:2022.02.12 11:00
世界的ギタリスト・布袋寅泰のギターを手がけている「ゾディアックワークス」の代表、松崎淳氏が、2月6日、出張先の福岡で死去したことがわかった。
“伝説のギター職人” として知られる松崎氏。手がけた「G(ギタリズム)柄」の愛称を持つエレキギターは、布袋寅泰の代名詞だ。
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本誌は2020年、松崎氏の工房を訪れている。当時も松崎氏は、取材陣に目を向けることなく、1時間近くもギターのネックにやすりをかけていた。
工房の入口には、「G柄」のエレキギター。松崎氏は、やすりをかける手を止め、ふっと息をつきこう語った。
「布袋さんとは30年以上前、BOOWY時代からおつき合いいただいています。1992年にここを設立してからは、布袋さんのギターのカスタムメイドを始めました」
顧客には、布袋のほか、HYDE(ラルク・アン・シエル)、トータス松本(ウルフルズ)、前田亘輝(TUBE)、HISASHI(GLAY)など、日本を代表するミュージシャンがいた。
しかし、松崎氏が楽器メーカー・フェルナンデスから独立したときは、ほとんどゼロからのスタートだったという。
「当初は、あまり仕事はありませんでした。そんなとき、以前の僕の仕事を喜んでくれたムッシュかまやつさんが、所有するギターすべてのメンテナンスを依頼してくださったんです。それが終わると、『次は(吉田)拓郎のリッケンバッカーを見てね』と」
当時、月に50本をメンテナンスし、20~30本のカスタムメイドギターを制作していた松崎氏。音楽プロデューサーの織田哲郎も、そんな松崎氏を信頼するプロのひとりだった。
「彼は職人なのに、意見を押しつけてくる意固地な部分がなく、音に対するこちらの要望を、最大限に実現してくれる」(織田)
そう笑顔を向けた織田。そのときの依頼は、1979年製のフェンダー・テレキャスターのメンテナンス。織田は「上の音の抜けがよくない」という、わずかな違和感を訴えた。
「実際にギターを弾いていただき、その音を聴いたうえで、共通の “言語” を見つけて、サポートしていきます。今回は、配線やジャックを交換し、樹脂製のナットを牛骨製に替えました」(松崎氏)
織田のもとに、楽器が戻った。メンテナンス費用は、1万4000円だった。
「ギターは、絶えずメンテナンスしていかなければならないものだし、こちらからも常に要望が出る。それを聞いてくれるのが、彼なんです」(織田)
別の日、工房にギターを引き取りに来たのは、HOUND DOGで活躍した西山毅だった。近年はアニメ『進撃の巨人』主題歌でも知られる「Linked Horizon」のツアーにも参加。当時は、1986年製フェルナンデスのクリーニングを依頼していた。メンテナンス費用は5000円。
「松崎さんがフェルナンデスにいたころからだから、もう30年以上のつき合いです。今回も、ギターが15年くらい若返った印象ですね。人に『信頼できるギター職人はいないか』と聞かれたら、僕は必ず彼を紹介します」(西山)
松崎氏は本誌にこうも語っていた。
「ギターは、ギタリストにとっての “顔”。その立ち姿に合わせて、いちばんカッコよく見えるギターを作りたい。
彼らが望む音を実現し、ビジュアルでも、それを支えることができるなら嬉しいですね。ギタリストは、僕にとって、いつまでもヒーローであり、スターですから」
“ギター少年” としての熱意を絶やさなかった松崎氏。多くのギタリストの心の中で生き続けることだろう。
( SmartFLASH )