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『坂本冬美のモゴモゴ紅白』第2回/35番めに登場した森昌子さんから大トリの森進一さんまで……演歌の大御所の方がズラリと勢揃い!

黒柳徹子、山川静夫アナ
この当時、出場歌手の皆さんが『NHK紅白歌合戦』のステージで披露するのは、その年に発売した新曲だったような記憶があります。
憧れの人、石川さゆりさんも『火の国へ』(29回)、『命燃やして』(30回)、『鴎(かもめ)という名の酒場』(31回)、『なみだの宿』(32回)と、夢のステージで新曲を歌っていました。
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しかし、です。1982年のテーマは “名曲紅白” 。三波春夫さんが『チャンチキおけさ』。千昌夫さんが『北国の春』。北島三郎さんが『なみだ船』。都はるみさんが『涙の連絡線』。大トリ森進一さんは、わたしの師匠・猪俣公章先生の先生、古賀政男先生が作詞・作曲された名曲中の名曲、『影を慕いて』を熱唱。
6年連続6度めの出場となったさゆりさんも、黒とシルバーのドレスに身を包み、2度めの『津軽海峡・冬景色』を披露してくれました。本当にいい歌は、何回聴いても何十回観ても、何百回、何千回聴いても心が揺さぶられますから、ファンとしては嬉しい限り。待ってました!です。
衣装は初出場(1977年)のときに歌った真っ白なドレスから一転、黒とシルバーのドレス……素敵です。素敵すぎます、さゆりさん。
当時の『紅白』を思い出すと、フィナーレに向けてこれでもかと、演歌の大御所の方がズラリと並んでいた印象がありますが、手元の資料を見ると記憶が正しかったことがわかります。
44組中35番めに登場した森昌子さんからは演歌、演歌、演歌。細川たかしさん、石川さゆりさん、村田英雄さん、小林幸子さん、北島三郎さん、八代亜紀さん、五木ひろしさん、都はるみさんと来て、大トリが森進一さん。まさに、演歌全盛の時代です。こんな時代もあったんですねぇ。ちょっと羨ましく思います。
紅組の司会は黒柳徹子さん。紅組の演奏はダン池田とニューブリード、東京放送管弦楽団で、白組の演奏は小野満とスイング・ビーバーズ、東京放送管弦楽団。審査員席には、ファッションデザイナーの森英恵さん、西武ライオンズを率いて日本一に輝いた広岡達朗さん、翌年(1983年)に放送されることが決まっていたNHK連続テレビ小説『おしん』の脚本を書かれた橋田壽賀子先生のお顔もあります。
紅組の松田聖子さん、河合奈保子さん、白組のトシちゃん(田原俊彦)とマッチ(近藤真彦)の4人による選手宣誓で始まった紅白対決は、紅組の勝利!
自分が出場させていただく前は、勝つのは紅組でも白組でも、どっちでもいいかなと思っていましたが、実際に出場してみると、勝つと嬉しいし負けるとちょっと悔しい。どっちでもいいかなとは、思えなくなりました(笑)。
えっ!? デュエットショーで都はるみさんと桑田佳祐さんが、『一杯のコーヒーから』をデュエットした?嘘でしょう?
サザンオールスターズとして第30回(1979年)以来、3年ぶり2度めの出場で、『チャコの海岸物語』を歌われたことは記憶にあります。
で、桑田さんが作詞、作曲されて大ヒットした『夏をあきらめて』を歌う研ナオコさんにマイクを手渡したシーンは覚えていますが……都はるみ先輩とデュエット!?
羨ましいです。羨ましすぎます。でも……このときわたしは、演歌歌手を夢見る15歳、花も恥じらう高校1年生ですから、手も足も出せないのですが(苦笑)、それでも、やはり……モゴモゴモゴ……。
さかもとふゆみ
1967 年3月30日生まれ 和歌山県出身『祝い酒』『夜桜お七』『また君に恋してる』『ブッダのように私は死んだ』など幅広いジャンルの代表曲を持つ。現在、最新アルバム『浪花魂』が好評発売中!
写真・中村 功、産経新聞
取材&文・工藤 晋