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『Get Ready!』予定調和の展開に「どうした日曜劇場?」と疑問…福山雅治や堺雅人に話題を持っていかれた妻夫木聡の悲劇

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.03.12 11:00FLASH編集部

『Get Ready!』予定調和の展開に「どうした日曜劇場?」と疑問…福山雅治や堺雅人に話題を持っていかれた妻夫木聡の悲劇

 

 今夜最終話を迎える日曜劇場Get Ready!』(TBS系)。悪い意味で、ここまでずっと予定調和なストーリーが続いている。

 

 先週日曜に第9話が放送された妻夫木聡主演の『Get Ready!』は、法外な報酬と引き換えに、超人的なオペ技術で患者の命を救う、謎の闇医者チームを描く1話完結型のSF医療エンタテインメント。

 

 

 妻夫木が孤高の天才執刀医「エース」を演じ、藤原竜也がその相棒で、チームの交渉人である「ジョーカー」を演じている。松下奈緒演じる凄腕オペナース「クイーン」と、日向亘演じる若き万能ハッカー「スペード」の4人で、闇医者チームを組んでいる。

 

 妻夫木と藤原が本格共演する日曜劇場ということで期待値が高かったが、第9話や最終話の予告映像を観る限り、クライマックスでも想定を上回ってくる気配は薄い。

 

■いいところがなかったわけではないが…予定調和すぎる

 

 第9話は、かつてエースを医療の表舞台から追放し、闇医者となるきっかけを作った大病院の院長・剣持理三(鹿賀丈史)との対決回。

 

 剣持の娘が、通常の医療では手の施しようのないスキルス胃がんを患っていることが発覚し、彼が闇医者チームに頭を下げて娘の命を救ってもらうか否かが注目ポイントだった。

 

 結論を言うと、剣持は築き上げてきた地位やプライドを捨て、エースの要求どおり全財産を差し出して娘の手術を依頼。同時に、エースを裏切った過去の罪を自ら世間に公表することに。

 

 要するに、主人公がとうとう因縁の相手との決着をつけた重要回だったわけだが、この一連のストーリーは完全に想定内。

 

 闇医者と言えど、正義の主人公がこの展開で剣持の娘を手術しないわけがなく、その着地点から逆算すると、剣持が屈服する流れになることは容易に想像できた。

 

 もちろん、いいところがまったくなかったわけではない。

 

 新キャラで闇医者チームを追う警視副総監を沢村一樹が演じているのだが、能面のように感情を顔に出さず淡々としゃべるので、いびつで不気味な雰囲気を醸し出していて非常によかった。

 

 第9話では、沢村演じる副総監が藤原演じるジョーカーと対峙。お互いの腹を探り合うようなシーンだったが、腕のある役者同士の抑えた演技バトルは、静かながら見応えがあった。

 

 また第9話のラストで、素顔のエースと剣持が邂逅。何も言わずに去ろうとするエースの背中に向けて、剣持が「申し訳なかった」と頭を下げ、「ありがとう」と礼を言う。

 

 剣持はそれ以上の言葉を紡がなかったが、飾り気のないシンプルな謝罪と謝意だったからこそ、言葉にとてつもない重みがあった。素晴らしいシーンだったと思う。

 

■7月期の『VIVANT』に話題をかっさらわれている

 

 このようにいいシーンもあったのだが、全体としては予想どおりの安っぽいお涙ちょうだいストーリーで、エンタメ的な驚きやワクワクがなさすぎた。どうした日曜劇場? と心配になってしまうほどだ。

 

 今夜放送の最終話では、エースがかつて命を救えなかった少女と類似した病を抱える少女が登場する模様。エースが過去のトラウマを乗り越え、少女の手術を成功させられるかどうかが見どころになりそうだ。

 

 けれど、うがった見方をして申し訳ないが、エースは無事に少女を救うに決まっている。逆にこの予想を裏切るような最終話になるならば、たいしたものだと思うが――。

 

 本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は、第1話から第3話までは10%台をキープしていたが、第4話以降は一桁台に陥落。第9話はとうとう8.3%まで下がっている。

 

 今の時代、視聴率だけがヒットの基準ではないものの、『Get Ready!』はTVerのお気に入り登録者数の伸びもいまいち。

 

 今期の話題作である『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)が117.3万人、『星降る夜に』(テレビ朝日系)が88.1万人、『罠の戦争』(フジテレビ系)が70.7万人に対して、『Get Ready!』はわずか57.8万人(※いずれも3月9日時点)。TVerでは『ブラッシュアップライフ』にダブルスコアで引き離されているのである。

 

 余談だが、日曜劇場は4月期に福山雅治と大泉洋がタッグを組む『ラストマン』という注目作が控えている。

 

 さらに7月期作品として、堺雅人が主演し、阿部寛と役所広司が脇を固める『VIVANT(ヴィヴァン)』の情報も解禁されている。『半沢直樹』と『下町ロケット』と『陸王』の日曜劇場主演俳優がそろい踏みという豪華すぎる超大型作品が、早くも話題をかっさらっている状態だ。

 

『Get Ready!』には気の毒だが、TBS局内でも、もはや『ラストマン』や『VIVANT』に気持ちが向いてしまっている気がしてならない。

 

 数々の逆風に負けず、有終の美を飾れるかどうか……『Get Ready!』最終話は今夜放送である。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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