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香取慎吾『日本一の最低男』はタイトル詐欺?…初回から “とっておきのカード” を使ってしまって今後に不安

エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2025.01.16 11:00 最終更新日:2025.01.16 11:00

香取慎吾『日本一の最低男』はタイトル詐欺?…初回から “とっておきのカード” を使ってしまって今後に不安

 

 

 よくも悪くもタイトル詐欺――これが第1話を観終えたあとの率直な感想だった。

 

 元・SMAP香取慎吾が11年ぶりにフジ系連ドラに主演するとして、放送前から話題を集めていた『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』が、1月9日(木)にスタートした。

 

 

■物語のあらすじだけ聞くとたしかに「最低男」

 

 テレビ局社員として有名ニュース番組のプロデューサーを務め、エリートの勝ち組人生だと自負していた主人公・大森一平(香取)だが、ある不祥事が原因で退社するハメに。現在はフリージャーナリストを名乗っているが、ほぼ無職という悲惨な状態なので、世間を見返すための起死回生の一手として、政治家転身を決意する。

 

 一平は次の区議選での当選を目指すが、SNSで家事・育児に取り組む生活者目線を持った立候補者だとアピールするため、亡き妹の夫でいまはシングルファーザーの義弟・小原正助(志尊淳)と、その2人の子どもを呼び寄せて、4人で同居生活を始める。

 

 本当は家族なんて不要だと思っているタイプで、これまで家事なんてほとんどしておらず、子ども嫌いで育児なんてしたくもないのに、区民からの好感度アップのダシにすべく、義弟一家を利用しようという魂胆だ。

 

 さて、たしかにこの物語のアウトラインだけ聞くと、タイトルどおりの「最低男」と言って差し支えない。実際、第1話前半の一平はプライドが高く傲慢で、器の小さい自己中男のように描かれていた。

 

 しかし、第1話後半で、さっそく改心していく様子が描かれ、「実はよい人」要素が出てきたのである。

 

■第1話中盤以降、さっそく始まった善人化

 

 第1話序盤の懸念材料は、シンプルに「おもしろくない」ということだった。主人公が本当にただただイヤな人間で、感情移入できなかったからだ。

 

 何話か物語が進むにつれて改心していき、徐々に魅力的な人間味が出てくるのだろうとは思ったが、そのカタルシスが得られるまで、我慢して観続けるのがしんどそうだと感じていた。

 

 ただ、第1話中盤以降、保育園に通う甥っ子・朝陽と触れ合うことで、風向きが変わっていく。

 

 ダンスが苦手な朝陽のために、お遊戯会に向けての特訓をしてあげたり、自分の落ち度について正助にきちんと謝って反省する様子が描かれたり。

 

 正助と2人きりのときに「朝陽って小さいころの俺に似てる。俺も子どものころ、運動神経悪くてさ」と自分に重ね合わせる発言や、正助から器用に生きてきたように見えると言われると、首を横に振って「なんとか努力でやってきただけ」と吐露することも。

 

 また、朝陽は、すい臓がんだった母(一平の妹)は自分が迷惑をかけたから亡くなったと思い込んでいたのだが、一平がその誤解をていねいに解いてあげるシーンもあった。

 

 極めつけは、政治家転身に大事な会合から早めに抜け出して、朝陽のお遊戯会に駆けつけるシーン。舞台上で固まってしまってダンスができない朝陽に、「お前がママを笑顔にするんだろ!」と大声ではっぱを掛け、観客席から一緒に踊ってあげる一平の姿は胸熱だった。

 

■この主人公で『日本一の最低男』は無理がある

 

 序盤の懸念は杞憂に終わり、一平と朝陽の絆に感動させられて、なかなかおもしろい第1話だった。

 

 ……けれど、ここで本作のタイトルを思い出してもらいたい。『日本一の最低男 ※私の家族はニセモノだった』である。

 

 第1話から、こんなに根っこの部分からにじみ出る “いい人ムーブ” をする主人公を指して、「日本一の最低男」というのは無理がある。たしかに最低な部分もあるが、いいヤツの部分も多いので、少なくても「日本一」と評するのは誇大広告すぎだ。

 

 1話という限られた尺のなかで、上手に起承転結を描いて視聴者にカタルシスを与えたストーリーはお見事。だが、初回から早々にタイトル詐欺だと思えるような展開はいかがなものか。

 

 そもそも「最低男」を題材にするのであれば、主人公が改心したりいいヤツ感を出したりする展開は、ここぞというときに切る “とっておきのカード” であるべきだろう。

 

 にもかかわらず、初回から使ってしまったので、今後そのカードが乱発され、感動がチープになっていかないかという不安も出てきた。

 

 今後の展開で、善人化が始まっている主人公をいったんまた悪人に戻し、視聴者に改めて主人公が最低野郎であることを示していかないと、タイトルとどんどん乖離してしまう。今夜放送の第2話がどんなストーリーになるか、要注目だ。

堺屋大地

恋愛をロジカルに分析する恋愛コラムニスト・恋愛カウンセラー。これまで『女子SPA!』『スゴ得』『IN LIFE』などで恋愛コラムを連載。現在は『文春オンライン』『現代ビジネス』『集英社オンライン』『日刊SPA!』などに寄稿中

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