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『続・続・最後から二番目の恋』第4期の可能性が限りなく低くなったと考えられる、中井貴一の「ひと言」

『最後から二番目の恋』でW主演の小泉今日子と中井貴一
大人の恋心の機微を描き、好評を博している小泉今日子&中井貴一ダブル主演の月9ドラマ『続・続・最後から二番目の恋』(フジテレビ系)。
古都・鎌倉を舞台に、テレビ局のプロデューサー・吉野千明(小泉)と、市役所の職員・長倉和平(中井)の恋を描いたロマンチック&ホームコメディ。2012年に第1期、2014年に第2期が放送され、前作から実に11年もの時を経てオリジナルキャストが再集結した続編という、なかなか希有な作品だ。
第3期となる本作は6月2日(月)に第8話が放送され、終盤に差しかかっている。
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シリーズファンのなかには、早くも第4期の放送を期待している人も少なくないだろう。だが筆者は、劇中の中井貴一演じる主人公のあるセリフにより、第4期実現の可能性は限りなく低くなったと考察している。
■「結論を出したくないっていうのかな」
千明と和平はお互いに惹かれあっており、酔っぱらった勢いで和平が千明にプロポーズした過去もあるが、いまだに体の関係はないし、正式に交際しているわけでもない。
第7話ではそんな微妙な間柄の2人の関係性について、和平が真剣に語るシーンがあった。千明にほのかな恋心を抱いている医師・成瀬(三浦友和)から、2人がどういう関係なのか問われた和平が、次のように説明したのだ。
「なんか、言葉にするのが難しいっていうか。う~ん、あの、『付き合ってるの? 恋人なの?』って聞かれれば、『いや、違います』としか言いようがない。まぁ違う。いや、違う……違うんですよね。
でも、一番大切な人であることは間違いない。ずっとそばにいてもらいたいと思いますし。幸せであってほしいとも思ってます。結論をね、出したくないっていうのかな。だから、楽しいっていうか。そういうのって、わかります?」
この言葉のなかに、第3期でグランドフィナーレになることを示唆したセリフが隠されていたと考えている。それは「結論をね、出したくないっていうのかな。だから、楽しいっていうか」の部分。
一般的な恋愛ドラマは、主人公の恋が実を結ぶのか、それとも失恋・破局してしまうのか、そこが最大の焦点となるもの。その “結論” を最終話で描くのがセオリーだ。
しかし、和平は「結論を出したくない」と語り、しかもその状態が「楽しい」と明言している。結論を出してしまうと、いまの2人の楽しい関係性が壊れかねないということでもある。
『最後から二番目の恋』シリーズは『ビーチボーイズ』(1997年/フジテレビ系)、『ちゅらさん』(2001年/NHK)、『ひよっこ』(2017年/NHK)など代表作を多数持つ脚本家・岡田惠和氏のオリジナル作品。
和平がポジティブな雰囲気で語ったそれらの言葉は、主人公2人が正式に恋人同士になったり結婚をしたりという結論は描かないという、岡田氏の宣言のようにも聞こえた。
■中井貴一が続編を引き受ける条件とは?
要するに今回の第3期で、「結論を出さない」という結論が示されたとも言える。
ほかにも第3期で最後になるのではないかと感じさせるエピソードは多い。
和平は4きょうだいの長男で、妹の典子(飯島直子)、双子の弟妹である真平(坂口憲二)と万理子(内田有紀)も本作の主要キャラクター。そんな3人も、第3期でそれぞれ人生の高い壁を乗り越え、前向きに次のステージに進む姿が描かれているからだ。
特に真平は小学生時代に脳の病気を患い、再発すると亡くなってしまうというリスクを常に抱えていたのだが、第8話で脳腫瘍がなくなり、完治していることが明かされた。第1期から物語全体に暗い影を落としていた真平の病が治り、死の恐怖から解放されたというグッドニュースは、完全完結への布石なのではないか。
第4期を作ろうと思えば、いくらでも作ることはできるかもしれない。大御所脚本家・岡田氏であれば、千明と和平の痴話げんかのようなわちゃわちゃした舌戦を無限に描けそうだし、そのほかの登場人物たちのほっこりした日常を楽しく綴ることもできるだろう。
けれど「結論を出さない」という結論がもう出ているとしたら、その後のエピソードは惰性による蛇足になってしまう可能性が高い。
余談だが、昨年10月期放送の『ザ・トラベルナース』(テレビ朝日系)の第2期に出演した中井貴一は、放送前のインタビューで「僕はいつも『続編をやるからにはバージョンアップしないと、やる必要はない』と思っているんです」と断言していた。
主演の中井の役者としてのポリシーも考えると、『最後から二番目の恋』シリーズは今作がグランドフィナーレとなる予感がびんびんだ。
いずれにしても、第3期は今夜放送の第9話を含め、残り数話。どんな最終話を迎えるか、いまから楽しみに待ちたい。