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『ブラッシュアップライフ』最大の危機を “すかし” で回避、伏線回収も時間配分も見事だったバカリズムの脚本【ネタバレあり】

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.03.13 15:48 最終更新日:2023.03.13 15:51

『ブラッシュアップライフ』最大の危機を “すかし” で回避、伏線回収も時間配分も見事だったバカリズムの脚本【ネタバレあり】

 

 最高の “すかし” が炸裂した最終話。この作品を支持してきた多くのファンが大納得のエンディングだったのではないか。

 

 3月12日に最終話を迎えたバカリズム脚本のヒューマンコメディ『ブラッシュアップライフ』(日本テレビ系)。

 

 安藤サクラ演じる主人公・麻美は不慮の事故で亡くなってしまうものの、何度も同じ人間に生まれ変わって人生をやり直していくというタイムリープものだ。

 

 

 ここからはネタバレありで最終話について触れていくので、未視聴の方はご注意を。

 

■【ネタバレあり】しいて言うならあんなシーンも観たかった

 

 かつての人生で親友だった夏希(夏帆)と美穂(木南晴夏)が搭乗する飛行機の事故を防ぐため、パイロットになっていた人生5周めの麻美と6周めの真里(水川あさみ)。

 

 しかし、前話の段階で、真里はその便の副操縦士になれたものの、麻美が機長に選ばれず、2人はそのフライトを担当する先輩機長に毒を盛る計画を立てていた。

 

 ネタバレで結論を言ってしまうと、麻美たちが毒を盛るまでもなく、先輩機長はフライトを辞退することに。そして麻美が代わりに機長を任せられたので、無事に悲劇を回避し、親友の命を救うことに成功。

 

 その後、4人は再び仲よしになって、幸せな人生を謳歌。麻美は98歳まで生きて大往生というラストだった。

 

 大満足のフィナーレ。ただ、しいて言うなら、筆者が個人的にこんなシーンも観たかったというのはいくつかある。

 

 たとえば、麻美が1周めと3周めの人生で付き合っていたダメ男の元彼(松坂桃李)が再登場し、年収10億円の実業家パワーで麻美たちをナイスアシストしてくれたらおもしろかった。

 

 もしくは、これまでの人生で麻美が不倫を阻止してあげていた女友達(黒木華)や、痴漢冤罪から救ってあげていた中学教師(鈴木浩介)らが、グッジョブな行動を取ってくれるなんてシーンも観たかった気がする。

 

 あとは、航空会社のスケジューラー役で江口のりこが出演していたが、害もないが益もない無難な役どころで、せっかくクセのある演技が得意な江口がもったいないなとも感じた。

 

 また、死後の世界の案内人役で出演もしていたバカリズムが、最終話では未登場。バカリズムとしては自分が作中に出すぎるのは無粋だと思って出番なしにしたのかもしれないが、麻美と案内人の最後のもう一絡みも見てみたかった。

 

 とはいえ、いまあげたような要素は、不満というわけではなく、欲を言えばそういうシーンも観たかったという程度のことで、素晴らしい最終話だったと思う。

 

■危機回避プロセスと最終話の時間配分が秀逸だった

 

 特によかったと思ったのが、本作最大の事件である飛行機事故回避までのプロセスと、最終話の時間配分だ。

 

 前述したように麻美と真里は先輩機長に毒を盛る計画を立てていたのだが、麻美の1周めの市役所時代の同僚で、9周めの人生を送っていた河口(三浦透子)が再登場。

 

 河口は麻美と同じ航空会社の客室乗務員になっていたのだが、彼女は、毛嫌いしていた先輩機長の不倫を暴露して、操縦の辞退に追い込んでくれていたのだ。

 

 人生何周もしているはずの河口が、大事故を知らない様子なのは違和感があったが、とにかく主人公が直接関与せずに、トラブルが解決しちゃったという “すかし” が最高。

 

 作中最大のピンチは、主人公の行動や努力で乗り越えるというのがドラマ脚本のセオリーだろう。

 

 だが、そのお約束をサラッと裏切って、事情をよく知らない第三者の行動によってあっさり解決というこの肩すかし感こそが、バカリズムの脚本の真骨頂かもしれない。

 

 ちなみに、前話で怪しい雰囲気をぷんぷん漂わせながら意味ありげに登場していた謎の男(浅野忠信)も、彼は彼なりに飛行機事故を止めようと必死だったものの、結果的にはただのコミックリリーフ。名俳優をたった一笑いのために、ちょっとイタい恥ずかしいキャラとして投入する贅沢な “すかし” だった。

 

 また、約45分の最終話のうち、事故回避が確定したのは18分ごろ。緊迫感のあった最大の危機は前半のわりと早い段階で乗り越え、残り30分弱はユル~いほのぼのコメディに回帰。

 

 親友の命を救うために奮闘するというシリアスなストーリーもおもしろかったが、やはり本作は地元あるある満載のシュールなガールズトークが好きだったという視聴者が多かったと思うので、最終話のこの時間配分もベストだと感じた。

 

■見逃し配信でブームになるという今の時代ならではのヒット

 

 本作は怒涛の伏線回収も大きな見どころだったが、最終話ももちろん回収ラッシュ。

 

 ラスト2分で舞台は一気に58年後に。そこでは『ドラゴンボール』のフリーザのような宙に浮く乗り物に乗って、4人がハイテク老人ホームで楽しく過ごす姿が描かれるが、これは第1話で30代の麻美たちが妄想して爆笑していた未来。

 

 そして、麻美が98歳で亡くなった後、4羽のハトが仲よさそうに並んでいるシーンがラストカット。これは4人が生まれ変わった姿を示唆しており、ハトになっても幸せそうでほっこりさせられたが、実は第1話の冒頭で同じように4羽のハトが映されていたのである。

 

 こういったわかりやすいものから細かなものまで、多くの伏線が回収され、上手に終幕。

 

 いずれにしても、あのシリアス展開があったからこそ、年老いても仲睦まじくフリーザの乗り物に乗る4人の姿は感慨深く、笑いながら泣けるハートフルなエンディングとなっていたのである。

 

 本作の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は5~7%あたりを推移していたが、TVerのお気に入り登録者数は118.7万人と今期ドラマでトップ。

 

『100万回 言えばよかった』(TBS系)もお気に入り登録者数は100.3万人と大台に到達しているが、たとえばフジテレビの看板枠・月9『女神の教室~リーガル青春白書~』の63.5万人、TBSの看板枠・日曜劇場『Get Ready!』の57.4万人を大きく引き離している(※いずれも3月13日時点)。

 

 見逃し配信でブームになるという、今の時代ならではのヒット作だったと言えるだろう。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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