日本たばこ産業(JT)のCM「想うた」シリーズを、ご覧になったことがあるだろうか。俳優の北村匠海(たくみ)演じる主人公が、四国から上京して、新社会人としての生活に追われていくさまが描かれている。その中で、このようなエピソードのCMがある。
初めてだらけの仕事をこなし、余裕のない日々。地元の両親からは、「ちゃんと食べよる?」と心配のLINEが飛んでくる。そんななか、地元から、みかんやお菓子などが詰め込まれた小包が届く。なかには、母からの手紙が入っていた――。
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「元気にしよる? いつ帰ってきてもエエけんね 体に気をつけて 母より」
母の気遣いが染みる素敵なシーンだが、ふと気になった人はいないだろうか。LINEや手紙、メールなどを送るときの書き言葉で、方言は使うものなのだろうか?
気になった本誌が100人を対象にアンケートを取ってみたところ、結果は意外と拮抗。「地元の親・友人にLINEや手紙を送るとき、地元の方言を使いますか?」との質問に、「使う」と答えたのは44人、「使わない」と答えたのは56人だった。
それぞれの理由についても尋ねたところ、こんな回答が返ってきた。
【使う派】
・意識していないが出てしまう
・特に意識していないので、標準と方言のゴチャ混ぜ
・堅苦しくならないようにするため。簡潔に語尾だけ方言を使う
・故郷を離れた友人に手紙を書くとき、ちょこっと書きます
・方言は誇りだから
【使わない派】
・大学からずっと東京に住んでいたことで、方言はまったく使用しなくなった
・書き言葉だと、方言で打ち込むのはかえって面倒
・メールで用件を伝えるために方言を使う必要性はない
・みっともないから
ネットが広まるにつれ、ブログやSNSなど「話すように書く」機会も多くなってきた。その影響もあってか、書き言葉で方言を使う傾向は、近年、強くなっているという。言語学者の金田一秀穂さんはこう語る。
「方言を書き言葉でも使う傾向は、比較的、最近のものです。親しさを表すやり方として、いいのではないでしょうか。とくにスマホのメールでは、『電気文字』の冷たさを回避する手段として、アリだと思います。
ただしフォーマルな場合(複数の受け手や、誰が読むかわからないような場合)は、避けたほうが無難です。とはいえ、私的な場面では言葉は自由なので、どんなやり方でもいいと思いますよ」
時代の移り変わりとともに、メッセージの伝え方も変化しつつある。瞬時に地元の仲間とやり取りできる環境だからこそ、方言の温かみは大きいのかもしれない。
( SmartFLASH )