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禁断の初公開・バラエティ番組「職業別視聴率」会社役員、公務員、接客業で「見ている番組」が違う理由

エンタメ・アイドル 投稿日:2024.03.28 06:00FLASH編集部

禁断の初公開・バラエティ番組「職業別視聴率」会社役員、公務員、接客業で「見ている番組」が違う理由

内村 光良

 

 トランプ氏の米大統領再選が現実味を帯び、世界中で “国民の分断” が露わになりつつある。一見、平和に見える日本だが、じつは大きな“分断”が、お茶の間で巻き起こっていた。

 

「人気番組がひしめく昨今のバラエティですが、詳細に分析をすれば、職業ごとの好みがはっきりと見て取れます」

 

 そう語るのは、元NHK局員で「次世代メディア研究所」代表の鈴木祐司氏だ。鈴木氏が「TVAL」(モニターとなる視聴者の性別、年齢や職業などを分析できる計測サービス)を使用して、全バラエティ番組のなかから算出した「職業別視聴率」を、本誌で初公開する。調査は、民放5局とNHKで放送されているバラエティ番組を対象とした。

 

 

 今回は40~59歳の「正社員」「正社員以外」「会社役員」、職種では「事務職」「製造現場」「公務員」「営業職」、業界では「接客業」「自営業」「宿泊飲食業」のランキングを掲載した。

 

「『世界の果てまでイッテQ!』『ザ!鉄腕!DASH!!』『ぐるぐるナインティナイン』と、日テレの3番組の圧勝です」と鈴木氏は言う。

 

「『鉄腕DASH』『ぐるナイ』は、約30年続く長寿番組です。また、日テレは2004年ごろから、家族で一緒に番組を見る『随伴視聴』を狙っており、とくに10代と、その母親の視聴率を取るという戦略です。2007年から続く『イッテQ』は、まさにこの狙いが当たっています。

 

 日テレの“3強”のなかでも、とりわけ人気が顕著なのは、『イッテQ』。事務職や営業職で1位、宿泊飲食業以外でランクインしている。日刊紙を中心に番組評を執筆しているコラムニストの桧山珠美氏は、 “チームウッチャン” の雰囲気が多くの職種に支持されているのでは、と話す。

 

「この番組は、まさに家族で楽しめるバラエティです。始まったころはそんなに売れていなかった、森三中いとうあさこ、最近ではロッチの中岡(創一)などが、この番組への出演で人気者になりました。これは『俺が、俺が』と前に出すぎない、内村光良さんのチームリーダーとしての存在が大きいでしょう。視聴者をピリつかせない包容力や優しさは、いまの時代にマッチしているのだと思います」

 

 一方、会社役員、公務員でそれぞれ1位、2位を獲得したのが、『鉄腕DASH』だ。

 

「農業や自給自足にチャレンジする『SDGs的』な視点がある番組です。いまの時代、企業は、売り上げだけではなく、環境対策などへの姿勢が大事になっていますし、経営層は興味があるのでしょう。こうした“SDGs系”番組として、宮川大輔さんがMCを務める『満天☆青空レストラン』にも同様の傾向が見て取れます」(鈴木氏)

 

 お笑い評論家のラリー遠田氏は、同番組をこう分析する。

 

「宮川さんが地方の農家などと地元の絶品グルメを紹介するロケの様子は、農村などの自然の風景と相まって、視覚的に癒やされますから、休日に観るにはうってつけといえます。また、土曜の夕方に放送されているので、平日は忙しい人でも見やすいのでしょう」

 

 日本を取り巻く“日テレの支配圏”。では、他局はどう追随しているのか。公務員と会社役員のランキングで上位に入ったのが、NHKの『ブラタモリ』と『チコちゃんに叱られる!』だ。この結果に桧山氏は「公務員と役員は、NHKへの絶大な信頼があるのでは」と笑う。

 

「『ブラタモリ』も『チコちゃん』も、教養番組といったテイストです。バラエティ番組でも『視聴していることに意義を見出したい』という人に刺さっているのでしょう。専門家より教養が深いこともあるタモリさんは早稲田大中退ですが、岡村隆史さんも立命館中退です。勝手な偏見ですが、公務員や役員は、出身校にこだわりがありそうです(笑)」

 

『チコちゃん』の人気を、NHKならではの雰囲気と分析するのは、ラリー遠田氏だ。

 

「NHKのバラエティは、民放と比べてゆったりした作りです。『チコちゃん』での岡村さんとチコちゃん(声:木村祐一)とのやりとりは日常会話のようで、騒がしいバラエティが苦手でも観やすい教養番組になっています」

 

 正社員と宿泊飲食業以外でランクインした『マツコの知らない世界』にも「教養番組の魅力がある」という。

 

「この番組は、ニッチな趣味を持つゲストが、自分の好きな分野についてマツコさんに熱くプレゼンしていきます。自分と接点がなかった物事についての学びがあるから、役員と公務員でもランクインしているのでしょう」(桧山氏)

 

 逆に役員、公務員以外でランクインしているのが『有吉ゼミ』だ。

 

有吉弘行さんは『進め!電波少年』(日本テレビ系)で大ブレイクしましたが、その後、どん底まで落ち、“捨て身の毒舌”で這い上がってきました。さらに2021年、人気フリーアナだった夏目三久さんと結婚しました。そんな有吉さんは、男があこがれる存在だと思うんです。『有吉ゼミ』が自営業で3位と高いのは、『自分の城を築く』という夢を持っている男性からの支持が高いからでしょう」(桧山氏)

 

 製造現場、接客業などで1位は『オモウマい店』だ。番組のイベントには、来場者が殺到して謝罪する事態になった。「いま、もっとも勢いのある番組」と鈴木氏は語る。

 

「体力を使っておなかがすく仕事が多い製造現場で働く人は、ランチ時の楽しみの参考に、うまくてインパクトのある店に関心があるんでしょう。接客業の人にとっては、飲食店の成功例が見られるので、勉強になるのだと思います。また、個人的に注目したのは、営業職でのみ名前があがった『ジョブチューン』です。仕事をテーマに、いろいろな業界の“ぶっちゃけ話”を紹介する内容です。仕事柄、まったく毛色の異なる会社とのかかわりが多い営業職の人には、業界分析のよいきっかけとなり、興味深いのでしょう」

 

 視聴率の分断を生んでいたのは、視聴者の “職業病” だったようだ。

 

写真・本誌写真部、共同通信

( 週刊FLASH 2024年4月9日号 )

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