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草彅剛『罠の戦争』最愛の妻との離婚に “前向きな意味” を持たせた最高のエンディング【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.03.28 19:00FLASH編集部

草彅剛『罠の戦争』最愛の妻との離婚に “前向きな意味” を持たせた最高のエンディング【ネタバレあり】

 

 最終話が始まる時点で主人公が闇堕ちしているわ、家族のために戦ってきたのに離婚するわで、切なすぎるバッドエンドになるのか……と思いきや、妻との離別に、あんなにも前向きな意味を持たせたのには唸らされた。

 

 3月27日に最終話(第11話)を迎えた草彅剛主演のリベンジエンターテインメント『罠の戦争』(フジテレビ系)。

 

 

 国会議員の秘書だった鷲津亨(草彅)の一人息子が、ある日、何者かに歩道橋から突き落とされ、瀕死の重傷を負い意識不明に。事件の犯人や、“不慮の事故” として揉み消そうと暗躍していた政治家たちに、鷲津が復讐していくストーリー。

 

 鷲津が秘書から国会議員になるなど紆余曲折を経て、犯人や黒幕の正体を暴いて復讐も果たした。息子も無事に快復して一件落着したのだが、いつの間にか、鷲津自身が権力という名の魔物に取りつかれてしまう。

 

 それまでの自分の正義に反するような非情かつ下劣なおこないを次々とするようになり、愛する家族や信頼していた部下や友人も離れていき……というのが最終話のあらすじである。

 

■【ネタバレあり】最終話は主人公が闇堕ち状態でスタート

 

 鷲津の闇堕ちは第9話から始まり、第10話では完全にダークサイド化。最終話を迎えた時点で主人公がおそろしいヒールになっているというのは非常に珍しく、ストーリーに引き込まれた。

 

 あえて苦言を呈するなら、序盤回から中盤回まであれほど弱き者に優しく、正義の怒りを燃やしていた鷲津が闇堕ちしてしまうのに、少々、違和感があった。

 

 息子が亡くなってしまうなど、インパクトのある悲劇に見舞われていたのなら闇堕ちも納得なのだが、鷲津のダークサイド化は息子が意識を取り戻して元気になった後なので、やや説得力に欠けた。

 

 主人公が悪に染まっていく展開自体はおもしろかったが、その心情の変化や理由をもうちょっと丁寧に描いてほしかった。

 

 鷲津の豹変が不自然に感じたので、もしかすると闇堕ち自体が敵を欺くための罠で、視聴者をハラハラさせるためのミスリードなのではないかと思った。実は、鷲津は悪に染まっておらず、正義漢のままでした、という最終話のどんでん返しに期待したが、結局は本当に闇堕ちしていた。

 

 そして、主人公が本当にただのクズ野郎に成り下がっていたというショックが冷めやらぬなか、追い打ちをかけるように妻(井川遥)から別れを切り出され、離婚が成立してしまう。

 

 そもそも鷲津の行動原理は “愛する家族のため” だったので、最後にやさしさと正義の心を取り戻したとしても、スッキリしたハッピーエンドにはならず、モヤモヤが残ってしまうのではないかと懸念しながら観ていた。

 

■離婚しなければ元妻を守るナイトになれなかった

 

 だが、前述したように、本作のフィナーレはスッキリする見事なものだった。

 

 最終話後半のストーリーのネタバレになるが、鷲津は妻や息子の言動に心打たれ、憑き物が落ちてライトサイドに帰還。玉砕覚悟で自らの罪や過ちをすべて認め、最後の敵となった総理大臣(高橋克典)の悪事を暴露し、辞任に追い込むことに成功する。

 

 鷲津は選挙違反を犯していたため警察に出頭し、国会議員でなくなるのだが、月日が経ち、元妻が出馬して当選するという展開で迎えたエンディング。

 

 駆け出しの新人議員である元妻には経験や人脈が豊富なベテラン秘書を見つけることが急務だったが、そこに颯爽と鷲津が現れ、秘書に志願するのだ。

 

 ラストに原点回帰。こうして「最強の秘書」が再誕したのだが、配偶者は公設秘書になれないため、離婚していなければ、議員となった元妻を一番近くで守るナイトになれなかったわけである。

 

 家族のために身を粉にしてきた鷲津にとって、妻との離婚は普通ならこのうえない絶望。しかし、夫と妻の絆が秘書と議員という新しい絆に変わり、2人はこれからもパートナーとして助け合っていくという希望の光を見せたのだ。

 

 最後は、鷲津が議員である元妻の3歩ほど後ろについて歩いていくシーンで終幕。

 

 中盤回から、国会議員になった鷲津は先頭に立って歩くポジションになっていたが、もともとはトップの右腕としてサポートしていくほうが映えるキャラクターだった。これから永田町という伏魔殿で戦っていく元妻を、陰で支えるポジションとなった鷲津はとても頼もしく、まさに適材適所。

 

 離婚をただの悲劇で終わらせず、こんなに前向きな意味と価値を持たせた脚本は、本当にアッパレだと感じた。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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