■マンガ誌のグラビアを飾ったことが影響も
結婚すると人気が落ちる、というのも過去の話。新垣結衣がいい例だと牛窪氏は話す。
「新垣結衣さんと星野源さんが共演した『逃げるは恥だが役に立つ』(TBS系)は、長く一緒にいることで情が湧くような、自然体の恋愛が支持されました。それが、お2人が結婚したことで現実になり、さらに新垣さんの好感度はアップしましたよね。
逆に、実業家の前澤友作さんとの交際が報道された剛力彩芽さんは、株を下げた印象もありますが…(笑)」
男性だけでなく、同性のファンが多いことも、「ギリ昭和生まれ」女優の特徴だ。
TBSが発掘オーディションをおこなって話題になった『私が女優になる日』では、多くの「女優の卵」たちが演技バトルを繰り広げたが、彼女たちの多くが「憧れの存在」として名前を挙げたのは、新垣結衣、長澤まさみ、吉高由里子といった面々だった。
「SNSの発達が大きいと思いますが、彼女たちの多くが、飾らない日常をオープンにすることで共感を呼んでいます。たとえば長澤まさみさんは、セレモニーなどで大胆に胸元が開いているようなドレスも着ますが、Tシャツにデニムも着こなします。
少し上の世代の篠原涼子さんや米倉涼子さん、天海祐希さんなどは “男前感” みたいなところを出すところが人気でしたが、今は、自然体で先輩として頼れて、さらに女子力も高い女優さんが人気なんです。
田中みな実さん(昭和61年生まれ)を『あざとい』『計算ずく』というのは簡単ですが、逆にいえば、それだけ陰では努力をしているということ。
多少あざとく見えても、努力してかわいいを実現しているところが評価される時代です。そんな女優さんの魅力を、今の若いコたちは自分の親世代とSNSで共有しています」(牛窪氏)
ちなみに、インスタグラムを駆使して人気だった木下優樹菜(昭和62年生まれ)も、ギリ昭和生まれだ。
「ダウンタウンの松本人志さんが、いろいろな番組やCMで重宝されているのは、いまテレビ番組のキャスティングを担当しているような人たちが、若いときに『この人と仕事したい!』と、松本さんを見てきた世代だから。
女優さんもそうで、彼女たちに憧れてきた世代が今、ドラマの現場に入っています。
『ギリ昭和生まれ』の女優さんは、マンガ誌のグラビアを飾った人も多いんです。『いつかは憧れの綾瀬はるかと仕事するぞ!』と思ってきた人がキャスティングをするから、彼女たちを主役に抜擢する、という側面もあるんです」(桧山氏)
X世代やZ世代など、ひとつの世代をまとめる言葉は多い。昭和生まれの最後となる彼女たちは、さしずめ昭和の「S世代」とでもいうところか。
「日本は超高齢社会。Z世代といわれても、大人たちはついていけないですよね。昨年の『紅白歌合戦』の低視聴率がいい例です。その点、たとえば綾瀬はるかさんは、広島出身ということもあり、毎年、夏に放送される原爆関連の特番に出演しています。あの真摯な姿を見ていると、年配の方には実の孫のように感じる人も多いはず。
ほかにもピアノのイメージが強い松下奈緒さん(昭和60年生まれ)や、割烹着の似合いそうな蒼井優さん(昭和60年生まれ)など、古きよき日本を思い出させてくれる女優さんがこの世代には多いんです。
下だけでなく、上の世代からも支持が高いですから、しばらく彼女たちのポジションは安泰ですよ。『綾瀬はるか』という会社の株があったら、買いたいくらいです(笑)」(桧山氏)
S世代の時代は、まだまだ続きそうだ。