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『ONE DAY』二宮和也らの熱演もむなしく“月9史上最低”に…脚本家の実力不足で豪華俳優陣は“大爆死”【ネタバレあり】

エンタメ・アイドル 投稿日:2023.12.19 16:00FLASH編集部

『ONE DAY』二宮和也らの熱演もむなしく“月9史上最低”に…脚本家の実力不足で豪華俳優陣は“大爆死”【ネタバレあり】

 

 イヤな予感が見事的中し、予定調和のエンディングを迎えた『ONE DAY~聖夜のから騒ぎ~』(フジテレビ系)。12月18日放送の第11話が最終回となった。

 

 嵐・二宮和也中谷美紀大沢たかおという大物たちによるトリプル主演作として、鳴り物入りで始まったフジの月9ドラマ。クリスマスイブのたった1日の出来事を1クールかけて描いていき、3人の主人公の物語が交錯していくというチャレンジングな試みの構成で話題を集めていた。

 

 

 二宮が演じるのは、記憶喪失で目覚めるとそこには銃殺された死体が横たわっており、殺人容疑をかけられてしまい警察に追われる逃亡犯・勝呂寺誠司役。

 

 中谷が演じるのは、自身で立ち上げた報道番組の終了を告げられ、最後に誠司の事件を特集しようと躍起になる地方テレビ局のキャスター・倉内桔梗役。

 

 大沢が演じるのは、店に誠司が侵入して来たことで秘伝のデミグラスソースの寸胴鍋を倒してしまい、クリスマスディナー営業の危機に直面する老舗レストランのシェフ・立葵時生役。

 

 誠司が容疑者となる事件が本作の主軸となっており、そこにほか2人の主人公の物語もリンクしていくという構造になっている。

 

 しかしフタを開けてみると、話が遅々として進まないとか、シンプルにおもしろくないとか、酷評が多数噴出していたのだ。

 

■【ネタバレあり】すべての真相が肩透かしでガッカリさせられた

 

 ネタバレありで、エンディングまでのストーリーを手短に説明しておこう。

 

 記憶喪失の誠司は違法薬物を売りさばく犯罪組織のメンバーとされていたが、第8話でじつは5年前から組織に潜入捜査していた警察官だったことが判明。

 

 最終話では、記憶を取り戻した誠司らの活躍により薬物取引の現場を押さえ、警察が犯罪組織の面々を一斉逮捕することに成功。

 

 また、桔梗がその現場を独占スクープとして生中継し、真実を伝える報道キャスターとして矜持を貫いて見せた。

 

 一方の時生は、今日一日の出来事で学び得たことを活かし、お弁当をモチーフにしたクリスマスディナーを提供し、無事に営業を終える。

 

 その後、じつは5年前に出会っていた桔梗と時生のカップルが成立。続いて誠司は、ずっと待たせていた恋人・梅雨美(桜井ユキ)と再会して抱擁。主人公3人にハッピーエンドが訪れたのだった。

 

……しかし残念ながら、フィナーレまで特に大きな驚きはなく、終始、予定調和だったというのが率直な感想。

 

 まず第1話の時点から、誠司は殺人犯などではなく、むしろ警察側の人間なのではないかという考察は容易にできていた。また桔梗が、誠司か時生のどちらかとカップル成立するというのもセオリーどおり。

 

 時生の店のソムリエール・梅雨美が、誠司の彼女だったという事実が途中回で明かされたときには少々驚いたが、衝撃的展開というほどでもなかった。

 

 特にガッカリさせられたのは、殺人事件の真相と謎の老人(佐藤浩市)の正体。

 

 殺人事件の被害者は殺されて当然の小悪党で、犯人は誠司を兄貴的に慕う犯罪組織のミズキ(中川大志)。意外性のない真相で、安直すぎて逆に驚いたぐらいだった。

 

 そして、ミステリアスな存在だった白髪の老人の正体は、時生の店の先代シェフ。ずっと意味深な演出をしていたキャラだったし、演じているのは大御所・佐藤だったので、驚愕な正体を期待していたぶん、肩透かし感がハンパなかった。

 

 たとえば、最後の最後でリアリティのある世界観を壊して、“白髪老人は本物のサンタクロースでした”というファンタジーオチにするぐらいぶっ飛んでいるほうが、まだマシだったかもしれない。

 

■『真夏のシンデレラ』をさらに下回り、月9史上最低視聴率を更新

 

 本作は、月9史上最低視聴率を更新してしまった。

 

 前クールの月9『真夏のシンデレラ』(フジテレビ系)が、全話の世帯平均視聴率(ビデオリサーチ調べ/関東地区)が5.7%となり、月9ドラマの歴代最低を記録していたのだが、『ONE DAY』はなんとさらに下回って全話平均5.3%と悲惨な結果に。

 

 今の時代、リアルタイム視聴を計測する視聴率はもう絶対的な指標ではないが、さすがにひどすぎる。ちなみに昨今は、低視聴率でもTVerなどの見逃し配信で再生数が爆発的に伸びれば高評価されるものだが、『ONE DAY』はTVerのお気に入り数は72.4万(12月19日現在)と微妙な数値だし、見逃し配信で人気を博しているということもなさそうだ。

 

 主演の3人だけでも十分豪華だが、それ以外にも佐藤浩市や江口洋介といった貫禄の大御所、桜井ユキや小手伸也といった実力のある中堅、中川大志や福本莉子といった旬な若手などを集結させたビッグプロジェクトだっただけに、大爆死と言わざるを得ない。

 

 トリプル主人公で、1日の出来事を描くという独創的な構成にチャレンジしたことは評価したいが、その斬新なことに取り組んだというプラス値を考慮してもひどい出来だった。

 

 原因はひとえに、脚本家の実力不足なのではないか。

 

 3人の主人公の物語を交差させておもしろく仕上げるには、めちゃくちゃ複雑な立体パズルを綿密に設計するような才能が必要だと思うので、こんな凡庸なアイデアしか湧いてこないなら、手を出すべき“素材”ではなかったのだろう。

 

 筆者は斬新な設定のドラマは好きだし、基本的に失敗したとしてもチャレンジングな姿勢だけでも高評価したいほうだが、『ONE DAY』の挑戦は勇敢というよりも、ただただ無謀といった印象だ。

 

 前クールで社会現象を巻き起こした日曜劇場『VIVANT』(TBS系)は、中盤である第4話で物語の端を発した誤送金事件を解決し、その後に二転三転する超展開で視聴者を釘づけにしていた。

 

 せめて『ONE DAY』も、全11話使ってだらだらと描いた事件を4、5話ぐらいで解決させて、後半にまったく新しい展開を持ってくるなどすれば、ここまで間延びするストーリーにならなかったと思うのだが……。

 

 余談だが、時生のレストラン編はコミカルに描かれていたので、もしかすると三谷幸喜脚本の名作『王様のレストラン』(1995年/フジテレビ系)のような、上質なコメディを目指していたのかもしれない。けれど『ONE DAY』は笑いのセンスもいまいちで、最後までスベり倒していて、失笑してしまった。

 

 いずれにしても脚本がつまらなすぎて、せっかくの豪華な俳優陣の熱演が報われない“史上最低の月9”になってしまったのである。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

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