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間宮祥太朗『アクマゲーム』悪魔のCGはチープだし敵がコントのようだけど……それでもコレが “正解” の深い理由

エンタメ・アイドル 投稿日:2024.04.14 11:00FLASH編集部

間宮祥太朗『アクマゲーム』悪魔のCGはチープだし敵がコントのようだけど……それでもコレが “正解” の深い理由

 

 牛の姿をした悪魔のCGはどうにもチープだし、デスゲームの対戦相手がコントのようだし……「なんじゃこりゃ!?」とげんなりするような低クオリティドラマというのが率直な感想なのだが、しかし長期的な視点で考えるとこれが “正解” なのかもしれない。

 

 4月7日(日)にスタートした間宮祥太朗主演のドラマ『ACMA:GAME アクマゲーム』(日本テレビ系)のことだ。

 

 

 2013年から2017年まで『週刊少年マガジン』(講談社)に連載されていた同名漫画が原作。13年前、謎の組織に父を殺害された織田照朝(間宮)が、99本そろえればこの世のすべてを手に入れることができるという「悪魔の鍵」をめぐって、命がけの「アクマゲーム」に挑んでいく。

 

 先週放送の第1話では、照朝が反社勢力のボス(須賀健太)と対決。相手の発言が真実かウソかを見抜くという二択の心理戦をおこない、照朝が見事勝利するところまでが描かれた。視聴率は世帯5.7%、個人3.4%(ビデオリサーチ調べ/関東地区)だった。

 

■のめり込める気がしないので早々に脱落しそう

 

 基本的に心理戦がメインとなるようだが、「悪魔の鍵」を持つプレイヤーはそれぞれ特殊能力が使えるようになり、異能バトルの側面もある様子。たとえば反社勢力のボスは、空間ごと瞬間移動できる能力を持っており、バトル場所を部屋ごと北極に転移させて極寒にし、照朝の思考力を奪うというトンデモ展開となった。

 

 また、このボスは元天才子役の須賀が演じているのだが、「邪魔するでぇ!」「なんでもええじゃろがい」「じゃかしいわい」「迂闊じゃったのう」と、ゴリゴリの広島弁でしゃべるキャラクター。しかし、須賀は現在29歳ながらベビーフェイスのため、貫禄を出そうとしているのが裏目に出て、まるでバラエティ番組のコントのようだった。

 

 そして極めつけは、ゲームマスターとして対戦を公平にジャッジする立場の悪魔・ガドの存在。牛の姿をした人間の2倍ほどの巨躯の悪魔はフルCGで描かれているのだが、これがなんともちゃちいのである。テレビゲームに出てくるモンスターのようなクオリティで、リアリティは皆無。

 

 心理戦の駆け引き自体はよく練られていてそこそこ見応えがあったが、トンデモ超能力、コントのような広島弁、安っぽいCGの悪魔という三連コンボでかなり興を削がれた。

 

 そんなこんなで、残念ながら、40代半ばである筆者にはどうしてもおもしろいとは思えず、のめり込める気がしないので早々に脱落しそう……。

 

 だが、しかし。

 

 だからといって、このドラマが駄作だとか失敗だと言いたいわけではなく、むしろ “正解” だと言いたいのだ。

 

 その理由は、このドラマが「コア視聴率」(おおむね14歳~49歳に対象を絞ったデータ)を狙っており、さらに言うなら10代・20代がメインターゲットの可能性が高いからである。

 

 そもそも老若男女問わず、全世代におもしろいと思ってもらえるような物語なんてそうそうない。だから、年齢層や性別などある程度属性を絞ってドラマ制作するのがセオリーだ。

 

 そして、この『アクマゲーム』は、ハイティーンといった若年層に刺さるように作られているのだろう。そのため、あと5年もしたらコア視聴率の対象から外れるような40代男性(筆者)なんて、ハナから眼中にないのではないか。

 

 同じく日テレのドラマで櫻井翔主演の『大病院占拠』(2023年)、『新空港占拠』(2024年)も、「なんじゃこりゃ!?」と首をかしげるクオリティだったが、若者層を狙って一定の成功をあげていた。

 

■テレビ業界の未来を背負っているかも?

 

 さらに深掘りして考察すると、『アクマゲーム』がもし単体作品としてヒットしなくても、こういった若者層をターゲットにした “矢”(作品)を放ち続けることに、日テレとしては意義があるのだとも思う。

 

 もちろん、単体作品としてもコケるのは避けたいところだが、それはあくまで短期的な視点の話。長期的な視点で考えれば、10代・20代向けドラマを量産していくことで、少しでもテレビの視聴習慣がつく若者が増えてくれれば御の字なのではないか。

 

 若者向けに作っても全部が全部ヒットとはならないだろうが、ドラマを10本作ってそのうち3本ぐらいがヒットすれば、若者のテレビ離れを食い止める一助になるはず。今の10代・20代は10年後も20年後もまだコア視聴率の対象世代なわけだから、若者に興味を持ってもらうドラマを作っていくことは、テレビ業界の未来への先行投資になるわけだ。

 

 短期的な視野で、目の前のドラマをヒットさせることだけを考えていると、テレビ視聴の習慣が根づいている中年以上が好みそうな作風にするのが手堅いため、今の若者を度外視する作品になりがち。

 

 けれど、それではテレビ業界の先細りを止められない。テレビ離れしている若者たちが少しでも視聴する土壌を今のうちに作っておかないと、テレビというメディアの需要(寿命)が尽きるのを、ゆるやかに待つだけになってしまう。

 

 つまり、『アクマゲーム』という作品は、まだテレビ業界が多少なりとも元気で余力があるうちに、失敗のリスクを覚悟のうえで若者に刺さるように放った “矢” のうちの一本に違いない。

 

 余談だが、『アクマゲーム』の公式サイトでは、次のようなキャッチコピーで作品紹介されている。

 

《日本から世界へ―― 日本テレビの大型プロジェクトが始動! “究極のデスゲーム”を超VFXで実写化!! 全世界必見のサバイバル・エンターテインメント》

 

 この煽り文句を見たとき、筆者は「いやいや、ないない。大風呂敷を広げすぎだろ!」と心のなかでツッコミを入れていた。「超VFX」なんて言うのはあきらかに盛りすぎだし、とてもじゃないがこの作品で世界と勝負なんてできっこない。

 

 ただ、このキャッチコピーが全世界に向けられたものではなく、日本の若者に興味を持ってもらうためだけに作られたのであれば、非常に秀逸なのかも……。

 

 もしかしたら、日本のテレビ業界の未来を背負っているかもしれない『アクマゲーム』。第2話は今夜放送だ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。『日刊SPA!』に恋愛コラムを連載中。ほに『現代ビジネス』『文春オンライン』『集英社オンライン』『女子SPA!』などにコラムを寄稿

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