8月18日(日)に第7話が放送された成田凌主演『降り積もれ孤独な死よ』(日本テレビ系)。
謎が謎を呼ぶサスペンスドラマとして質が高く、おもしろい。
特に中盤回の第6話で、まるで最終回のような盛り上がりを見せ、息を吞んだ。続く第7話は、まるで「2」がスタートしたかのような新展開でさらに引き込まれた。
しかし、それゆえに懸念も出ている。はたして最終回は中盤の盛り上がりを越えられるのか? と不安なのである。
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■13人殺害の犯人は【ネタバレあり】
2017年、地方の豪邸の地下室から、13人の子どもの白骨死体が発見される。少年少女監禁死体遺棄事件として捜査が始まり、刑事・冴木仁(成田)は屋敷の主・灰川十三(小日向文世)を容疑者として追っていた。そんななか、捜査の過程で、灰川には血のつながりも戸籍上のつながりもない19人の子どもがいたことが明らかに。
13体の遺体はその子どもたちだとわかり、6人だけ生き残っている。生存者はだいたい20代の若者で、彼・彼女たちは口を揃えて「父は犯人ではない」と訴えていたが、灰川はあっさり逮捕。だが、留置場で亡くなってしまい――というストーリー。
ここからは第7話までのネタバレありで解説していく。
結論から言うと、13人の子どもたちを餓死させて殺害した犯人は、冴木の後輩刑事・鈴木潤(FANTASTICS・佐藤大樹)だった。留置場にいた灰川も、彼が自殺に見せかけて絞殺していた。
鈴木は冴木と行動をともにしていた明るく人なつっこい性格の新人だったが、裏の顔があった。灰川には血のつながった子はいないとされていたが、実は鈴木はワケあって灰川が赤ん坊の頃に捨てた実子だったのである。
鈴木は父への復讐心と、血のつながらない子どもたちへの嫉妬心から連続殺人を犯す。けれど、鈴木自身が知らなかった出生の秘密や、誕生後の凄惨な事件もあり、灰川は彼を守るために親子の縁を切っていたことが明らかに。
第6話で鈴木の正体や目的が判明し、第7話の序盤で彼は拳銃自殺。こうして2017年の事件の幕が下りた。
■中盤回で大きな謎は解けてしまっている
このように中盤回で犯人を突き止め、悲しくおぞましい過去も語られ、最終話のようなクライマックス感があった。そして、第7話中盤からは、7年後の2024年が舞台に。
第1話から少しずつ2024年の話も進行していたのだが、第6話までのメインは2017年だったため、とうとう2024年の物語が本格的に動き出したといったところ。
2017年のストーリーでは、生き残り6人のうち “次男” が行方不明だったことや、顔にアザがある不審な男の謎などが残っていた。また、2024年では少女の失踪事件や生き残っていた “長女” が何者かに殺されるなど、新たな事件も勃発しており、2017年の事件と関連があることが濃厚になってきている。
ただ、今後の展開や最終回に向けて、大きな懸念があるのだ。
第6話までに大きな謎は解けていて、灰川と鈴木の悲劇も衝撃的で非常によくまとまっていた。
前述したように、中盤で最終回のようなストーリーを描いてとても盛り上がっただけに、本当の最終回でそれを上回る衝撃のクライマックスが用意されているのか、と不安なのである。
■中盤を盛り上げすぎたのではないかという懸念
当然だが、連続ドラマがもっとも盛り上がるのは最終回であるべきだ。中だるみしないように中盤で盛り上げるのも大事だが、終盤はそれを越えないと肩透かしを食ってしまう。
また、第7話から「2」がスタートしたかのようなストーリーになっているが、ドラマや映画では「1」が大ヒットして「2」が制作されるも、前作を越えられずに酷評されるのは “あるある” だ。
要するに、中盤を盛り上げすぎたのではないか、ということ。ここまでかなりハマッているからこそ、期待の裏返しで2017年編を2024年編が越えられるのか疑心暗鬼になっている。
しかし、逆に考えると、筆者の考えが杞憂に終わり、ここからさらに二転三転していき、中盤の盛り上がりを越える驚愕のクライマックスが描かれるのであれば、相当な名作になるはず。
――今夜放送の第8話では、2017年でヒロイン的ポジションを務めた生き残りの “次女”(吉川愛)が、少女失踪や “長女” 殺害への関与が疑われる展開。不安も大きいが、中盤越えの物語を期待している!
恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中
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