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波瑠『魔法のリノベ』ここまでタイトルで損している作品も珍しい…リノベは関係ない!

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.08.22 11:00 最終更新日:2022.08.22 11:15

波瑠『魔法のリノベ』ここまでタイトルで損している作品も珍しい…リノベは関係ない!

 

 ここまでタイトルで損をしているドラマも珍しい。

 

 先週月曜に第5話が放送された波瑠主演魔法のリノベ』(フジテレビ系)。世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話から第5話まで7.4%、6.7%、6.7%、6.2%、6.1%と低空飛行している作品である。

 

 真行寺小梅(波瑠)は大手リフォーム会社のエースだったが、同僚の元彼との恋愛トラブルが原因で退社し、同業ながら弱小の「まるふく工務店」に転職。「まるふく工務店」ではリノベ営業担当・福山玄之介(間宮祥太朗)とバディを組み、リノベーションを依頼してくるさまざまな家庭の問題と向き合っていくという、1話完結型のお仕事ヒューマンドラマだ。

 

 

 依頼主の一軒家やマンションに大幅な改装工事を加える「リノベーション」がテーマで、『魔法のリノベ』というタイトルはストーリーに正しく準拠している。

 

 ……だがこのタイトルでは本作の面白さを伝えきれていないと、強く、強く感じるのである。

 

■愛されキャラばかりで、コミカルな掛け合いが絶妙

 

 本作はとにかく、登場人物たちのキャラクターがいい。

 

 気が強く仕事ができるしっかりキャラの小梅も、底抜けのお人好しでダメ男キャラの玄之介も、飾らない性格のいい人なので好感が持てるし、自分の弱さをさらけ出せるタイプなので共感もできる。

 

「まるふく工務店」のほかのメンバーには社長役の遠藤憲一や、従業員役の近藤芳正など渋い俳優を揃え、気さくなオッサンを好演。テンポのいい掛け合いとコミカルな演技で魅せており、ほっこりしたチーム感が醸し出されている。

 

 ハイテンションのおバカノリというわけではなく、独特のセリフまわしと “間” でクスッと笑える上質なコメディといった感じ。

 

 たとえば第4話では、小梅の元彼の元カノで、小梅が大手を退社するきっかけとなった小悪魔女子が現れて騒動を起こすエピソードがあった。その小悪魔女子は小梅を陥れるために裏でなかなかの悪行を働いており、もし自分の身近に実在したら、そうとうウザくてムカつくような女だ。

 

 けれど、レギュラーメンバーたちが小悪魔女子の一挙手一投足に “芝居がかっている” とツッコミを入れたり、小梅がたじろぐ姿などをコメディタッチで見せたりすることで、視聴者の留飲を下げてくれる。とんでもない性悪女をどこか憎めないキャラに昇華させており、結果的にほっこりした作風を堅守していたのは、本当にお見事だと感じた。

 

 第5話では、「まるふく工務店」メンバーで社員旅行を計画し、一同で山に行きBBQをするのだが、社員のおっさんたちは社員旅行をめちゃくちゃ楽しみにしており、小梅もノリノリで参加。

 

 いまどき社員全員がこんなにも社員旅行を心待ちにしないだろうし、ここまでモチベーションは上がらないよと思うのだが、おそらくそういった視聴者の心のツッコミも計算のうえなのだろう。とにかく、おっさんたちが社員旅行ではしゃぐ姿が微笑ましいのだ。

 

■“リノベに興味はないから観ない” はもったいない

 

 このように登場人物が個性的な愛されキャラばかりで、彼らのコミカルな掛け合いが秀逸で面白いのだが、残念ながら『魔法のリノベ』というタイトルからは、その素晴らしい要素がほとんど伝わらないのではないか。

 

 リノベに興味がないから観ない、とそっぽを向いてしまっているドラマファンがかなりいると推察でき、それがもったいないと感じるのだ。

 

 そもそも「リノベ」というキーワードに興味がある層は非常に限られている。

 

「マイホーム」というキーワードなら多くの視聴者にとって身近な自分事だろうが、すでにマイホームを持っている人や、中古物件を購入しようとしている人のなかでも、「リノベ」というキーワードに食指が動くのはごく一部。多くの視聴者にとって「リノベ」は他人事なのである。

 

 実際、筆者はこのドラマを今クールで1、2を争う優秀なドラマだと思っているが、べつに「リノベ」に興味があったわけでもないし、ここまで熱心に視聴していても「リノベ」を自分事とは捉えてはいない。

 

 要するに何が言いたいかというと、もし「リノベ」とはまったく別のテーマだったとしても、この愛すべき登場人物たちの掛け合いを描く作品ならば面白くなっているはず――ということ。

 

 だからこそ『魔法のリノベ』というタイトルがもったいないと感じてしまう。タイトルに偽りナシなのだが、タイトルからはわからない面白さや見どころが詰まっているということを、知らずにスルーしているドラマファンがきっと多いからだ。

 

 このまま埋もれてしまうのは実に惜しい作品。もし「リノベ」に興味がないからと敬遠していたのであれば、今夜放送の第6話からでも観てみてほしい。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

 

( SmartFLASH )

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