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菅田将暉『ミステリと言う勿れ』作品は素晴らしいが最終話だけ「50点」だった3つの理由

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.03.29 18:59FLASH編集部

菅田将暉『ミステリと言う勿れ』作品は素晴らしいが最終話だけ「50点」だった3つの理由

 

 率直に言って最終話だけで考えると50点。

 

 話題性があり、質や面白さもともなっていただけに、残念に感じた。

 

 3月28日に最終話(第12話)が放送された、菅田将暉主演の月9ドラマミステリと言う勿れ』(フジテレビ系)のことだ。

 

 単行本が10巻まで刊行され、累計発行部数1500万部を超える同名人気漫画の実写化。変わった性格ながら飛び抜けた観察力や推測力を持つ大学生・久能整(くのうととのう/菅田)が、事件の謎を解きつつ人の心をも解きほぐしていくという新感覚ミステリーである。

 

 

 世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話から最終話まで13.6%、12.7%、13.2%、13.3%、10.0%、10.2%、12.3%、10.6%、11.6%、12.0%、11.1%、11.2%と推移。

 

 最後まで二桁視聴率を死守し、全話の世帯平均視聴率は11.8%。また、見逃し配信サービス「TVer」で、1クール内の配信再生数が民放ドラマ歴代最高記録を更新しており、データ面でも堂々のヒット作と言える数字を残している。

 

■フジテレビの “続編作りたい” が見えすぎて萎えまくり

 

 筆者もこの作品が大好きだ。しかしだからこそ、最終話の内容にがっかりしてしまったんだと思う。

 

 とは言え、放送前から嫌な予感がビンビンにしていたのも事実。

 

 原作もチェックしているファンなら、最終話で描かれるのが原作のエピソード名で言うところの、「つかの間のトレイン」と「横浜連続殺人事件」の続きという時点で、筆者と同じような不安を感じていた方は多いはず。

 

 最終話は前半パートと後半パートに分かれていた。

 

 前半パートは、整が東京へ帰る新幹線のなかで、隣の女性客が読んでいた手紙に不穏なメッセージが隠されていることに気づき……というストーリー。新幹線内の会話だけで進行するワンシチュエーションものだ。

 

 後半パートは、第1話~第3話で描かれたバスジャック事件の主犯だった犬堂我路(永山瑛太)がメイン。彼の妹・愛珠(白石麻衣)の死の真相を確かめるべく、ある連続殺人犯から話を聞き、愛珠と恋仲だったと思われる相手を訪ねるという話。

 

 さて、そんな最終話。ドラマ全体で評するなら90点ぐらいあげたいが、この最終話だけで考えると50点といったところか。

 

 理由は3つあるのでひとつずつ挙げていこう。

 

 1つめは、主人公・整がメインの前半パートが、月9の人気ドラマのフィナーレとして考えると、こじんまりとしていて地味だったこと。

 

『ミステリと言う勿れ』らしいストーリーだったし、整のキャラクターの “味” も出ているので、個人的には好きな話だが、この地味なエピソードを最終話で持ってくるか? と思ったのが正直なところ。

 

 整というキャラクターが主人公を務める一連の物語の最終話としてジャッジすると、なんだかイマイチで減点ポイントだった。

 

 2つめは、後半パートのメインが我路だったこと。確かに我路は作中屈指の人気キャラだが、最終話後半に主人公を差し置いて彼のエピソードを描くのは、さすがにVIP待遇がすぎないだろうか。

 

 しかも、我路視点の物語がきれいに完結しているならまだしも、中途半端でモヤモヤしたままだったのも減点だ。妹の死の真相には彼女のカウンセラーが関わっている可能性が示唆されたのだが、そのカウンセラーは謎のまま登場しなかった。

 

 3つめは、続編を作りたいフジテレビの下心が、ミエミエすぎて萎えてしまった点だ。

 

 整はラスト1分30秒を切ったあたりでようやく再登場。ややネタバレになるが、ラストシーンを説明しよう。

 

 整が公園を歩いていると我路が突然目の前に現れ、「整君、君の協力が必要なんだ。一緒に行こう」と告げる。動揺する整が「どこへ?」と尋ねて終了。

 

 これは誰がどう見ても、続編への色気がムンムンだと感じるのではないか。続編を前提としていることが悪いとは思わないが、この最終話に高評価は与えづらい。

 

 今回の全12話を “ひとつの作品” としてきれいに終幕させようと思えば、いくらでもやりようはあったと思う。

 

 整がほのかに恋心を抱いていたライカ(門脇麦)との別れは第10話で描かれたが、これを最終話に持ってきてもよかっただろう。もしくは、2番手キャストである女刑事・風呂光聖子(伊藤沙莉)と整が、しっかりからむエピソードにしてもよかったかもしれない。

 

 我路をどうしても最終話に出したかったのなら、原作を多少改変してでも、整と我路の物語に決着をつけてもよかった。

 

 念のため断わっておくが、原作は非常に面白いし、ドラマも最終話以外は演出も素晴らしかったし、菅田をはじめとしたキャストの演技も最高だったと思う。

 

 けれど、最終話だけは、フジテレビの続編を作りたいという欲深さや計算が見えすぎて、ウンザリしてしまったのである。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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