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『持続可能な恋ですか?』上野樹里の恋愛はイラッとするが、父の “最後の恋” は見応え十分

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.05.24 11:00 最終更新日:2022.05.24 11:00

『持続可能な恋ですか?』上野樹里の恋愛はイラッとするが、父の “最後の恋” は見応え十分

 

 ヒロインの恋愛パートは “ムズキュン” ならぬ “ムズイラッ” になってしまっているが、ヒロインの父の恋愛パートはなかなか奥が深い。

 

 上野樹里がヒロインを務める『持続可能な恋ですか?~父と娘の結婚行進曲~』(TBS系)。先週火曜に第5話が放送された。

 

 2年前に母を亡くした主人公・沢田杏花(上野)は、父・林太郎(松重豊)と2人暮らし。娘がいつまでも結婚できなさそうなことを憂えた父の提案で、父娘そろって婚活を始めるという物語だ。

 

 

 杏花のお相手役はバツイチのシングルファーザー・東村晴太(田中圭)と、18年ぶりに再会した幼馴染・不破颯(磯村勇斗)。父のお相手役は整形外科の女医・日向明里(井川遥)となっている。

 

■娘の恋愛パートは “ムズイラッ”

 

 颯は杏花にストレートな恋心を抱いてアタックしていくが、杏花は晴太と惹かれ合う。しかし、なかなか素直になれず、じれったい展開が続いているのだ。

 

 第4話のラストで、晴太が杏花への想いを抑えきれず突然抱きしめるが、ちょうどその様子を颯に目撃されてしまい、慌てて離れて進展はせず。

 

 第5話のラストでも、晴太と杏花は引き合うようにキスしていたが、公式サイトの第6話(今夜放送)のあらすじによると、キスをしたのに、結局、何事もなかったかのようになるらしい。

 

 杏花は晴太への恋心にわりと素直に従って動いているものの、晴太のほうが自身の境遇や颯に気を遣って、踏み切れていない感じ。

 

 ところで、昨今はもどかしい恋愛展開を “ムズキュン” と呼び、視聴者を惹きつける手法として一般的になっている。けれど、もどかしさにも、“いいもどかしさ” と “悪いもどかしさ” がある。晴太の言動は後者に見えてしまうのだ。

 

 40代男性である筆者の個人的な感想で言うと、晴太の煮え切らない態度で曖昧な関係が続き、杏花が苦しんでいるため、“ムズキュン” ならぬ “ムズイラッ” になっている気がする。

 

■父の恋愛パートは本人想定外の “最後の恋” で深イイ

 

 このようにヒロインの恋愛パートは悪い意味でのじれったさを感じてしまうのだが、父の恋愛パートは “最後の恋” を丁寧に描いている。

 

 第1話で父・林太郎が妻の遺品を整理していると、妻が書いていた離婚届を見つけてしまう。だが、そこには妻からの手紙も入っており、林太郎への変わらぬ愛と、ずっと幸せだったという感謝の気持ちが綴られていた。

 

 そして、自分のことを引きずらずに新たな結婚相手を見つけてほしいという願いが書かれていたのだ。

 

 林太郎が婚活するモチベーションは主に2つ。再婚をして娘に心配をかけないようにすること。亡き妻の最後の願いを汲んであげること。どちらも自分軸ではない。

 

 第2話以降、特に林太郎にとって後者の意味合いは強くあっただろう。林太郎は妻が亡くなってから抜け殻のようになってしまうほど妻を愛していた。要するに、彼は亡き妻が自分の “最後の恋” の相手だと思い込んでいたのだ。

 

“最後の恋” の相手からの最後のお願いを叶えるのが、彼のモチベーション。正直言って、そんな動機で婚活をするのは、婚活パーティーやお見合いで出会う他の女性たちに失礼かとも思うが、実際、林太郎はそういうスタンスで臨んでいたと思う。

 

 しかし、くしくも本当の “最後の恋” のお相手・明里と出会い、仲を深めていく。亡き妻のお願いを汲んだ婚活で、本当の “最後の恋” が始まる――それが林太郎の物語なのである。

 

「会いたいと思える人と会える今を、大切にしたいと思いまして。……報われることのない想いではありますが、それでも会いたいと思えるような」

 

 これは林太郎が第5話後半で語った言葉。会いたい人というのは明里のことなのは明らかで、つまり自分の “最後の恋” を自覚したことを示唆していた。

 

 人間は “自分のことは自分が一番わかっている” と思いがちだが、そんなことはないのだ。林太郎はそれまで “最後の恋” の相手は亡き妻だと信じて疑わなかったのだろうが、自分でも想定外の感情が生まれた瞬間だったはず。

 

 予測不能だからこそ人生は面白い――そう思わせてくれる美しいストーリー。

 

 本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話から第5話まで8.9%、7.6%、7.2%、7.7%、7.5%と低空飛行。それはヒロインの恋愛パートがいまいちだからかもしれないが、父の恋愛パートは見応えがある。今夜放送の第6話でも父と女医の恋の行方に注目したい。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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