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『続・続・最後から二番目の恋』死亡フラグが立つ坂口憲二が「最終話でも死なない」理由を考察

坂口憲二
坂口憲二が演じる次男は脳腫瘍の病が再発して亡くなってしまうのか?
5月12日(月)に第5話が放送された小泉今日子&中井貴一ダブル主演の月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)が、人気を博している。
古都・鎌倉を舞台に、テレビ局のプロデューサー・吉野千明(小泉)と、市役所の公務員・長倉和平(中井)の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年に第1期、2014年に第2期が放送され、前作から実に11年もの時を経てオリジナルキャストが再集結した続編という、なかなか希有な作品だ。
さて、千明の元彼であり和平の弟である長倉真平(坂口)は、2014年に結婚し、双子の子宝に恵まれている子煩悩キャラ。だが、真平は小学生のときに脳に腫瘍が見つかり、すぐ手術はしたものの再発の確率が高く、再発した場合は助かる可能性が低いため、常に死の気配を感じているという設定なのだ。
※本記事は脚本家・岡田惠和氏の過去作品のネタバレを含んでいます。ご注意ください。
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■第3期でもクローズアップされる深刻な病
2012年放送の第1期のときから彼の病はストーリー全体に大きな影響を与え、暗い影を落としていたのだが、現在放送中の第3期でも病気にまつわるエピソードが描かれている。
第2話で、妻と双子がお風呂から上がってきて、真平がバスタオルで拭いてあげるという何気ない家族団らんシーンがあった。そこで真平は「俺は幸せだぁ!」とまるで3人と自分自身に言い聞かせるように、わざわざ幸せ宣言をするのである。
妻いわく、そういった過剰な幸せアピールは毎日おこなわれているとのこと。それは死への漠然とした不安を打ち消すためであったり、自分がいつ突然いなくなるかわからないため家族への “幸せだった” という遺言のようであったり、とにかく悲観的な覚悟が見え隠れするため悲壮感が漂っている。
第4話では、さらに真平の病がクローズアップされる。子どもの頃からお世話になっていた主治医の先生が亡くなってしまい、ショックを受けた真平が家族に事情も告げずに現実逃避するという展開。家族からの愛ある説教を受けて、真平が「生きないとな、ちゃんと」と前を向くまでが描かれた。
先週放送の第5話の序盤では、家族の前で「先日は病院のことでいろいろと心配かけました」「これを機会に、もっと大きな病院で定期的に診てもらうようにしようかと思っています」と前向きな報告をし、ひとまず一件落着となっている。
しかし、前述したように常に再発の不安があるのは変わっておらず、真平の死亡フラグは依然として残ったままという状態なのだ。
■脚本家・岡田惠和氏の過去作品の結末は…
ではここから、坂口憲二演じる長倉真平は劇中で亡くなってしまうのか? を考察していこう。
『最後から二番目の恋』シリーズは脚本家・岡田惠和氏のオリジナル作品。岡田氏は1990年代から活躍しており、『ビーチボーイズ』(1997年/フジテレビ系)、『ちゅらさん』(2001年/NHK)、『ひよっこ』(2017年/NHK)など代表作を多数持つ大御所だ。
そんな岡田氏の過去作には、主人公や主要キャラが亡くなってしまう、もしくは消えてしまうという作品がいくつかある。
まず『南くんの恋人』(1994年/テレビ朝日系)と、その男女逆転バージョンのリメイク作『南くんが恋人!?』(2024年/テレビ朝日系)では、最終話で小さくなった恋人が亡くなる(消える)というラスト。ただ、こちらは原作漫画でも恋人が亡くなるエンディングなので、岡田氏がアレンジを加えているがオリジナルストーリーではない。
けれど、『南くんの恋人』の後に岡田氏オリジナル作品として放送された『若者のすべて』(1994年/フジテレビ系)では、最終話でメインキャラ2人がナイフで刺されて終幕。一命を取りとめて助かったのか、それとも亡くなったのかまでは描かれなかったものの、衝撃的なバッドエンドだったのは間違いない。
そして『泣くな、はらちゃん』(2013年/日本テレビ系)は、漫画のキャラクターである主人公が現実世界に現れるというファンタジー作品で、最終話で主人公が現実世界から消えるという温かくも切ないラストだった。
このように岡田氏の過去作品を踏まえると、長倉真平が亡くなってしまう可能性は十分あるように思える。
■現実でも難病と必死に戦ってきた坂口憲二
しかし筆者は、真平の病は再発せずに生き続けると考えている。
多くの岡田作品に共通する特徴として、“温かみ” というのが外せない要素としてあり、人の生死を描く場合はきちんと意味づけがされているケースがほとんど。そして真平は、常に死と隣り合わせという不安に押しつぶされそうになりながら、前を向いて生き続けることにアイデンティティがあるキャラクターだと感じる。
そう考えると、悩み苦しみながらも生きることがこの真平の存在意義であり、亡くなってしまうとしたらそのテーマ性が薄れてしまうように思えるのだ。
また、演じているのが坂口憲二だというのも重要なポイントだろう。
坂口は、2014年に右股の関節に痛みを感じて検査入院し、翌年に国が難病指定する「特発性大腿骨頭壊死症」と診断されている。仕事を続けていくことが困難となり、2018年からは治療に専念するため芸能活動を無期限で休止していた。
『風間公親-教場0-』(2023年/フジテレビ系)でドラマ復帰するも、出番は少ない役どころだったので、今回の『続・続・最後から二番目の恋』が本格復帰作となっている。
温かみがあってやさしい物語に定評がある岡田氏が、現実で難病と必死に戦ってきた坂口演じるキャラクターに対して、命を落とすようなストーリーを用意するとは考えにくい。
特に『最後から二番目の恋』シリーズは2012年から続く物語で、劇中のキャラクターたちは現実の時間経過に沿って歳をとっているので、その世界で生き続けているとも言える。また、こういった長期シリーズの場合、俳優たちはその役とともに生きている感覚を抱くようになるのは、よく聞く話でもある。
そういった背景まで踏まえると、坂口憲二が自分の分身のように愛着を抱いているであろう長倉真平というキャラクターを、生みの親である岡田氏が “途中退場” させるとは思えないのだ。
――筆者の希望的観測も含まれた考察ではあるが、坂口演じる真平は、きっと最終話でも、笑顔で元気に過ごしているに違いない。今夜放送の第6話以降でも、真平と家族たちの温かな絆にほっこりさせてもらえることを期待している。