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日比谷野音『NAONのYAON』伝説のドシャ降りステージを相川七瀬×寺田恵子×杏子×中村あゆみが語り尽くす!

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記事投稿日:2025.04.18 06:00 最終更新日:2025.04.18 07:33
出典元: 週刊FLASH 2025年4月29日・5月6日合併号
著者: 『FLASH』編集部
日比谷野音『NAONのYAON』伝説のドシャ降りステージを相川七瀬×寺田恵子×杏子×中村あゆみが語り尽くす!

久しぶりの再会に4人の座談会は大盛り上がり(写真・福田ヨシツグ)

 

 デビュー30周年を記念した「相川七瀬のBIG BANG対談」。第2回のゲストは、2025年19回めを迎える“女性限定”のロック・フェス『NAONのYAON』をきっかけに交流を深めているSHOW-YAの寺田恵子、BARBEE BOYSの杏子、“応援歌の女王”中村あゆみ。ロック・クイーンたちの降臨だ!!

 

相川 『NAONのYAON 2025』が4月29日に開催されますが、2025年は「昭和100年」なんですね。『NAONのYAON』はそもそもどうやって立ち上げられたイべントなんですか?

 

寺田 『オールナイトニッポン』(ニッポン放送)のパーソナリティをやっていたときに、“THE ALFEEの野外コンサートに10万人のファンが集まった”というニュースを聞いて、“負けたくない”って思ったんだよ。

 

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杏子 THE ALFEEって、恵子ちゃんと同世代?

 

寺田 向こうのほうが大先輩。でも、“負けらんねぇ”“勝ちてぇ”という闘争本能がメラメラ燃え上がって(笑)。

 

中村 待って。ということは、これまで数々の伝説を築いてきた『NAONのYAON』は、恵子ちゃんの“負けらんねぇ”から始まったということ?

 

寺田 そういうことに……なるかな(苦笑)。

 

中村 ごめん。今の話、聞かなかったことにする(笑)。

 

相川 そこから、イベントに向けて企画はとんとん拍子に進んだんですか?

 

寺田 勝つにはどうしたらいいんだろうと考えて。女だけのコンサートだったら勝てると。で、ラジオの生放送中に「女性だけのイベントをやっちゃおう!」と宣言したら、それを聞いた事務所やレコード会社の人たちが「おもしろいね」と賛同してくれて。

 

中村 ロケーションが最高で、“ロックの聖地”と呼ばれる日比谷野音を会場に選んだことも、ネーミングを『NAONのYAON』としたセンスもすごいよね。

 

■みんなでスケバン風のセーラー服を着て熱唱

 

相川 場所もネーミングも、恵子さんのアイデアですか?

 

寺田 場所は、みんなで話し合っているときに「野音はどうよ?」ということになって。ネーミングはスタッフのアイデア。最初は「いいじゃん」というくらいの感じだったけど、今は拍手したいくらい、いいネーミングだと思う。

 

中村 ごめん。その話も聞かなかったことにする(笑)。

 

杏子 うまくいくときってそういうものなんじゃない。計算も打算もない。ただ、まっすぐな思いだけ。そこが、恵子ちゃんのすごいところだと思う。

 

相川 第1回(1987年)に出演したバンドは、SHOW-YAとプリンセス プリンセスの2組。ほかにどんなメンツだったんですか?

 

寺田 大先輩のカルメン・マキさんに、美保純さん、それに石川秀美ちゃん!

 

中村 アイドルの?

 

寺田 そう。ラジオ番組のゲストで来てくれた女優さんに「出てみませんか?」と誘ったり、当時、毎週のように出ていた『夜のヒットスタジオ』(フジテレビ系)で一緒になったアイドルのコに声をかけたり。

 

中村 『夜ヒット』の控室はビッグネームの人だけが個室で、あとはアイドルもロックも演歌の人もひとつの広い部屋だったから、声をかけやすかったというのはあったよね。

 

相川 えー!? ひとつの部屋、それ本当ですか?

 

中村 記憶に間違いがなければ、キョンキョン(小泉今日子)も広い部屋にいたような気がする。一緒にいるのが申し訳ないような気がして、私は廊下に立ってた(苦笑)。

 

杏子 私は男バンドの紅一点だったから、個室が多かった。

 

相川 そこは、バンドの強みですよね。

 

杏子 いや、でも、ものすごい勢いでプロデューサーに怒鳴られたことがあって……。

 

寺田 何をやらかしたの?

 

杏子 BOOWYとTHE STREET SLIDERSも一緒だったと思うんだけど。THE BLUE HEARTSもいたかもしれない。現場でいきなり、吉田拓郎さんの歌を歌ってくれと言われて。

 

寺田 いきなり?

 

杏子 そう。で、しようがないから、紙に大きく書かれた歌詞を見ながらそれっぽく歌っていたら、いきなり「適当にやってんじゃねーよ!」という怒鳴り声が上のブースから降ってきて(苦笑)。

 

相川 私はまだ学生だったから、先輩方をテレビで観ていたのですが、このころの番組はよくコンサート会場からの中継とかありましたよね?

 

中村 スタジオに行かないのが、カッコいいとされていたところもあったからね。

 

杏子 吉田拓郎さんだった思うけど、フルコーラスを歌えないならテレビに出ないと言って。そこから、みんなテレビ出演を敬遠するようになっていったんじゃなかったかな。

 

中村 永ちゃん(矢沢永吉)も、絶対に出なかったもんね。

 

寺田 SHOW-YAは、声をかけてもらったら“はい、はい、はい。出ます!”という感じだったけどなぁ。

 

相川 さすがSHOW-YA。

 

寺田 ずっと「お茶の間にロックを」と言い続けてきた人間としては、贅沢なんか言っていられないから。「2分半? もう、それだけあれば十分にSHOW-YAを見せられます」という感じだったね。

 

杏子 フルコーラスだろうが、2分半だろうが、そこで観てくれる人、聴いてくれる人の気持ちを掴めるかどうかも、実力のひとつだからね。

 

寺田 でも……。ロック系の雑誌には、「SHOW-YAは歌謡界に魂を売った」と、めちゃめちゃ叩かれた。

 

相川 それって、私が標準語でしゃべると、「大阪を捨てた」と言われるのと同じようなもの?(笑)

 

寺田 そうそう(笑)。七ちゃんが最初に出てくれたのは、2017年ぶりの開催となった『NAONのYAON 2008』だったよね。

 

相川 「女子校の文化祭みたいなお祭りにしたい」ということで、恵子さんも杏子さんも、セーラー服を着たんじゃなかったですか?(笑)

 

中村 杏子さんがセーラー服!?

 

杏子 着た着た。スケバンバージョンのセーラー服。

 

寺田 最初は白衣を着て、保健室の先生がいいって言っていたのに、リハーサルでみんながスケバン風のセーラー服を着ているの見て、「私もそれがいい」って言いだして。

 

杏子 その写真が、翌日のスポーツ紙にデカデカと載って。なぜか、うちの事務所の社長室に飾ってあった(笑)。

 

相川 あそこからですよね、『NAONのYAON』イコール、コスプレ的な感じになっていったのは。

 

杏子 浴衣でステージに立ったこともあったよね。

 

相川 ありましたね! でも、コスプレといったら、やっぱりあゆみさんでしょう。

 

寺田 ピンク・レディーの未唯mieさんがシークレットゲストで出てくれた『NAONのYAON 2015』のときだ。杏子さんも一緒にやるはずだったのに―。

 

杏子 「ごめんなさい、私にピンク・レディーは無理です」と、丁重に辞退して(苦笑)。

 

寺田 そうそう。衣装はピンク・レディー風でいいよねと話していたのに、あゆみちゃんが原宿で買ってきた完璧な衣装に、羽まで背負って出てきて。

 

杏子 羽はどこで買ったの?

 

中村 あれは、ほら『翼の折れたエンジェル』のときに、ファンがプレゼントしてくれて。家にいっぱいあるんだけど、そのなかの1個(笑)。

 

■今世紀最大級の大雨の中開催された伝説のライブ

 

相川 羽も衣装もわかりました。リハで「踊れなくてもいい」と言っていたのに、恵子さんとあゆみさんはケイちゃん(増田惠子)の振りを完コピしてて。私だけ全然踊れないという。あれはひどくないですか(笑)。

 

中村 私たちの世代は、記憶に刷り込まれていて、ピンク・レディーの曲が流れたら、勝手に体が動いちゃうんだよね。

 

寺田 あゆみちゃんは、声もケイちゃんだしね。

 

杏子 私も恵子ちゃんもハスキーだけど、無理やり喉を潰したハスキー。でも、あゆみちゃんは天然ものというか、粒子がハスキーだから高音も出る。

 

寺田 ほんと、羨ましいよね。

 

中村 同級生の女のコは、みんな未唯mieさんで、私だけがずっとケイさんパート。その努力がやっと報われた(笑)。

 

相川 未唯mieさんが踊れるのは当たり前で、もう素晴らしくキレキレで。恵子さんもあゆみさんも、ケイちゃんになりきって踊っているのに、隣でどうしようって思いながら踊っていたんですよ、私は(笑)。

 

中村 七ちゃんはあれ以来、みんなと一緒に踊るのが怖くなったんだよね?

 

相川 そうですよ。また裏切られるんじゃないかと思って、ビクビクしています(笑)。

 

寺田 ごめん、ごめん(笑)。

 

相川 『NAONのYAON』では、ほかにもいろんな思い出がありますが、忘れられないシーンといえば?

 

中村 土砂降りという言葉がかわいく思えるくらいの激しい雨と風の中で演った『NAONのYAON 2022』だね。

 

寺田 前の年に演った無観客での野音も雨で、終わって楽屋に戻った瞬間ジーンとしちゃって。

 

相川 あれは、ちょっと泣けましたよね。

 

杏子 でも、翌年はそれを遥かに超える大雨で。雨のステージは何度も経験してきているんだけど、目に向かって雨が飛び込んで来るというのは、初めての経験だった。

 

相川 大袈裟じゃなくて、今世紀最大級の大雨でしたよね。

 

寺田 そのなかで、杏子さんが一歩も怯まず、ギンギンに歌っている姿はカッコよかった。

 

中村 雨の中のライブって、それだけでカッコいいんだけど、あのときはそれを通り越して、感動的だったなぁ。

 

杏子 出演順に終えた人から、滑りますから気をつけてくださいとか、靴を変えたほうがいいかもですとか、伝言ゲームのように伝えていって。とにかく寒いですからとかね。

 

相川 みんな家に帰った後も、「お風呂に入ったのにまだ寒い」とか、LINEでやり取りしたほどでしたからね。

 

寺田 最後まで残ってくれたお客さんも含めて、あの一体感は伝説級だったね。

 

――未唯mieのほかにも、アン・ルイス、本田美奈子.さん、白井貴子、夏木マリ、八代亜紀、山下久美子、大黒摩季…といったアーティストに加え、ダンプ松本、アジャコングら、多彩なメンバーで彩ってきた『NAONのYAON』ですが、今年のスペシャル企画について教えてもらえますか。

 

寺田 それは言えない(苦笑)。

 

――2015年に相川さんがリリースしたアルバムに寺田さん、杏子さん、中村さんが参加して『BOMBER GIRL』をセッションしていますが、野音で再び披露するというのはないですか。

 

寺田 BOMBER GIRLSね。

 

相川 待って。あの歌は、そもそも織田哲郎さんと近藤房之助さんのコラボ曲ですからね。

 

中村 えっ!? そうなの?

 

寺田 でも、BOMBER GIRLSが歌う『BOMBER GIRL』というのも間違いではないよね。

 

杏子 正しくはないけど、間違いじゃない。

 

中村 だったら、4人のユニット名は、BOMBER GIRLSでいいんじゃない?

 

相川 いいですけど(苦笑)。

 

――ということは、野音で、BOMBER GIRLSが復活する?

 

寺田 ごめん、それも当日のお楽しみということで(笑)。

 

中村 若い人たちに、「そこちゃんと、聴いとけよ」というくらいの気構えで、衣装も派手にぶち込もうかなと思っているので、期待してもらっていいですよ。

 

杏子 ファンの圧と熱気に押され、私のほうが呑まれ気味になるので、今年は“かかってこんかい!”というくらい強気で、男前で臨みます。

 

寺田 私は、今年はじゃなくて今年もですね。同じ空間の中で、思い切り楽しみたいし楽しんでもらいたい。気持ちはいつも「『NAONのYAON』へようこそ!」ですね。

 

相川 『NAONのYAON』は、ボーカリストの先輩、後輩、お客さん、そして演奏者の人たちと、すべての人と繋がれる貴重な場所。だからこそ、この場所はなくしたくないし、この先このイベントを支えていく一人は私なんだと、勝手に思っています。確実に、音楽のバトンを繋いでいくために――。

 

てらだけいこ
1963年7月27日生まれ 千葉県出身 1985年、SHOW-YAのボーカリストとして、『素敵にダンシング(Coke is it)』でデビュー。1991年にSHOW-YAを脱退し、1992年に『PARADISE WIND』でソロデビュー。2005年にSHOW-YAを再結成。現在もライブ活動を中心に活躍

 

なかむらあゆみ
1966年6月28日生まれ 福岡県生まれ大阪育ち 1984年にメジャーデビュー。1985年、3枚めのシングル『翼の折れたエンジェル』がメガヒット。アーティスト活動のほか、ママを応援するフェス『ママホリ』のオーガナイザーなど、プロデューサーとしても活躍している

 

あいかわななせ
1975年2月16日生まれ 大阪府出身 1995年シングル『夢見る少女じゃいられない』でデビュー。その後もヒット曲を数多く世に送り出す。2020年に國學院大學神道文化学部を受験し合格。卒業後、同大の大学院に進む。2024年11月、ミニアルバム『SPARKLE』をリリース

 

きょうこ
1960年8月10日生まれ 長野県出身 1984年、BARBEE BOYSのボーカルとしてデビュー。数々のヒットを記録し、1992年にソロアーティストとしての活動を開始。1998年、所属事務所が同じ山崎まさよし、スガシカオらとスペシャルユニット福耳を結成。SNSでのカバー動画が好評を博すなど注目を集めている

 

改修のため、現状の日比谷野音でおこなわれる最後の『NAONのYAON』を花で飾るというプロジェクトが進行中。現在、クラウドファンディング「うぶごえ」にて参加募集中

 

取材&文・工藤 晋 写真・福田ヨシツグ

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