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年商333億円「にしたんクリニック」西村誠司社長からの“ビジネス金言”仕事は「8割の精度がちょうどいい!」
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2023.12.26 06:00 最終更新日:2023.12.26 06:00
にしたんクリニックのCMでは事業内容をまったく告知せず、インパクトだけで知名度を獲得。エクスコムグローバル株式会社の代表取締役社長が展開する型破りなやり方は、強い信念に裏打ちされていた――。
【金言】悪名は無名に勝る とにかく名前を売れ!
「にしたんクリニック」「イモトのWiFi」。
ユニークなCMで知られる2つの事業、まったく違う分野だが、展開しているのは同じひとつの会社だ。
エクスコムグローバル株式会社。
1995年に創業、年商333億円の会社に育てたのは、西村誠司社長(53)。自社のCMに出演する名物社長に、2024年を生きるビジネスパーソンの心構えを聞いた。
西村社長がなによりも重視しているのは「知名度」だ。
「自分がビジネスの一部をまかされたなら、売るべき商品やサービスをまず知ってもらうことが大事。知ってもらわないことには、買ってもらえる可能性はゼロだからです。
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どんなに美味しいレストランも、知られていないとお客さんに来てもらえませんよね。ある日突然『このお店は美味しいぞ』とテレパシーを感じるなんてことはありません。
私たちだって、商品棚に並んでいるペットボトルの水を選ぶとき、知らない商品よりも知っている商品を選んでいるでしょう?」
とにかく名前を売ることが大事。「にしたんクリニック」「イモトのWiFi」のCMも、サービスの中身よりまず名前を覚えてもらうことに主眼を置いていることに、西村社長の考えが表われている。
「皆さんには、SNSの活用をおすすめします。TikTokで商品やサービスを紹介すれば、少なくとも300人には再生されるんです。視聴者の反応を見極めて、さらにカテゴリーを絞っていけば、その商品・サービスも、担当者自身も、その界隈では有名になっていると思います」
ビジネスパーソン個人にとっても、知名度を上げることは強力な武器となる。
「知名度があれば、プレゼンテーションや営業もやりやすくなります。『営業員の人柄で買う』という部分もありますからね。名前を知られていれば、会いたい人に会ってもらいやすいし、自分の夢の実現にも近づける。いいことだらけです」
【金言】考えるよりも行動“貧乏旅行”に出かけよ!
知名度を上げるための、西村社長のアイデアはいつもユニークだ。
「イモトのWiFi」は、タレントのイモトアヤコを当初CMに起用し、サービス名はイモトの名前をそのまま取った。
「にしたんクリニック」のCMでは郷ひろみがオリジナルソングを熱唱しているが、これも西村社長のアイデアだ。
ただ、西村社長に聞くと、最初からアイデアマンというわけではなかったらしい。
「起業した20代のころなんて、もう恥ずかしいレベルでしたよ。アイデアを出してすぐ行動はするのですが、失敗ばかりでしたね。でもその積み重ねがあって、だんだんと精度が上がってきた。やはり考えるより行動が大事なんです」
「イモトのWiFi」事業は、コロナ禍で売り上げが前年比98%減という大ピンチに陥った。だが西村社長は誰よりも行動が早かった。
まったく畑違いだった「PCR検査事業」にいち早く乗り出したのだ。それまでWi-Fi事業に関わっていた社員が検査スタッフに。すると経営はV字回復し、会社は救われた。
行動力の源泉はどこにあるのか。
「僕自身、もともと行動力のある人間ではなかったと思います。行動することが億劫に感じることもあります。でも一歩踏み出すことで、チャンスが訪れたり、感性が磨かれたりするような経験をたくさんしてきました。
背中を押すものがあるとしたら、好奇心でしょうか。25歳で初めて自分で会社を作ったときも不安はありましたが、自分の行動から何かが生まれることへのワクワク感のようなものが大きかったですね」
好奇心を育てるため西村社長がすすめるのは「旅をすること」だ。
「成功している人に共通しているのは、とてつもない好奇心と行動力があることです。あまりないと思う方は、貧乏旅行でもいいので新しい場所に行くことをおすすめします。旅先で新しい食べ物、新しい人々に出会う。自分がふだん出会わない人やモノとの接点を増やしていくことで、多くの刺激を得られます」
【金言】2割の時間で8割まで 決断のスピードを上げよ!
世の中は目まぐるしく変化し、ビジネスのスピードも加速している。年齢とともに体力も衰えていくなかで、どうすれば仕事のスピードを上げられるのか。
医療に通信に、多角的に事業を展開する西村社長にとって、スピードは命に等しい。
時間が限られているなかで、最大の成果を生み出すための、時間配分の法則があるという。
「“最初の2割の時間”で“8割の精度”に持っていきます。ただ、“残り8割の時間”で“残り2割の精度”を高めることはしません。
じつは、そこからはほとんど精度が上がらないからです。残りの時間は、また別のことに割きます。精度100%のものをひとつやる時間があったら、私は精度8割のものを5つやっているというわけです。
精度100%に仕上げても、成功する保証はありません。むしろ失敗するほうが多い。経験則として、2割の時間で8割の精度のものを、5つやるくらいがちょうどいいのです」
スピードはそのまま、個人への評価となる。それは新人もベテランも変わらない。西村社長のまわりの人たちも、デキる人はみんな、やることすべてが早いそうだ。
「たとえばLINEの返信が早いですね。努力しているというよりも、意識している。じつは時間をかけて考えたところで、結論はそんなに変わらないんです。
それがわかっているから、早く返信することを意識できているのでしょう。ただそういう人たちには、浮気性という共通点がありますけどね(笑)」
就職活動中の学生も、やはり返事が早い人は優秀である確率が高いという。実際の経験に基づき、解説してくれた。
「学生3人に採用通知を出したとします。彼らに同じように1週間後に返答期限を定めると、みんな同じ返答だとしても、早く決断する学生のほうが、社会人になってからも仕事ができることが多いです。仕事のスピードは、決断のスピードでもあるのです」
にしむらせいじ
53歳 1970年生まれ 愛知県出身 中学時代は、新聞配達のアルバイトで家計を支える。名古屋市立大学卒。アンダーセン・コンサルティング(現・アクセンチュア)社員を経て、1995年にインターコミュニケーションズ(現・エクスコムグローバル)設立。2012年、「イモトのWiFi」サービスを開始し大ヒット。2019年には「にしたんクリニック」を開院。2022年、「にしたんARTクリニック」開院
写真・野澤亘伸
取材・文/香川 誠