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小泉今日子&中井貴一『続・続・最後から二番目の恋』前作まで未視聴でもかなり楽しめる!“大御所” 脚本家の筆力に感嘆

『続・続・最後から二番目の恋』(公式インスタグラムより)
4月14日(月)にスタートした小泉今日子&中井貴一ダブル主演の月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。
古都・鎌倉を舞台に、テレビ局のプロデューサー・吉野千明(小泉)と、市役所の公務員・長倉和平(中井)の恋を描いたロマンチック&ホームコメディだ。
本作は2012年に第1期、2014年に第2期が放送され、前作から実に11年もの時を経てオリジナルキャストが再集結した続編という、なかなか希有な作品となっている。
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さて、ドラマ批評を担当している身として恥ずかしながら、筆者は第1・2期が放送されていた当時はドラマ全般を視聴していなかったため、『最後から二番目の恋』シリーズもこれまで観たことがなかった。
そして、本稿執筆時点でも第1・2期を未視聴で、いきなり第3期の第1話から観てみることにした。前作・前々作を未見でも楽しめるのか、正直にレビューしたいと思う。
■結論、かなりおもしろかった
さすがにまったく情報を入れずに観てもわからないことが多すぎるだろうと思い、少しだけ予備知識は入れておくことにした。具体的に言うと、視聴前に公式サイトのイントロダクションの情報を読んだだけ。あとは視聴しながら公式サイトの人物相関図をチェックし、どういったキャラなのか確認したという程度。
そのような最低限の情報しか頭に入ってない状態で第3期1話を観たのだが……。
結論、かなりおもしろかった。
これぞ会話劇と言えるような、キャラクター同士のテンポのいい軽妙な掛け合いの連続。こんなにもウィットに富んだ大人の物語だとは思わず、のめりこんだ。
もちろんわからないことも多い。真っ先に思ったのが、第3期1話に登場する人物たちが、過去シリーズから出ていたお馴染みのキャラなのか、それとも第3期から投入された新キャラなのかということ。
ほかにも、キャラ同士の距離感が、第1期スタート時点からその仲だったのか、それとも第1・2期で「雨降って地固まる」的な歴史があっての仲なのかもわからない。後者だとしたら、前作までのネタバレを観てしまっているようなものなので、もったいない気にもなった。
■デメリットを余裕で覆す脚本
ただ、そういった “わからない” があるデメリットは些細なことで、それを余裕で覆す脚本力によって、素直に「おもしろい」と感じられた。
第3期は基本的に2025年が舞台だが、2020年のコロナ禍のシーンが途中で挿入されており、じんわりと胸に響いて抜群によかった。堂々と “恋愛” とは言わないものの、お互いが信頼して惹かれあっている主人公2人の関係値がわかる、珠玉のショートエピソードとなっていた。
千明と同い年である59歳の女性3人による女子会の会話も “あるある” 満載でおもしろかった。また、中盤で千明がつい本人に言ってしまった「アホ部長」発言は、その場の小ネタ的のセリフかと思っていたが、人間の生命や人生を深く考えさせられる終盤のエピソードの前振りだったことがわかり、その構成力にも驚嘆した。
■傑出した “大御所” 脚本家の筆力
主演の小泉&中井だけでなく、長倉和平のきょうだい役の飯島直子、坂口憲二、内田有紀といった俳優陣の演技がみな素晴らしいというのは大前提だが、やはり “大御所” 脚本家・岡田惠和氏の筆力が傑出している。
本シリーズを手がける岡田氏は、1990年代から第一線で活躍し続けており、『南くんの恋人』(1994年/テレビ朝日系)、『イグアナの娘』(1996年/テレビ朝日系)、『ビーチボーイズ』(1997年/フジテレビ系)、『ちゅらさん』(2001年/NHK)、『ひよっこ』(2017年/NHK)など、人気作を多数執筆してきたヒットメーカー。
岡田作品のなかではマイナーな部類かもしれないが、筆者は個人的に『ランデヴー』(1998年/TBS系)、『泣くな、はらちゃん』(2013年/日本テレビ系)、『日曜の夜ぐらいは…』(2023年/テレビ朝日系)といった、切なくも胸が温かくなる世界観の作品もとても好きだった。
――第3期1話だけでも十分おもしろかったが、いまから大急ぎで第1・2期を観たくなるストーリーでもあった。ひとまず今夜放送の第2話もじっくり楽しみたい。