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50歳でついにブレイク「タモリものまね芸人」苦節23年を支えた専業主婦の妻に「感謝しかない」今日も倉庫でアルバイト

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.05.10 06:00FLASH編集部

50歳でついにブレイク「タモリものまね芸人」苦節23年を支えた専業主婦の妻に「感謝しかない」今日も倉庫でアルバイト

スタジオアルタ前に佇むジョニー志村(写真・久保貴弘)

 

「生姜焼きってのはね、みんな勘違いしてんだね」

 

 と、独自の「生姜焼き論」を語り始めた “タモリ” は、肉は漬けにせずに粉をまぶすこと、玉ねぎやタレを入れるタイミングなど、いつもの調子で蘊蓄(うんちく)を展開。「これが美味い!」と締めくくった。

 

「ネタを終えてから『ワーッ』という反応があるまで、一度波が引いて返ってくるような時間差がありましたよね。長く芸人をやってきて、初めての感覚でした」

 

 

 5月2日、『ものまねグランプリ』(日本テレビ系)で冒頭のものまねを披露したジョニー志村(50)は、そう振り返った。42秒間のネタを披露し終えても、あまりにもタモリに似ていたために、しばらく観覧客の混乱が収まらなかったのだ。

 

「口角を下げ、上唇を出し、眉毛はサングラスから出るように動かして……短い時間でしたけど、見ている方には気づかないくらいたくさんのことを詰め込みました」

 

 その42秒間にたどりつくまで、ジョニーは23年の芸歴を重ねてきた。

 

「とにかく夢中でやってきたんですが、結果が出ずに自問自答し、あきらめそうになったことは、何回もありました。僕は芸人になってすぐ、30歳で結婚してるんです。本当に世間知らずで、すぐテレビに出て、売れると思ってたんですよ(笑)。ずっと専業主婦として寄り添ってくれた嫁には、感謝しかありません」

 

 テレビっ子だった少年時代のジョニーは、ものまねやお笑いは好きだったが、ミュージシャンへの憧れも強かった。

 

「高校時代にBUCK-TICKのコピーバンドを組んだのですが、曲が難しくて(笑)。ブルーハーツにも衝撃を受けて、ボーカルを担当していました。大学では、カラオケでミスチルやチャゲアスのものまねをしたり、普通の大学生でした。旅行会社から内定をもらいましたが、バブル崩壊で、採用が取り消されたんです」

 

 就職先を失ったジョニーは、アルバイトを転々とした。

 

「コンビニ店員や警備員とか、いろいろやりましたね。28歳のときに父が突然亡くなり、途方に暮れて呆然とテレビを見ていたら、ものまね番組でオーディションの告知をしていました。父が僕に『好きなことをやって生きていきなさい』って言っていたことを思い出して、このチャンスにかけてみよう! と。それで行って、落ちたんです(笑)」

 

 ジョニーは1年間練習を重ね、小さなライブにも出演。翌年に再チャレンジした。

 

「50人くらいが受けに来ていて、僕の順番は真ん中よりも少し前でした。僕がネタを見せた後に、ディレクターさんが『彼よりうまいと思う人、手を挙げて。……挙げなかった人は帰ってください。彼くらいできないとテレビには出られません』と言ったんです。

 

 普通、受かったと思いますよね。なのに、またダメだったんですよ(笑)。でも、そこで知り合ったものまね芸人の方から誘いが来て、プロの道へ進むことになりました」

 

 それから、地道なものまね人生が始まる。氣志團やGackt、YOSHIKIなどがおもな持ちネタだったが、30歳のころから、タモリもレパートリーのひとつだった。

 

「最初は、まったく似てなくて、ウケませんでした。とにかく鏡を見て練習しました。しっくりくるようになったのはここ数年ですね。老けてきて、コロナ禍で仕事がゼロになったことでストレスがかかったのか、急激に髪も薄くなってきちゃいまして……。でもラッキーですよ、見た目がタモリさんに追いついてきたんですから(笑)」

 

 そうして体得したたたずまいには、タモリと数え切れないほど共演してきたコメディアンも太鼓判を押した。

 

「審査員の関根勤さんが『似てたねえ、すごいねえ、いくつ? 50歳には見えないねえ!』って(笑)、すごく喜んでくださったんです。あれは自信になりましたね」

 

 その約1カ月前、3月31日深夜に放送された『タモリ倶楽部』(テレビ朝日系)の最終回では、「タモリ流生姜焼き」が特集された。

 

「じつは、『ものまねGP』のスタッフの方にネタ見せをして、『生姜焼きでいこう』と決まったのは、『タモリ倶楽部』の放送よりも前のことなんですよ。最終回で何を取り上げるかはもちろん知りませんから、本当に驚きました」

 

 完全にタモリに憑依したジョニーが呼び込んだ “奇跡”。こうなれば、最大の目標である「タモリさんとの共演」も夢物語ではないかもしれない。

 

「今も週に5回、物流倉庫でアルバイトをしています。嫁と息子2人、なんとか暮らしていけるくらいの稼ぎで、ずーっとぎりぎりでした。バイト生活からの卒業――は少し先かもしれませんが(笑)、ここで売れないと、20年ついてきてくれた嫁や、本当に小さな規模ですけど、僕のことを応援してきてくれた人たちに申し訳が立ちません。忙しくなってほしいですね」

 

 家族の話になると、ジョニーは少し涙ぐんだ。飄々(ひょうひょう)とタモリになりきる男の、熱い思いがあふれた。

 

じょにーしむら
1972年生まれ 神奈川県出身 4月29日放送の『ズームイン!!サタデー』(日本テレビ系)でもタモリのものまねを披露して話題に。レパートリーは、本文で紹介したもの以外にコブクロ、植木等、秋川雅史、玉置浩二、山崎まさよし、GLAYなど。芸名は本名の「志村序(はじめ)」から

( 週刊FLASH 2023年5月23日号 )

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