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長澤まさみも新垣結衣も…「ギリ昭和生まれ」女優がテレビを席巻する理由「親がテレビっ子」「マンガ誌のグラビア経験」「自然体」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.04.15 06:00 最終更新日:2022.04.15 06:00
「食べるシーンがとても多いです! よく食べ、ズバズバしゃべります!」
4月11日にスタートしたフジテレビ系の月9ドラマ『元彼の遺言状』で、主演を務める綾瀬はるか(昭和60年生まれ)は放送前の記者会見でこう明るく話し、会場の笑いを誘った。
「上野樹里(昭和61年生まれ)が松重豊演じる父と2人で婚活をしていくドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系)は、彼女がヨガインストラクターを演じることで話題です。
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今春に出産予定の石原さとみ(昭和61年生まれ)は、NHKの新番組『あしたが変わるトリセツショー』で初のMCに挑戦しています」(芸能記者)
この春スタートする話題の新番組には、共通点がある。いずれも、昭和60年代生まれの女優が中心に据えられているのだ。昭和は64年1月7日で終わり、翌日から「平成」となったことで、彼女たちは「ギリ昭和生まれ」の女優たちといえる。
NHK大河ドラマ『鎌倉殿の13人』に出演している新垣結衣と秋元才加も、ともに昭和63年生まれだ。
ほかにも、昨年話題となったドラマ『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)の主演は戸田恵梨香(昭和63年生まれ)、『最愛』(TBS系)の主演は吉高由里子(昭和63年生まれ)、大ヒット映画『コンフィデンスマンJP 英雄編』の主演は長澤まさみ(昭和62年生まれ)……と、「ギリ昭和生まれ」女優のオンパレードだ。
これまで女優として目立った活動のなかった中村アン(昭和62年生まれ)も、TBSの日曜劇場に2作品連続で出演し、大きな話題になった。
彼女たちの世代について「デジタル世代の先っぽと、アナログ世代の尻尾をまたいでいる」と話すのは、コラムニストの桧山珠美氏。
「彼女たちの親世代は、昭和30~40年代生まれが多いんです。ここは、まさに『テレビっ子世代』。テレビが娯楽の王様で、いちばんキラキラしていた時代でした。
『昨日、あのドラマ見た?』と、学校での話題もテレビが中心だった世代に育てられているから、今の若者よりテレビに親しみを持っているんです。
そのため、女優という仕事について “志” を持ちやすいのでしょう。お茶の間という空間でテレビを見た、最後の世代であるとも思います」
■「身の丈に合った」ドラマで育った世代
昭和末期は、「W浅野」「ワンレン・ボディコン」などに代表されるトレンディドラマの最盛期。その後、バブル経済が崩壊し、平成初期にはより現実的なドラマが多く作られるようになった。今もフジテレビのドラマで最高視聴率の記録回を持つ『ひとつ屋根の下』(平成5年)などは、その代表だ。
世代・トレンド評論家の牛窪恵氏は、ギリ昭和生まれ世代が、こうしたリアリティのあるドラマに影響を受けてきたと話す。
「トレンディドラマは、主人公が都会のオシャレなマンションに住み、ブランド服を着こなすような物語が描かれてきましたが、平成に入ると、身の丈に合ったドラマが多くなりました。
形を変えながらも、平成の前半から半ばを通じてこの傾向は続き、『白線流し』や『ロングバケーション』(ともにフジテレビ系)が平成8年、『やまとなでしこ』(フジテレビ系)が平成12年、『Love Story』(TBS系)が平成13年、『電車男』(フジテレビ系)が平成17年の放送となっています」
都会の一人暮らしではなく家族と暮らす主人公、華やかな職業ではなく派遣社員、恋愛も、非日常ではなく周囲で起こりそうな展開……。若者向けドラマは憧れではなく、現実を描くものに変わっていった。こうしたリアリティのあるドラマを見て育った世代だからこそ、自分たちも自然体でいられることが、魅力につながっているという。
また、「アラフォー」に差しかかっても主演を務められる時代になったことも、彼女たちの活躍の大きな要因になっているという。
「それより前の世代の象徴というべき女優は、やっぱり山口百恵さん。彼女は21歳で結婚して、引退していますよね。吉永小百合さんも、結婚はしていますが出産はしていません。
かつては、女優という仕事は結婚したり、子供を産むため休みを取ったりすると、そこで仕事を失う、という可能性が高かったんです。
当時は男性中心で社会が考えられていましたから、恋愛ドラマのヒロインは、10代後半から20代前半までが当たり前。20代後半になると、2時間ドラマなどに活路を求めるしかなくなってくるわけです。
でも、今は年下の男性との恋愛ドラマだってたくさんありますよね。キャリアを求める女性が主人公の、お仕事ドラマもあります。彼女たちは30代になっても、主役を張れる環境が整ってきたんです」(桧山氏)