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平野紫耀『クロサギ』カモられた詐欺師の負け顔がなんとも痛快!エンタメ的な面白さにあふれた良作
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.10.28 11:00 最終更新日:2022.10.28 11:00
“ジャニーズアイドル主演のドラマ” というバイアスを取っ払って観たが、ストーリーがよく練られていてちゃんと面白い。
先週金曜に第1話が放送されたKing & Prince・平野紫耀主演のドラマ『クロサギ』(TBS系)。主人公の黒崎高志郎(平野)は、プロの詐欺師である通称・シロサギのみをターゲットにして騙す詐欺師、通称・クロサギ。
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黒崎は、実父が詐欺被害にあったことで一家心中事件を引き起こし、15歳の彼だけが一命を取りとめたという残酷な過去が……。そのため「この世のシロサギを全て喰い尽くす」ことを目的に生きている。
同名漫画が原作で、2006年には、当時ジャニーズ所属だった山下智久主演で連ドラ化されているが、筆者は原作も2006年版も通らずに来たため、完全にフラットな視点で観ることができた。
率直な感想として、エンターテインメント作品として見応えがあり、「ジャニーズ主演のドラマはちょっと……」と食わず嫌いで敬遠している人にこそ、とりあえず一度観てもらいたいと感じた。
■悪者をダークヒーローが懲らしめる…わかりやすい構図
主人公も詐欺師で、警察に追われる身のため、“勧善懲悪もの” ではない。だが、善良な市民を騙して私腹を肥やすシロサギというわかりやすい悪者が登場し、それをダークヒーロー・クロサギがギャフンと言わせて懲らしめる構図で、これまたわかりやすい。
第1話のシロサギは起業セミナー詐欺でぼろ儲けしている男。ターゲットが金策に困ってあきらめようとすると、「人間追い込まれると、焦って決断が早くなってしまいがちですから。そして、それはたいてい間違ってる」という言葉で再び鼓舞し、騙し続けた。
そのシロサギの言葉は、あくまでターゲットからさらにカネをむしり取るための常套句にすぎない。けれど黒崎は、シロサギを焦らせて即決させる状況に追い込んで、「ホントですね~。『人間は追い込まれると決断が早くなる』っていうのは。そしてそれはたいてい間違ってる。……6億7000万、ごちそうさまでした」と常套句をそっくりそのままお返し。
なんとも痛快なのだ。
自分がカモられる側になっていたとわかった瞬間のシロサギの驚愕の表情や、その後の負け顔がたまらない。おそらく1話完結エピソードの形式だろうから、視聴者には毎回エンディングで “お楽しみ” が約束されていることになる。
■終盤まで引っ張りそうな “驚愕の事実” が初回から判明
“驚愕の事実” のような設定を出し惜しみせず、第1話にして次々と明かしていたのもよかった。
たとえば、黒崎の家族が凄惨な最期を迎えたというバックボーンが明かされたり、父を騙した復讐相手であるシロサギ・御木本(坂東彌十郎)が登場したりする盛り上がり要素は、中盤ぐらいに持ってきても不思議ではない。
そして、黒崎に詐欺のテクニックを教えた師匠的存在である詐欺業界のフィクサー・桂木敏夫(三浦友和)。実は裏で御木本とつながっており、黒崎の父が騙された詐欺の手口を考案したのが桂木だったことも判明。物語終盤まで引っ張るようなネタを初回からバンバン明かしているのだ。
悪者をダークヒーローが懲らしめるというわかりやすさがありながら、ドラマ全体が単純明快というわけではなく、むしろ人間関係は複雑。普通なら重大秘密のようなネタが序盤から明かされていることを考えると、今後まだまだ二転三転しそうで楽しみでならない。
――第1話の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区、以下同)は9.2%を記録。今のご時世を考えれば合格点だろう。
何より今クールは、局の大看板ドラマ枠である日曜劇場『アトムの童(こ)』の第1話が8.9%で、恋愛ドラマ枠として定評のある火曜ドラマ『君の花になる』(TBS系)の第1話が6.5%だったため、TBS系3作のなかでトップスタートを切った形に。
“ジャニーズドラマ” としてではなく、純粋にエンタメ的な面白さが詰まった『クロサギ』。このままいけば、今夜放送の第2話以降も好調を維持できそうだ。
●堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中
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