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芳根京子『それってパクリじゃないですか?』没入できない理由は、どこかで見た感あふれるキャラ造形

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.04.19 11:00 最終更新日:2023.04.19 11:00

芳根京子『それってパクリじゃないですか?』没入できない理由は、どこかで見た感あふれるキャラ造形

 

 地味な話になるだろうとは思っていたが、さすがに多くのドラマファンがお試し視聴してくれる第1話で、この没入感の薄さはまずい気がしてならない。

 

 4月12日からスタートした芳根京子主演の『それってパクリじゃないですか?』(日本テレビ系)。

 

 飲料メーカー開発部で働く主人公・藤崎亜季(芳根)が、弁理士の資格を持つエリート上司・北脇雅美(ジャニーズWEST重岡大毅)とタッグを組み、知的財産をめぐって巻き起こるさまざまな問題に立ち向かうストーリー。

 

 

 知的財産の知識ゼロで人情派の亜季と、知的財産のプロで理論派の北脇という、凸凹コンビの活躍を描くエンタメ作品だ。

 

■情報漏洩したのではと疑われてしまう主人公

 

 ここで第1話のストーリーをざっくり振り返っておこう。

 

 月夜野ドリンクが社運を賭けた新ドリンクのボトルに、亜季が発案した「キラキラボトル」が採用された。しかし、そのアイデアがライバル企業に盗まれ、先に特許出願されてしまう。

 

 亜季が、ライバル企業に勤める大学時代の同級生に情報漏洩したのではないかと疑われるが、身に覚えがないため潔白を主張。結局、流出させてしまったのは社長で、ライバル企業が社長から情報を盗んだ証拠も出てきたため、特許を取り返してめでたしめでたし。

 

 だが、無事解決したものの、亜季は開発部から新設された知的財産部への異動を命じられ――というのが第1話の展開だった。

 

■主人公もバディもテンプレどおりのキャラ

 

 あくまで個人的な感想ではあるが、率直に言っておもしろいとは感じられず、没入感は薄かった。

 

 知的財産の問題を扱うというニッチなテーマに着目したのは挑戦的で素晴らしいが、地味な素材を特に目新しい工夫もなくシンプルに調理しているという印象だった。

 

 亜季は心優しくも自己主張が苦手なタイプの主人公、バディを組む北脇は冷徹な態度ながら仕事は完璧という合理主義者。どちらもテンプレどおりで、「いろんなドラマでこういうキャラクターっているよなぁ」という、どこかで見た感があふれまくり。

 

 また、主人公視点で観たときに、どのような行動を起こせばいいのかや、どのような証拠を見つけ出せば解決できるのかという、ストーリーのカギがいまいちわかりにくいまま進んでいた感も否めなかった。

 

 派手さのない題材だということはもともとわかっていたわけだから、積極的にエンタメ的な面白さを高めるため、脚本や演出でもっともっと工夫を凝らすべきだったのではないかと思ってしまう。

 

 たとえば、交番勤務のお巡りさんという地味なテーマながらヒットした『ハコヅメ~たたかう!交番女子~』(2021年/日本テレビ系)や、自宅のリノベーションというニッチなテーマながら上質なコメディに仕上がっていた『魔法のリノベ』(2022年/フジテレビ系)などは成功例。

 

 この2作品も物語的にそこまでの大事件や大問題は起きないが、秀逸な脚本や演出、そしてそれに応える役者たちの演技によって、この世界観にずっと浸っていたいと視聴者に思わせる創意工夫にあふれていた。

 

『それってパクリじゃないですか?』は、成功例の2作品と比較すると、悪い意味で “ただの素朴な料理” といった感じなのである。

 

■朝ドラヒロインの直接対決では劣勢スタート

 

 ちなみに、水曜22時はフジテレビもドラマ枠としているのだが、同日・同時間にスタートした『わたしのお嫁くん』(フジテレビ系)は波瑠が主演。

 

 2016年度下半期の『べっぴんさん』で主演した芳根と、2015年度下半期の『あさが来た』で主演した波瑠による、朝ドラヒロイン対決となっているのだ。

 

 世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)で見ると、『それってパクリじゃないですか?』は6.0%、『わたしのお嫁くん』が6.1%とほぼイーブン。

 

 しかし、見逃し配信の人気の指標となるTVerのお気に入り登録者数(4月16日現在)を見ると、『それってパクリじゃないですか?』が32.0万人なのに対して、『わたしのお嫁くん』は51.5万人と大差をつけられている。

 

 現時点では『わたしのお嫁くん』が優勢。とは言え、まだ第1話が放送されただけなので、今夜放送の第2話以降で巻き返せるかどうかに注目したい。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

( SmartFLASH )

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