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永野芽郁『ユニコーンに乗って』脇はいいのにイマイチ感…女社長ドラマの「量産されすぎ」問題

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.07.12 11:00FLASH編集部

永野芽郁『ユニコーンに乗って』脇はいいのにイマイチ感…女社長ドラマの「量産されすぎ」問題

 

 魅力的なキャラはいるものの、第1話を観た限りではドラマ全体が突き抜けて面白いという雰囲気はない。また、いろいろな意味で既視感が多い設定なので、食傷気味にも思える。

 

 TBS火曜22時の「火曜ドラマ」枠で先週スタートした『ユニコーンに乗って』のことだ。第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は8.7%。

 

 

 今のご時世、世帯平均視聴率がかつてほど重視されていないのは百も承知。だが『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年)、『私の家政夫ナギサさん』(2020年)、『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』(2021年)などのヒット作を生み出してきた「火曜ドラマ」としては、8%台のスタートは少々寂しい数字である。

 

 しかも、昨年、戸田恵梨香とのダブル主演で、『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(日本テレビ系)をヒットに導いた永野芽郁が主演なだけに、期待値も大きかったのだが……。

 

■西島秀俊と広末涼子の役はキャラ立ちしていて魅力的

 

 まずは『ユニコーンに乗って』第1話をざっくりと振り返っておこう。

 

 本作の主人公は、自ら起業した教育系企業「ドリームポニー」のCEOを務める26歳の成川佐奈(永野)。自社を “ユニコーン企業” (設立10年以内で、評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業)にすることを目指す佐奈の、仕事と恋愛を描いていくドラマ。

 

 佐奈の恋愛相手となりそうなのが、佐奈とともに「ドリームポニー」を立ち上げた創業メンバーである須崎功(杉野遥亮)と、「ドリームポニー」に新入社員として入社してきた中年サラリーマン・小鳥智志(西島秀俊)だ。

 

 また、佐奈が高校時代から憧れている存在で、起業のきっかけになった有名女性起業家・羽田早智(広末涼子)は、第2話以降で小鳥との仲が接近していくようなので、恋愛模様にからんで来るだろう。

 

 筆者視点で言うと、第1話でキャラクターとしていい味を出していたのが、西島演じる小鳥と広末演じる羽田だった。

 

 小鳥は26年間勤めていた地方銀行で支店長にまでなった人物なのだが、とにかく謙虚。「ドリームポニー」は若い社員ばかりだが、偉ぶるでも卑下するわけでもなく、フラットに柔和なのだ。

 

 穏やかな性格ながら前向きなバイタリティーにあふれていて、非常に好感が持てた。説教オヤジや老害ジジイの対極に位置するようなキャラで、令和の時代に一番モテる中年は、この小鳥のようなタイプなのだろうと感嘆したほど。

 

 羽田は、ただのアパレル店員だった頃に一念発起して起業し、ファッションのECサイトで “ユニコーン企業” にしたという人物。羽田が主催したプロジェクトに「ドリームポニー」は応募するも落選してしまうのだが、理由を聞きに佐奈がアポなしで羽田を訪ねたシーンは見ものだった。

 

 羽田は、佐奈が目指す市場は儲からないと指摘しただけでなく、「女性の起業家が少ないからって目をかけてもらえるとでも思った?」「あなたはいつも自分の生い立ちをウリにして、周囲からの同情を買っているわね」と非常に手厳しい。

 

 この手のお仕事&恋愛ものドラマでは、立場が上の人間が理不尽に主人公を苦しめるというシーンは多い。が、この羽田による佐奈へのフルボッコはド正論ばかりで、佐奈の甘さを看破してガチの現実を突きつけたため、むしろ爽快だった。

 

■アメリカ映画と酷似、女社長ものドラマは食傷気味…

 

 だが、そんな惹かれるキャラが脇を固めている一方で、肝心の主人公である佐奈の魅力がまだいまいち描かれていない印象。そのため、つまらなくはないが突出して面白いとも思えない第1話となっていた。

 

 さらに既視感が多いことも、このドラマを視聴してみようと思わせる吸引力の弱さにつながっているのかもしれない。

 

 まずこの『ユニコーンに乗って』は放送前から、アン・ハサウェイとロバート・デ・ニーロの共演で人気を集めた映画『マイ・インターン』(2015年)との類似性が指摘されていた。

 

『マイ・インターン』はオンラインサイトのCEO(アン・ハサウェイ)の会社に、シニア・インターンとして40歳以上も年上の部下(ロバート・デ・ニーロ)が雇われるという設定。CEOは当初、年上の部下になにかとイラつきながらも、徐々に彼の的確な助言を頼るようになっていく……というストーリーだ。

 

 このあらすじを聞けば、『ユニコーンに乗って』が『マイ・インターン』に似ていると言われるのも納得だろう。

 

 余談だが、「火曜ドラマ」では昨年1月期に『オー!マイ・ボス!恋は別冊で』を放送したが、こちらもアン・ハサウェイの主演映画『プラダを着た悪魔』(2006年)に酷似していると話題に。「火曜ドラマ」はアン・ハサウェイへ相当強い憧れでもあるのだろうか。

 

 また、そこまでの類似性はないものの、国内では昨年から今年にかけて女社長が主人公のドラマが量産されている。

 

 昨年7月期放送の比嘉愛未主演『推しの王子様』(フジテレビ系)、昨年10月期放送の江口のりこ主演『SUPER RICH』(フジテレビ系)、今年1月期放送の高畑充希主演『ムチャブリ! わたしが社長になるなんて』(日本テレビ系)は、すべて女社長が主人公。ドラマファンたちもさすがに食傷気味に違いない。

 

 ――主人公がもっと魅力的に描かれ、過去の映画やドラマと明確な差別化ができれば、視聴率も上向いていくかもしれないが……今夜放送の第2話以降に期待しよう。

 

●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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