『ユニコーンに乗って』永野芽郁の恋愛観にモヤモヤが止まらない…言動ブレブレで自己チューすぎ？　

 

　主人公の恋愛観がある意味リアルで、リアルすぎるゆえにモヤモヤする……。

 

　先週火曜に第6話が放送された永野芽郁主演『ユニコーンに乗って』のことだ。

 

　世帯平均視聴率（※ビデオリサーチ調べ／関東地区）は第1話から第6話まで8.7％、8.3％、7.8％、8.2％、7.8％、7.0％と推移。『逃げるは恥だが役に立つ』（2016年）や『私の家政夫ナギサさん』（2020年）といったヒットドラマを生み出した「火曜ドラマ」枠の作品と考えると、やや寂しい数字となっている。

 

【関連記事：永野芽郁「1社3000万円」のCMが11社…ランチ5000円の高級火鍋へ】

 

　その要因は、永野演じる主人公にいまいち共感しきれないからではないだろうか。

 

■告白してきた杉野遥亮を突き放しておきながら……

 

　本作は、自ら起業した教育系企業「ドリームポニー」のCEOを務める26歳の成川佐奈（永野）が主人公。貧しい家庭に育った佐奈は「すべての人が平等に学べる場所を作る」という理念を掲げ、自社を “ユニコーン企業”（設立10年以内に評価額10億ドル以上の非上場ベンチャー企業）にすることを目指す。

 

　佐奈とともに「ドリームポニー」を立ち上げた創業メンバー・須崎功（杉野遥亮）は彼女に片想いしており、一方で佐奈は新入社員として入社してきた中年サラリーマン・小鳥智志（西島秀俊）が気になる様子。こうして佐奈の仕事と恋愛が描かれるドラマとなっている。

 

　第6話は功が佐奈に「好きだ」と告白するシーンから始まった。だが佐奈は「人としてってことだよね？　あぁ、もうびっくりした。急に変なこと言わないでよ。だってほら、あのルール（社内恋愛禁止）。ルールは守らなきゃだもんね。それに私たちは最高のビジネスパートナーなわけだし」と功の気持ちをかわすのだった。

 

　それから佐奈と功は、同僚たちにも即バレするぐらい気まずい雰囲気を漂わしてしまう。けれどその後、2人で食事することになり、功が吹っ切ったように清々しく、「あの日のことは忘れて。俺も忘れる。俺たちは最高のビジネスパートナーでいよう」と宣言したことで仲直り。2人は笑顔で別れて帰路についた。

 

　これで一件落着かと思いきや、佐奈はかつて功が「もしお互いに30になっても相手がいなかったら、そんときは結婚するのもアリだよな」と言っていたことを回想し、「あの約束もナシってことかな……」と独り言。この佐奈の発言にモヤッとしてしまったのである。

 

■現実では珍しくないが、純真無垢系ヒロインではダメ

 

　まず佐奈は、これまで小鳥に惹かれているようなシーンがたびたび描かれてきた。それが恋愛感情なのかどうかは定かではないが、佐奈と小鳥の関係性に功がジェラシーしていたのは事実。要するに佐奈は小鳥が好きなように見えるし、自分から功を恋愛対象外だと突き放したにもかかわらず、功が離れていった途端に未練を滲ませたように見えたのだ。

 

　しかも「社内恋愛禁止」ルールを作っておきながら、30歳となる4年後に功と結婚するという選択肢を持っていたことにもびっくり。言動がブレブレすぎやしないか。

 

　30歳で功と恋人同士になって結婚を決めたら、都合よく「社内恋愛禁止」ルールを撤廃するつもりだったのか？　それとも結婚するためにどちらかが会社を去って、“最高のビジネスパートナー” を解消するつもりだったのか？　佐奈にポリシーはあるのかと疑問になってしまう。そんなこんなで主人公の恋心の揺れに共感しづらいのである。

 

　とは言え、そもそも人間なんて完璧な生き物じゃないし、ダブルスタンダードのような矛盾を抱えてしまうことは誰しもあることだろう。今回の佐奈からは自己チューさが感じられたが、現実で考えれば、この程度のズルさは誰だって持っているものだから、そこまで悪い女とも思わない。

 

　だが、それをドラマのなかの純真無垢・清廉潔白系ヒロインがやってしまうと、モヤモヤしてしまうのである。

 

　ドラマや映画のようなエンタメ作品は、物語をわかりやすくするためにキャラクターの特徴を誇張するのがセオリーだが、それゆえに視聴する側は佐奈のような主人公には、聖人レベルの振る舞いを求めてしまうのかもしれない。これはエンタメ作品と現実の微妙な乖離による、表現の難しさなのかもしれないが……。

 

　今夜放送の第7話では、佐奈が小鳥に対する好意を少し自覚するシーンがあるようだが、視聴者の共感が得られるかどうか――注目だ。

 

●堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA！』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )