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『PICU』吉沢亮の “細かい表現力” に感嘆!自信のなさを「手」で伝える驚きの演技力

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2022.11.28 10:54 最終更新日:2022.11.28 11:00

『PICU』吉沢亮の “細かい表現力” に感嘆!自信のなさを「手」で伝える驚きの演技力

 

 不謹慎な言い方かもしれないが、第1話で描かれた “少女の死” という残酷な描写が絶妙な “フリ” になっていた。そして、主人公の成長ぶりに、目頭が熱くなった視聴者は多かっただろう。

 

 先週月曜に第7話が放送された、吉沢亮主演の月9ドラマ『PICU 小児集中治療室』(フジテレビ系)のことだ。「PICU」とは、副題にあるとおり、“小児専門の集中治療室” のこと。舞台となる北海道は、土地が広大すぎるゆえに大規模PICUの運営は困難と言われているそうなのだが、そんな北海道で創設されたPICUで、若手小児科医・志子田武四郎(吉沢)の成長を描く医療系ヒューマンドラマだ。

 

 

 第1話、第2話といった物語序盤では、経験が浅いため緊急で運び込まれた幼い患者たちを前に、おどおどするだけでほぼ何もできなかった武四郎。そんな彼が第7話で、冷静かつ的確な対応でPICUチームの役に立つ頼もしい姿が描かれたのである。

 

■悲劇的結末でも観続けたからこそのカタルシス

 

 第7話では、5歳の女の子が急性腹症で運び込まれてきた際、チームメンバーそれぞれが自分のすべきことをおこなうなか、武四郎も指示待ちすることなくテキパキと血液検査。その検査結果で、見逃しがちな異常に気付くというファインプレーにより、少女に迅速な処置ができ、無事に一命を取りとめたのだった。

 

 実は第1話でも急性腹症で5歳の少女が運び込まれたのだが、武四郎はおろおろして足を引っ張るばかり。「ママ……」と不安そうにつぶやく少女を安心させようとして武四郎は寄り添うも、少女が大量に吐血した血を顔に浴び、なすすべなく茫然と立ち尽くす。そして、チームメンバーの尽力むなしく、少女は亡くなってしまっていたのである。

 

 シビアすぎた第1話に胸を痛めた人は多かっただろうが、第7話では同じ病状で運び込まれた少女を武四郎が救うという展開で、主人公を見守ってきた視聴者は胸アツだっただろう。

 

 ヒーロー(天才医師)がその凄腕で奇跡を起こして患者を救い続ける医療ドラマとは違い、本作はご都合主義を排除して、医療体制の問題点や現状の限界といった現実を真っすぐ描いた作品となっている。

 

 それゆえに、幼い患者たちが迎える悲劇的結末を注視できず、途中離脱してしまった方々もいるかもしれない。けれど、つらいシーンが多くても観続けた視聴者だけが、今回の主人公のレベルアップシーンで良質なカタルシスが得られたはずだ。

 

■顔は超絶イケメンなのに、かっこよく見えない

 

 武四郎役の吉沢の演技もいい。吉沢と言えばその美形で人気を博しており、イケメン役が圧倒的に多いのはご存じのとおり。特に、昨年の大河ドラマ『青天を衝け』(NHK)で演じた知的で凛々しい主人公や、昨年公開の映画『東京リベンジャーズ』で演じた不良グループのキレキレのカリスマ総長役などが有名だ。

 

 しかし、『PICU』ではおろおろした頼りない非イケメン役。吉沢に非イケメンが務まるのかと懸念していたが、まったくの杞憂に終わり、なかなかどうして板に付いているのである。とりわけ序盤回では猫背で仕事がデキなさそうな雰囲気を醸し出したり、急患が運び込まれるとテンパって目が泳いだり、いい意味でちゃんと “情けない”。

 

 筆者は特に “手” の動きや置きどころが秀逸だと思って吉沢の演技を見ている。武四郎は腕や指をピンッと伸ばすわけでもグッと力強く折り曲げるでもなく、中途半端な角度で曲げているシーンが多々あるのだ。腕や指といった細部の演技で、自信を持てない武四郎の頼りなさを表現しているのである。

 

 顔は相変わらずの超絶イケメンなのに、いまいちかっこよく見えないのは、吉沢の演技力の賜物だろう。

 

■エンタメ的にも見応えがぐんぐんと増してきた

 

 第1話の時点で武四郎は何もできない若手だったため、彼の成長を描いていくドラマであることは誰が見ても明らかだったが、実際、回を重ねるごとに少しずつ頼もしくなっていくのは予想どおり。しかし、そうとわかっていても、武四郎が立派な医師として幼い子供たちを救い、仲間たちから信頼を集めていく姿に涙腺を刺激される。

 

 序盤は子供たちを助けられないケースが多かったため、エンターテインメント作品としての面白さは薄かったのだが、武四郎の成長とともに幼い命が救われるようになり、エンタメ的にも見応えがぐんぐんと増している。

 

 また第7話では、武四郎の幼馴染みで親友の矢野悠太(高杉真宙)もPICUメンバーに加入。実は悠太は別の病院で救命医をしていたのだが、仕事の過酷さに耐えきれず自殺未遂を起こすというエピソードが描かれていた。そんな彼が再び医師として立ち上がり、しかも武四郎たちの仲間に加わってくれたのもかなりの感涙ポイントだった。

 

 ――本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は第1話から第7話まで10.3%、7.5%、9.2%、9.1%、7.5%、8.4%、8.3%と推移。第1話の凄惨なストーリーで離れてしまった視聴者もいただろうが、十分な固定ファンが付いている数字と言える。今夜放送の第8話でも成長した武四郎に胸を打たれるに違いない。

 

堺屋大地
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『週刊女性PRIME』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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