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上野樹里『持続可能な恋ですか?』安易な胸キュンが控えめで好印象、40代以上の大人も観たほうがいい

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.04.26 11:00 最終更新日:2022.04.26 11:00

上野樹里『持続可能な恋ですか?』安易な胸キュンが控えめで好印象、40代以上の大人も観たほうがいい 

 

 今回の火曜ドラマは、久しぶりにオジサンが観ても楽しめる作品になっている。

 

 先週スタートした上野樹里主演の火曜ドラマ『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系)。

 

 2年前に母を亡くした主人公・沢田杏花(上野)は、父・林太郎(松重豊)と2人暮らし。結婚願望の薄い娘がいつまでも結婚できなさそうなことを憂えた父の提案で、父娘そろって婚活を始めるという物語だ。

 

 

 要するに、娘の恋愛と父の恋愛の両輪で展開させていくドラマ。娘のお相手であるバツイチのシングルファーザーを田中圭、もう一人のお相手である18年ぶりに再会した幼馴染を磯村勇斗。父のお相手である整形外科医を井川遥。父娘とお相手3人、計5人が主要キャラとなっている。

 

■近年の火曜ドラマは若い女性向けになっていた

 

『持続可能な恋ですか?』はTBS系で火曜22時から放送されているが、この放送枠の代表作と言えば『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)で、恋愛ドラマのヒット作を量産している。

 

 特に2020年以降は、『恋はつづくよどこまでも』(2020年)、『この恋あたためますか』(2020年)、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(2021年)、『婚姻届に判を捺しただけですが』(2021年)、『ファイトソング』(2022年)など、若い女性視聴者をターゲットとしているであろう恋愛ドラマが続いていた。

 

 筆者は40代のオジサンであるが、恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラーという肩書で仕事をしているぐらいなので、元来、恋愛ドラマ好き……なのだが、さすがにこの歳になると、2020年以降の火曜ドラマ作品は、胸キュンさせることを目的としたシーンの連続なので、正直、胸焼け気味。

 

『逃げ恥』は脚本や演出、役者の演技が秀逸だったため、胸キュンシーンが詰め込まれていても楽しく視聴できたが、『逃げ恥』ほど全方位でクオリティが高い恋愛ドラマはなかなか出てこないのだ。

 

 まあターゲット外のオジサンから「面白くない」と評されたところで、制作陣やファンは痛くも痒くもないだろうが、とにかく中年男性の琴線に触れる作品はめっきり少なくなっていた。

 

■安易かつ露骨な胸キュンが控えめで好印象

 

 さて、今回の火曜ドラマである『持続可能な恋ですか?』だが、第1話を観た限りでは『逃げ恥』のような神作になる予感はあまりない。

 

 だが、現在35歳で、NHK大河ドラマの主演経験もある上野がメインというだけあり、仕事観や結婚観など大人が直面する人生の苦悩が丁寧に描かれている。一方で安易かつ露骨な胸キュン狙いの演出は控えめ。これはオジサン視聴者としては好印象となる。

 

 また、上野演じる主人公が田中演じるシングルファーザーと会話するなかで、タイトルの由来にもなっているであろう、次の言葉を言っていた。

 

「たとえ長く結婚していても、永遠の愛なんてないのかもなぁって。夫婦でも、どっちかの好きが続くことはあるけど、お互い同じ気持ちで居続けるのは難しい」

 

 恋愛・結婚における真理を突いているのではないかと唸らされ、考えさせられるテーマだとも感じた。

 

 これは20代以下の若者にはなかなか実感を持って理解するのは難しいだろうが、逆に40代以上の方なら、実体験も重なって切実に痛感する人は多いかもしれない。

 

■亡き母が父に残していた離婚届の本当の理由

 

 ちなみに筆者が一番グッときたのは、松重演じる父が、亡き妻が書いていた離婚届を見つけてしまう一連の展開。2年間、ずっとできなかった遺品整理で、妻が記入済の離婚届を発見してしまう。相思相愛だと思っていただけに大きなショックを受けるが、父はそれをきっかけに一念発起してダブル婚活を始めるのだ。

 

 しかし、第1話終盤で離婚届と一緒に、妻からの手紙も入っていたことがわかる。「よかった。この手紙を見つけてくれたってことは、私の遺品整理ができるくらい落ち着いたってことかな」という書き出しで始まっていた。

 

 手紙は妻が死の間際に書いたもので、父への変わらぬ愛と、ずっと幸せだったという感謝の気持ちが綴られていた。そして、自分のことを引きずらず、新たな結婚相手を見つけてほしいという願いが書かれていたのだ。

 

 まだ手紙の存在を知らないでいた父は、カラ元気で痛々しく、ネガティブなきっかけで始めた婚活に頑張る姿は切なかった。このまま根底に鬱々とした感情を抱えながら物語が進むのかと思っていたので、最後に父の婚活に前向きなモチベーションが与えられ、明るくほっこりした気持ちで初回を観終えることができた。

 

 ――第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は8.9%。今夜放送の第2話以降で、若い女性層だけでなく40代以上の大人層も取り込んでいければ、視聴率は右肩上がりになっていくのではないだろうか。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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