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50代最後の年を過ごす加藤雅也 俳優デビューで感じた「悔しさと情けなさ」…プロデューサーからの助言が価値観変えた

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.07.31 11:00 最終更新日:2022.07.31 12:10

50代最後の年を過ごす加藤雅也 俳優デビューで感じた「悔しさと情けなさ」…プロデューサーからの助言が価値観変えた

パリコレに出演したころの加藤雅也

 

 1988年、初出演映画『クレイジーボーイズ』で主役を射止めた。周囲は加藤を「華やかなスタートを切った」と見ていた。

 

「幸いにもいいデビューをさせていただき感謝しています。ただ、当時から僕には圧倒的に俳優をやるための経験がないことも自覚していました。いきなりヘリコプターに乗せてもらい、富士山の頂上に降ろしてもらったようなものです。麓から一歩一歩登ってくれば、途中にどんな花が咲いていたかを知り、それが知識や経験として蓄積されていきます。でも、僕にはそれがなかったんです」

 

 加藤は「経験していないその一歩を埋めなければいけない」と思った。埋めるためのひとつの方法として、1995年に渡米。演技や英語の勉強をした。そこで、あるプロデューサーから助言を受ける。衝撃的だった。

 

「その方に『アカデミー賞を獲ったとしても、そんなのはたまたま作品に恵まれただけさ。(受賞の)過去を語っても意味ないよ。大事なことは次に何をやるか。それから何歳になっても俳優でいることなんだ。マサ、そのためにはとにかく多くの作品に出ることだ』と言われました。

 

 僕は出演という経験を重ねることが、演技をするうえでさまざまな判断を下せることにつながると確信したんです。そのお店の、どの料理が美味しいか気づくには、多くの料理を食べた経験がないと判断できないことと同じです」

 

 帰国後、加藤は出演時間がどんなに短くても声がかかれば出演依頼を受けた。断わらないと言ったほうがいいかもしれない。

 

「2015年に公開された『罪の余白』という映画があります。僕は、わずかワンシーンの出演でした。だけど、その年の『キネマ旬報ベスト・テン』の助演男優賞候補に推してくださった評論家がいらしたんです。『あの短い出演の演技を見ていてくださったのか』とすごく嬉しくなりましたね。

 

 ある脚本家の方には、こんなことも言われました。『主演の台本には大きな木の絵が描かれている。短い出演の役者さんの台本は一枚の葉っぱの絵が描かれている。この葉っぱの絵から木の全体像を作り上げるのが、本を渡された役者さんの仕事なんです』と。

 

 この言葉は、作品に対して僕は何をやらなければいけないか、を考えるきっかけになりました。だから僕は、どんなに小さな役でも『演じること』が楽しいんです」

 

 公開中の映画『キングダム2 遥かなる大地へ』では、興行収入57億円を突破した前作(2019年)に続き、肆氏(しし)役で出演している。

 

「前作もそうでしたが、とにかく大作です。肆氏は自分が理想とする上司像をまっとうする人につきますが……。
 いろいろ言っちゃうとネタバレになりますから、このくらいで勘弁してください。役作りですか? 『孫子の兵法』を読み込みました(笑)」

 

 今年は、50代最後の年になる。

 

「そうか、来年は60歳か。あまり人には言いたくないですね。このごろ、進化は変化だと思っていて。そのためには発想を転換することが必要だと感じています。だから新しいことに挑戦したい。

 

 映画監督? 僕がメガホンを取ったら(失敗して)資金を出してくださった方に迷惑をかけちゃいます(笑)。

 

 でも、若い俳優さんと演技のディスカッションはおおいにしたいです。伝えたいことがたくさんあります。その方法として、監督というのはあるのかもしれませんね」

 

 加藤は言う。

 

「人は好きなことを仕事にするよりも、得意なことを仕事にしたほうがいい。逆に言えば、好きなことが得意なことになればThat’s the bestです」と。

 

かとうまさや
1963年4月27日生まれ 奈良県出身 大学在学中にモデル活動を開始し、東京コレクション、パリコレクションを経験。1988年、映画『クレイジーボーイズ』で俳優デビュー。1995年から活動拠点をロサンゼルスに移し、ハリウッド映画『GODZILLA』にも出演した。1919年には奈良市観光特別大使就任。レギュラー番組は奈良テレビ『加藤雅也の角角鹿鹿』、Fm yokohama『BANG BANG BANG!』など

 

【六本木 シシリア】
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写真・野澤亘伸

 

( 週刊FLASH 2022年8月9日号 )

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