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中森明菜「カラオケで聖子ちゃんのモノマネや『津軽海峡冬景色』を…」名物プロデューサーが明かす“歌姫”の素顔
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.08 18:00 最終更新日:2022.10.10 12:23
「ゆっくりになってしまうと思いますが、歩き出していきたいと思いますので、どうか見守っていただけると嬉しいです」
中森明菜(57)がツイッター公式アカウントにて、新事務所の設立をコメントと共に発表したのが8月30日。あれから1か月以上が経ったが、新しい情報はないままだ。それでも“明菜の再始動”についての話題は多く、その行方が注目されている。
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そんな彼女のことをよく知るひとりが、音楽プロデューサーの川原伸司氏(71)だ。
川原氏は松田聖子の『瑠璃色の地球』(ペンネームの平井夏美名義)を作曲、井上陽水と「『少年時代』を共作するなどのほか、1990年代の中森明菜のアルバムをプロデュースしてきた。約50年の音楽人生をまとめた初の著書「ジョージ・マーティンになりたくて~プロデューサー川原伸司、素顔の仕事録~」(シンコーミュージック・エンタテイメント)を7月に上梓。
10年以上のつきあいの中で、中森のアーティストとしての魅力を感じ、繊細な人間性に触れてきた川原氏に話を聞いた。彼女の一番の魅力を、川原氏は「自然体」だと表現する。
「20年ぐらい前のことなんだけど、2002年の『歌姫 2』のレコーディングで久々に歌を聞いたら、明らかにアルコールで喉が荒れてるというか、焼けてるのがわかってね。それでも本人は平気なんだよね。歌手なのにそれはどうかと思う人もいれば、そんな彼女の歌を聴いて“身を削って歌っている”と思う人もいる。この歌を歌いきったら、この人は死んじゃうんじゃないかと思うような“身の削り方”をするんです。
例えば、彼女は辛いものが大好きで。タバスコをドバドバかけると言われているけど、タバスコにもっと辛いハラペーニョをミックスしたものを持ち歩いているんです。試しに使ってみたけど、辛いのは大丈夫な僕でも、あの辛さはさすがにダメだった(笑)。
でも、それで喉が潰れてしまったとしても、それも含めて彼女の自然体。歌手としての自己管理がなってないというよりは、“中森明菜”という人生をそのまま体現しているということです。だから、この先も見ていたいと思わせるんですよ」
中森の「自然体」は、こんな意外なお茶目な形でも発揮されていた。
「あるレコーディングが、彼女の仕事の影響で遅れてしまったことがあって。その翌日、『みなさんに迷惑をかけたから』と言って、彼女が自分で生地から焼いたピザを差し入れに持ってきてくれたことがありました。
当時の芸能界のスタジオへの差し入れと言ったら、お寿司屋さんの大きな寿司桶の出前や叙々苑の焼肉弁当が多かった。スタジオマンたちは『明菜ちゃんの手作りのピザだ』と言って、大喜び(笑)。そんな気遣いもきちんとできる人なんですよ」
そんな明菜とは常に“真剣勝負”の仕事でのつきあいが多かったという川原氏。思い出を聞くと、「打ち合わせなどの後によくカラオケに行った」という。
「自分の歌は歌わないけど、『聖子ちゃんの歌を歌っちゃおう』とか言って、ものまねっぽく歌うわけ。マイクの持ち方なんかも聖子さんみたいにして、そっくりでした。シンガーとして器用な人だなぁと思いました。
あと印象に残っているのは、石川さゆりさんの『津軽海峡・冬景色』。中森さんが歌うと、本当に寒々しくって、すごい表現力だなと思った。(井上)陽水さんもそうだけど、歌ですべてを表現できるんだよね。歌うために生まれてきた人なんだと思いました」
中森といえば、家族との絶縁をたびたび報じられてきた。『週刊女性』では、中森の母の死以降27年に及ぶ断絶状態を、中森の実兄が明かしている。ところが、川原氏が見た彼女は、“家族嫌い”とは程遠い存在だったという。
「中森さんは山口百恵さんのような“昭和型の人”。家族を背負っているんだよね。カバー曲を集めたアルバム『歌姫』の選曲をしているときのことでよく覚えているのが、岩崎宏美さんの『思秋期』という歌を選んだ時のこと。中森さんが『こういう歌をちゃんと歌えるようになったら、あなたは歌手として一流よ、と、よくお母さんが言っていたから』と選んだんです。カルメン・マキさんの『私は風』を入れた理由も、『お姉ちゃんが大好きで、よく歌っていたから』と、家族が好きだった歌を歌いたいという思いが強かった。
そういう彼女のパーソナルな側面と、そんなに有名ではないけどいい曲だなという曲だけを集めたから、アルバムとして評価されたんだと思います。
中森さんの家族への思いの強さを知っているからこそ、いま、家族と絶縁状態だと聞くと、皮肉だなと思います。彼女は本当に真面目な人だから、真面目すぎて思いが強すぎるから、家族との関係がそうなってしまったのかもしれないですね……」
中森の思いが、家族に、そしてファンに届く日は来るのか。
( SmartFLASH )