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木村拓哉『未来への10カウント』相変わらずの “キムタク節” がイタいのも計算どおりか

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.04.21 11:00 最終更新日:2024.07.23 13:37

木村拓哉『未来への10カウント』相変わらずの “キムタク節” がイタいのも計算どおりか

 

 最新作で木村拓哉が見せたのは、やはり “キムタク節” だった。

 

 ここまで貫くと、もはやこの “キムタク節” は、歌舞伎や落語といった古典芸能の域なのではないかと思うほどだ。

 

 嫌味ではない。ここまでくると本当に感嘆する。

 

 先週木曜にスタートした木村主演の『未来への10カウント』(テレビ朝日系)。

 

 高校時代にボクシングで4冠を達成していた元天才ボクサー・桐沢祥吾(木村)は、大学時代に網膜剥離でボクシングを引退。

 

 

 その後、最愛の妻を亡くしたこともあり、「いつ死んでもいい」と自暴自棄な生活を送っていた。仕事はピザ店のデリバリーバイトだ。

 

 そんな桐沢を心配した高校ボクシング部時代の親友や監督が、なかば無理やり、彼を母校の臨時コーチに就任させる。

 

 約30年ぶりに母校のボクシング部に戻った桐沢だが、母校は昔と違って進学校に様変わりしており、ボクシング部は部員数が足りずに廃部の危機。

 

 しかし部を再興させたいと奮起する部長・伊庭海斗(King & Prince・髙橋海人)らの熱意に動かされ、桐沢は伊庭と公開スパーリングをすることに……というのが第1話のストーリー。

 

■20年以上前から十八番の “自然体な若者演技”

 

 本作の脚本家は、木村の代表作『HERO』シリーズ(フジテレビ系/2001年、2014年)でタッグを組んだ福田靖氏ということでも注目されていたが、冒頭でお伝えしたとおり、今作の木村もお馴染みの “キムタク節” だったのである。

 

 低い声でボソボソとしゃべって、一見するととてもクールだが、実は内に熱いものを秘めている――という例のアレだ。“キムタク節” は “自然体な若者演技” とも言い換えられるかもしれない。

 

『HERO』をはじめ、『若者のすべて』(1994年/フジテレビ系)、『ロングバケーション』(1996年/フジテレビ系)、『ラブジェネレーション』(1997年/フジテレビ系)、『ビューティフルライフ』(2000年/TBS系)といった往年の木村主演ドラマを観たことがある人ならば、そのときの彼の演技のフォーマットを思い出してもらえれば、わかりやすいと思う。

 

 ドラマごとに設定も性格も異なるので、もちろん演じ分けされているのだが、木村の演技に通底しているものがあることは、多くの方々の共通認識ではないだろうか。“何を演じてもキムタク” と心ない揶揄が飛び交ってしまったのも、そのためだろう。

 

■木村は “キムタク節” を封印することもできる

 

『未来への10カウント』でも “キムタク節” は健在。主人公・桐沢は48歳で木村の実年齢(49歳)に近い設定だが、劇中の桐沢の言動はよくも悪くも若々しい。

 

「マジか」といった若者言葉をたびたび発しているし、校長室には不貞腐れたようにポケットに手を突っ込んだまま入ってくる。対面した校長(内田有紀)が高校時代の後輩だとわかると、馴れ馴れしく「お前」呼び。ボクシング部の現役高校生たちの前では、やる気のない態度で口数少なく不愛想。

 

 20年以上前から十八番にしている “自然体な若者演技” を、アラフィフになった今なお続けているのである。

 

 10年、20年と役者業を続けていくために、歳に合わせて演技を中年仕様に変えていく俳優が多いなか、木村はブレていない。

 

 とは言え、木村も演技の質を変えることもあるので、厳密に言うと、“キムタク節” が帰ってきた、と言うべきか。

 

 木村が白髪の役を演じたことで話題になった、2020年と2021年の1月に放送されたスペシャルドラマ『教場』シリーズ(フジテレビ系)。

 

 この『教場』をはじめ、いくつかの作品で “キムタク節” を抑えた大人の演技で魅せているため、やろうと思えば封印することもできるのだ。けれど『未来への10カウント』では、あえてまた “キムタク節” を披露している。

 

■ダサくてイタいのは最終回に向けての布石か?

 

 仮に、今の20代俳優たちに、アラフィフになっても若者演技をし続けてくださいと言っても、できない俳優のほうが圧倒的に多いのではないだろうか。いや、もしできたとしても、木村のように第一線で活躍を続けられないのではないか。

 

 真似しようとしてできるものではない。だから、もはや “キムタク節” は古典芸能の域なのだ。

 

 正直な感想を言うと、第1話を観るかぎり、主人公・桐沢はめちゃくちゃダサくてかっこ悪い大人だった。

 

 フリーターで食いつなぎ、クールぶって誰に対しても不貞腐れた態度で、「マジか」「お前」といった若者言葉を連発するアラフィフ。

 

 ……ダサいをとおり越して、イタい。“キムタク節” がめちゃくちゃ悪い方向に作用していると感じた。

 

 だが、それは木村と脚本家・福田氏の計算どおりなのではないだろうか。

 

『未来への10カウント』は、タイトルにあるように未来を見据えた物語。木村演じる桐沢の人間としての再起を描いていくはずだ。

 

 つまり、第1話で徹底的にダサく痛々しく見せておくほど、最終話でめちゃくちゃかっこいい主人公を描いたときのギャップが際立ち、カタルシスが得られるわけである。

 

 ――先週放送の第1話の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)は11.8%と、これまでの木村主演のドラマと比べると低調。

 

 けれど最終話に向けて、これからどんどんかっこよくなっていく桐沢が見られるだろうから、視聴率も右肩上がりしそうな予感である。

 

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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