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芳根京子『波うららかに、めおと日和』ムズキュンラブコメの金字塔『逃げ恥』との決定的な違いは? 常に漂う「不安感」と「切なさ」

芳根京子主演で4月24日(木)に第1話が放送されたハートフル・昭和新婚ラブコメディ『波うららかに、めおと日和』(フジテレビ系)。
ムズキュンラブコメの金字塔『逃げるは恥だが役に立つ』(2016年/TBS系)とは決定的な違いがひとつある。そして、その違いによって、『逃げ恥』にはない “切なさ” という味つけが加わっている。
■昭和11年を舞台に「交際ゼロ日婚」の夫婦を描く
舞台は昭和11年。主人公・なつ美(芳根)は突然の縁談で、帝国海軍の中尉である瀧昌(本田響矢)と結婚することになり、「交際ゼロ日婚」の新婚生活がスタート。
なつ美と瀧昌はどちらも恋愛に不慣れで、初々しい2人がじれったくも少しずつ少しずつ距離を縮めていくという、ムズキュンが見どころのラブコメディである。
たとえば、お互いを下の名前で呼び合うだけでもモジモジ恥ずかしがったり、食器を持つ手と手が触れあっただけでどぎまぎしたり。
また、ウブななつ美がテンパッて「初夜とはなにをするんですか!?」とストレートに聞き、瀧昌は驚きながらも律儀に「それは、まぐわうことです」と答えるシーンなど、いい意味で観ているこっちが恥ずかしくなる。
しかもこの日、2人は “大人の関係” にはならず、手をつなぎながら眠るだけで翌朝を迎えるというムズキュン展開なのだ。
さて、そんな「ムズキュン」という言葉を世に浸透させたのは、新垣結衣と星野源が共演した社会派ラブコメディ『逃げるは恥だが役に立つ』だった。
妻(新垣)が従業員、夫(星野)が雇用主という「契約結婚」から始まる関係なのだが、異性との接し方がわからない契約夫との間に次第に本物の恋愛感情が生まれていく。そんな2人のムズムズしつつもキュンキュンさせられる関係性を、丁寧かつコミカルに描き、社会現象を巻き起こす大ヒット作となった。
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■5年後となる昭和16年に待ち受ける運命とは?
『波うららかに、めおと日和』と『逃げるは恥だが役に立つ』、ピュアな2人のじれったいやりとりを楽しむという点は共通しているのだが、決定的な違いがある。
それは時代設定。
昭和初期と平成後期という違いによって、文化や価値観がまるで違うのは言わずもがなだが、『波うららかに、めおと日和』は昭和11年に物語が始まっているのが重要なポイント。なぜなら、5年後となる昭和16年、太平洋戦争が始まるからだ。
ドラマが昭和16年まで描かれるのであれば、帝国海軍所属の瀧昌は戦地におもむくことになるだろう。
夫婦のそう遠くない将来に暗雲が漂っていることを視聴者は知っており、ムズキュンシーンを観ていても、常に頭の片隅にはぞわぞわした不安感がこびりついている。
2人の距離が縮まって幸せになっていくほど、視聴者の胸のなかに儚さや切なさといった感情も膨らんでいく点が、『逃げ恥』との差別化になっているのである。
■「昭和初期」シリーズがフジテレビを救うか?
フジテレビでは、半年前となる昨年10月期ドラマで、昭和初年を舞台とした『嘘解きレトリック』を放送し、好評を博していた。ジャンルはミステリーだが、ダブル主演した鈴鹿央士と松本穂香が演じたキャラのムズキュンな恋愛模様も、大きな見どころのひとつとなっていた。
『波うららかに、めおと日和』もヒットすれば、フジテレビにとって昭和初期を舞台にするシリーズが金脈となるかもしれない。
今夜放送の第2話でも、2人で旅館に泊まって初めてのキスを交わすのか、といったムズキュンポイントが盛りだくさんの模様。また、なつ美に想いを寄せる幼馴染男性が登場するようなので、瀧昌にとってライバルキャラになるのだろう。
開戦が近づく不安感を抱きつつも、第2話のムズキュンを楽しみたい。