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営業社員を “売り子” 呼び「フジテレビ」経営揺るがすCM減の舞台裏…広告代理店に「嫌われていた」衝撃実態【中居問題余波】
「新社長になった清水賢治さんは、CMの取り下げ対応に奔走している現場からの声について聞かれ、『営業担当の取締役、そして営業担当、営業局長、そしてその下の “売り子たち”。さまざまなレベルで各スポンサーをまわっていると聞いております』と答えました。営業局の自社社員のことを “売り子” 呼びですからね。ひどいですよ」
と苦笑するのは大手広告代理店の現役社員だ。
元SMAP・中居正広が起こした女性とのトラブル。女性の被害を把握しておきながら1年半にわたり起用を続け、幹部社員が中居と被害女性を引き合わせたという疑惑があるフジテレビ。一連の “不手際” で被った損害はかつてないほどの規模になりそうだ。
【関連記事:フジテレビが苦悶する「スポンサー撤退ドミノ」…港社長が提起した「人権理念」が自局を苦しめる “大ブーメラン” の皮肉】
「70社以上のスポンサーがCMの取り下げや提供番組の休止などを決めました。
港浩一社長と嘉納修治会長は辞任を発表したものの、第三者委員会が調査を終えるまで、スポンサー各社が再び出稿することはないのではないでしょうか。
こうした状況を踏まえてか、フジテレビの親会社であるフジ・メディア・ホールディングスは、1月30日、2025年3月期の通期(2024年4月1日から2025年3月31日)までの見通しを大幅に下方修正することを発表しました」(事件担当記者)
発表によれば、前回予想で5983億円としていた売上高は5482億円にとなり、じつに501億円のマイナスだ。営業利益は353億円から180億円に、経常利益は404億円から241億円に、さらにすべての経費を除いた純利益は290億円から99億円に減少する見込みだという。
「これらはすべて、中居さんの問題によってCM取り下げが発生したことが原因です。フジテレビは『広告主と築いてきた信頼関係を復活し、今後早期に広告の発注を再開していただくため広告料金を請求しない方針』と発表しています。つまり、スポンサーの意向によって取りやめたCMについては、返金するということです」(同)
経済ジャーナリストの松崎隆司氏は、フジテレビ単体で赤字になる見込みだと解説する。
「持ち株会社に移行後、フジテレビが赤字になるのは初めてのことですね。4月以降の契約も、事実上、止まっていますし、調査委員会の発表も3月末がメドとされています。
もともと、フジ・メディア・ホールディングスは、収入の7割をスポンサー収入等で稼ぐ放送メディア事業が占める一方、営業利益の半分はサンケイビルの不動産事業で稼ぐという、非常に歪な事業構成でした。
とはいえ、キャッシュフローを支えていた放送メディア事業を回復させないことには、HD全体に悪影響が及んでくるのは避けられないでしょうね」
“人権軽視” という事態の大きさを考えれば、当然のことーー。ところが、「本来はもっとダメージを抑えられたはず」と語るのは、大手広告代理店関係者だ。
「通常、こうした不祥事が発覚した際に、広告代理店はメディア対策を含め、炎上が大きくならないように、あらゆる手を打つものです。スポンサーは “飛び火” を警戒して広告を引きあげようとしますが、そこをなんとか説得するのも広告代理店の腕の見せどころ。
ところが、フジテレビの一件については、広告代理店がまったく動いていないんです。CMの出稿を次々と停止するスポンサーに対して『どうぞどうぞ』という感じです。異常な事態ですよ」
なぜフジテレビは広告代理店に “見捨てられた” のか。
「ずばり、嫌われていたんですよ(笑)。われわれに対する態度のデカさや冷たさは、ほかの民放キー局と比べても異常なほどでした。清水社長は自社の営業社員のことを “売り子” と呼んでいましたが、かつてはわれわれ広告代理店の人間のことも “売り子さん” と呼んでいました。
正直、この先テレビの広告枠が今まで以上に値上がりすることもないし、フジテレビを必死に守る必要はない。自業自得でしょう」
冒頭に登場した広告代理店の現役社員も本誌にこう明かす。
「国内の総広告費は7兆円程度ですが、テレビ広告が占めるのは1兆8000億円に過ぎません。対してインターネット広告は2兆6000億円です。しかもテレビCMは、地上波に限れば2022年より4%減です。広告におけるテレビの比重がどんどん減っているんですよ。
結局のところ、もっとも大切なのはスポンサー企業であり、フジテレビにCMを提供することがスポンサーにとってマイナスなら、私はむしろ出稿取りやめをすすめます。CMを出す先ならほかにいくらでもありますから。
テレビ局に頭を下げて、“CMを出させてもらう” という時代は終わったんですよ」
メディア業界の勢力変化も大きな原因だったというわけだ。