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『だが、情熱はある』低視聴率スタートも、山里亮太が蒼井優を射止めた理由がよくわかる

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.04.16 11:00FLASH編集部

『だが、情熱はある』低視聴率スタートも、山里亮太が蒼井優を射止めた理由がよくわかる

 

 4月9日に放送された初回の世帯平均視聴率(※ビデオリサーチ調べ/関東地区)は4.7%。一昔前なら「大爆死」と叩かれるような低調スタートだが、このドラマはこれでいいと思う。

 

 お笑い芸人であるオードリー若林正恭と、南海キャンディーズ山里亮太の半生を描くという実話ベースのドラマ『だが、情熱はある』(日本テレビ系)のことだ。

 

 

 若林役をKing & Prince・高橋海人、山里役をSixTONES・森本慎太郎という人気のジャニタレを起用していることについては置いておいて、攻めた作品だと感じた。

 

 このドラマ枠の前クールは、バカリズム脚本の『ブラッシュアップライフ』で話題をかっさらっていたが、今クールも実にチャレンジングで好感が持てる。

 

■刺さる人に深く刺さればOKというスタンス?

 

 現在、若林はゴールデン番組のMCを務め、山里は4月から朝の帯番組のMCを務めている。今でこそ個人がスポットを浴びる売れっ子となった2人だが、コンビとしてブレイクした当初はキャラの強い相方ばかりが注目を集めており、いわゆる “じゃない方芸人” だった。

 

 そんな彼らは2009年に初対面し、2012年に放送されたバラエティ番組『たりないふたり -山里亮太と若林正恭-』(日本テレビ系)で本格タッグを組む。番組で披露した漫才が好評で、シリーズ化されたことから、親交を深めたようだ。

 

 第1話のメインは、2人が出会う前の高校時代。それぞれが卒業後の進路について悩むエピソードが描かれた。

 

 さて、筆者がなぜ本作を攻めていると感じたかというと、視聴率を取りにきているドラマではないと思ったからだ。

 

 若林と山里は売れっ子芸人だが、そうは言っても国民的タレントというレベルではない。たとえばこれまでもビートたけし、志村けん、明石家さんまらの物語が映画化やドラマ化されているが、若林や山里はそういったレジェンド芸人に比べればまだまだひよっ子。

 

 若林と山里の芸人としての実力は素晴らしいが、幅広い層の日本国民に観てもらえるほどの知名度や人気があるかといえば疑問だ。しかし、そんなことは、制作する日テレだって百も承知のはず。

 

 つまり、端から高視聴率を狙いにいった作品ではなく、観てくれる人が多くなくても、刺さる人に深く刺さって話題になればOKというスタンスに感じられるのである。

 

 筆者は人並みにお笑い好きだし、若林と山里が出演している番組も好んで観ている。特に若林が出演している『あちこちオードリー』(テレビ東京系)は、毎週欠かさず観ている数少ないバラエティ番組のひとつだ。

 

 筆者としては『だが、情熱はある』のストーリーに興味があったしおもしろく観られたが、率直な感想として、若林や山里に一定以上の思い入れがないと、あまり楽しめないだろうなとも感じた。

 

 だが本作はこれでいいのだ。

 

■山里が高校時代に会得していたモテ男の真理

 

 筆者の本業は恋愛コラムニストだが、その視点で観て、興味深いシーンもあった。

 

 高3時代の山里が、クラスの好きな子に聞こえるように、非モテ自虐話を披露するシーン。幼稚園時代は尋常じゃなくモテていたが、小学生でモテなくなり、中2のときにファーストキスを経験するも、実はそれは女子グループの罰ゲームだったというオチがつくエピソードトークだ。

 

 このトークで、好きな子に「山里君、おもしろいね」と言ってもらえ、親友の男子からは「かっこよかったよ、恥ずかしい話するの」と評されるという展開だったが、筆者が驚いたのは、山里が高校時代に「モテの真理」に気づいていたということ。

 

 親友が言っていたように、好きな人の前で自分のかっこ悪い話ができるかっこよさというものがある。こういう自虐話ができる男性は、大人になってから非常にモテるのである。

 

 おもしろく自虐ネタを話せるのは、モテ男ムーブの一種。自分の情けなさを自覚して受け入れているという器の大きさを示すことができ、さらにエンタメに昇華させるウィットさも持ち合わせているので、他者から見ると余裕のある大人な男に見えるという構造だ。

 

 逆に、非モテ男を想像してもらえるとわかりやすいだろう。

 

 かっこ悪いと思われたくないから、失敗を必死で隠そうとしたり、背伸びしてかっこいいところを見せようとしたりするものの、それが女性にはバレバレでダサいと思われてしまう――これは “非モテあるある” だ。

 

 だが、思春期の男子ほどイキがるものなので、モテたくて虚勢を張ってモテなくなり、挽回しようとしてさらなる虚勢を張るという負のループに陥りがちなのである。

 

 だから、山里がこのモテ男ムーブを高校時代に早くも会得していたのだとしたら、妻で女優の蒼井優の心を射止めたのも大納得。

 

 山里は長らく非モテキャラで売れていたが、それは無様な姿をさらけ出せるというメンタリティの強さがあってこそであり、根っこのマインドはもともとモテ男だったというわけだ。

 

 冒頭でお伝えしたとおり、第1話は4.7%と低視聴率だったが、数字が取りにくいことは織り込みの企画だろうから、日テレとしては余裕で想定内ではないか。今日放送の第2話にも期待したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

( SmartFLASH )

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