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『霊媒探偵・城塚翡翠』清原果耶の演技がうますぎて…少女漫画的な古臭いヒロイン像に共感しづらい

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.06 11:00 最終更新日:2022.11.06 11:00

『霊媒探偵・城塚翡翠』清原果耶の演技がうますぎて…少女漫画的な古臭いヒロイン像に共感しづらい

 

 ヒロインの人間的な魅力が薄く、彼女の美貌や家柄などの設定も含めて、感情移入しづらいのが最大のウィークポイントな気がする。

 

 2021年度前期の朝ドラ『おかえりモネ』(NHK)でヒロインを務めた清原果耶主演の最新作『霊媒探偵・城塚翡翠』(日本テレビ系)。

 

 先週日曜に第3話が放送されたが、世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話6.4%、第2話4.8%、第3話5.1%と低水準で推移。今のご時世、視聴率がすべてではないが、TVerなどの見逃し配信やTwitterなどのSNSでも大きな話題になっているとは言いがたく、ここまでは “不発” と言えるだろう。

 

 

■清原演じる主人公は「数奇な運命を背負った」悲劇の美女

 

 主人公の城塚翡翠(じょうづか・ひすい/清原)は、長い黒髪と翠(みどり)色の瞳を持つ絶世の美少女。死者の魂を降霊させたり、魂の匂いを感じたりする特殊な能力で、“犯人が視える” という霊能力者である。

 

 超がつくほどのお嬢様なので、働いてお金を稼がなくても裕福な暮らしが送れている。だが、その霊能力のせいで周囲の人間が不幸になると思っており、友達はほぼおらず孤独な人生を歩んでいる。一見するととてもミステリアスなのだが、実はコミュニケーションが苦手なだけで、同世代の友達を作りたいと頑張るかわいらしい一面も持っている。

 

 要するに「数奇な運命を背負った」悲劇の美女なのだが、このヒロイン像、往年の少女漫画みたいに感じないだろうか。

 

 たとえば、公式サイトには翡翠を「息を呑むほどに美しい」と形容する記述があったし、実際に劇中で彼女の美貌がちやほやされる描写もあった。そして何もしなくても優雅な生活が送れる超セレブである。

 

 彼女自身は内向的な性格ながら、自分の霊能力を使って事件を解決しようと健気に身を粉にする。亡くなった被害者の霊を自らの体に降ろすのはかなり精神的にきついようだが、消耗や負担を厭わずに降霊を試みることもたびたびある。

 

 そんな彼女を、バディ役であり恋愛関係にも発展しそうな人気推理作家・香月史郎(瀬戸康史)が、献身的にサポート。香月は翡翠に “庇護したい欲” を掻き立てられているようで、自らのことを犠牲にする彼女を心配して寄り添うのである。香月は歳上イケメンで、頼れる王子様キャラといった感じだ。

 

■まだ高飛車キャラやがめついキャラのほうがよかった?

 

 ……こういった翡翠のキャラクターに憧れたり感情移入したりする人もいるだろうし、翡翠と香月の関係性を羨ましく思ったりキュンキュンしたりする人もいるだろうが、筆者は胸焼け気味。率直に言って、キャラクターや関係性が古臭いと感じてしまった。

 

 先週放送の第3話では、事件の依頼人だった女子高生が殺害されてしまったため、翡翠が香月の前で涙をぽろぽろ流しながら、こう吐露するシーンがあった。

 

「私は、いつも何もできないんです。誰かの力になりたいと願っているのに、そのためにこの力を役立てなくちゃいけないのに、それなのに、一番肝心なときに……。すべて私の呪われた血が原因なんです。私が殺されればよかった。私が死ぬべきだった」

 

 これ、いかにも典型的な “悲劇のヒロイン” のセリフすぎやしないか。

 

 絶世の美貌と莫大な財産を先天的に与えられながら、すぐに自分が不幸の元凶だとネガティブ思考に陥る……共感も羨望もしづらい。こういったキャラや設定が好きな視聴者も少なくはないだろうが、視聴率やSNSの反響から考えると、多くの人に受け入れられてはいない気がする。

 

 翡翠が金持ちお嬢様ゆえの高飛車キャラだったり、霊能力で荒稼ぎしようとするがめついキャラだったりしたほうが、エンタメ作品としては見やすかったのでは……。

 

■実際に推理して事件を解決しているのはほとんどバディ

 

 若くして表現力に定評のある清原の演技はさすがだと思う。特に泣きの演技は素晴らしい。けれど、清原が見事に演じすぎているから、翡翠というキャラのリアリティが高まり、このヒロインを苦手と感じる視聴者のモヤモヤは増しているような気もする。

 

 余談だが、タイトル詐欺とまでは言わないが、『霊媒探偵・城塚翡翠』という作品名を踏まえて観ていると、肩透かしを食ったような気持ちにもなる。

 

 というのも、実際に推理して事件を解決に導いているのはほとんど香月なのだ。もちろん翡翠の霊能力によって得られたヒントをきっかけに、香月はひらめいているので、彼女の存在も重要だが、この手のドラマの見どころとなる推理シーンや解明シーンは香月が主役のようになっている。これもヒロインにいまいち憧れられない一因かもしれない。

 

 ――今夜放送の第4話は、物語の縦軸として第1話から触れられていた女性連続殺人事件の犯人「透明な悪魔」を追うエピソードになる模様。要するにストーリーが盛り上がる重要回なので、高評価を得ての巻き返しに期待したい。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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