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『競争の番人』杏の見せ場が少なく…坂口健太郎が “普通の変わり者” に見えてしまった皮肉

エンタメ・アイドル 投稿日:2022.07.18 11:00FLASH編集部

『競争の番人』杏の見せ場が少なく…坂口健太郎が “普通の変わり者” に見えてしまった皮肉

 

 “変わり者の天才” というありきたりな主人公像。公正取引委員会の活躍を描くという切り口は目新しいのだが、手垢のついたキャラクター造形でどこまで面白くできるか……。

 

 先週月曜から放送開始した月9ドラマ競争の番人』(フジテレビ系)は、独占禁止法に関わる違反行為を取り締まる行政機関「公正取引委員会(公取委)」が舞台という異色のドラマだ。

 

 

 第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は11.8%と好スタートを切っており、月9作品の第1話としては15作連続で二桁視聴率だという。本作と月9ブランドへの視聴者の期待値の高さが伺えるだろう。

 

■公正取引委員会という切り口は面白いが…

 

 本作は坂口健太郎のダブル主演。

 

 坂口が演じるのは弱冠20歳で司法試験に合格し、東大法学部を首席で卒業したというエリートで、あえて公取委に就職した審査官。独特の視点や鋭い洞察力を持っているが、飄々としており、急に斜め上の想定外の行動に出る変わり者。

 

 杏が演じるのは男勝りな性格の元刑事で、捜査中のミスを問題視されて公取委に異動してきた新人職員。頭で考えるよりも体が先に動くといった実直で感情のままに行動するタイプで、バディとなる坂口演じる審査官に振り回される役どころ。

 

 そんな正反対な2人が、企業の不正を暴いていくというストーリーである。

 

 公取委と言えば不正が疑われる企業に家宅捜索に入り、ダンボールに入った押収資料を運び出す姿が、実際のニュース番組でたびたび映し出されている。

 

 そのため公取委という組織の存在を知っている人は多いだろうが、具体的にどういった活動をしている組織なのかはあまり知られていないため、題材としては非常に面白い。

 

 けれど、主役2人のキャラクターがオーソドックスすぎるというのが、第1話を観た際に率直に感じた懸念点だった。

 

■普通の変わり者に見えてしまった

 

 第1話を観る限りだが、ダブル主演と言いつつ、杏が演じる新人職員は坂口演じる審査官の引き立て役に見えた。役者としての格は杏のほうが上だと思っていたので、まずはそのバディの関係性が意外だった。

 

 また、“杏の無駄遣い” とまでは言わないが、感情のままに行動する肉体派の元刑事というあまりひねりのないキャラクターは、演技巧者の彼女には役不足ではないか。

 

 一方、杏が助演のようになっているため、実質的な単独主演のようにも見えた坂口演じる審査官は “変わり者の天才” タイプ。だが、その主人公像を見て、こういったエンタメ作品のマンネリを象徴しているように感じてしまったのである。

 

 たとえば最近の月9作品を振り返っただけでも、今年1月期の『ミステリと言う勿れ』で菅田将暉が演じた主人公や、昨年10月期の『ラジエーションハウスII ~放射線科の診断レポート~』で窪田正孝が演じた主人公はその類型だ。

 

 現実社会では変わり者の天才は稀有な存在なわけだが、ことエンタメ作品においては、“変わり者の天才主人公” は “普通の量産型主人公” になってしまうリスクがある。

 

 坂口演じる “変わり者の天才” は今のところ演技でも脚本でも、普通の変わり者に見えてしまい……。菅田や窪田ぐらいの演技力が坂口にあればまた違うのかもしれないが、飛び抜けてキャラが立っているわけではなく、残念ながら量産型主人公に思ってしまった皮肉。

 

――月9作品は15作連続で二桁視聴率スタートと一見好調。だが、前クールに放送された綾瀬はるか主演『元彼の遺言状』や、一昨年放送された織田裕二主演『SUITS/スーツ2』など、初回は二桁視聴率だったが失速して最終話は一桁台という例もある。

 

『競争の番人』は今夜放送の第2話以降、好調をキープし続けられるか。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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