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芥川賞・直木賞発表も“該当なし” 27年ぶりの異常事態とますます高まる「本屋大賞」の存在感

該当作なしとなった今回の芥川賞・直木賞(写真・共同通信)
7月16日、第173回芥川賞・直木賞の選考会が行われたものの、両賞とも該当作なしの結果となった。両賞とも該当作なしとなったのは1998年の第118回以来、27年ぶりとなる。
「それぞれの正式名称は芥川龍之介賞、直木賞は直木三十五賞です。文藝春秋社内に事務所を持つ日本文学振興会が選考と授与を行っています。芥川賞は主に純文学の短編小説、直木賞は大衆小説が対象となります。発表は年に2度おこなわれ、マスコミにも取り上げられる有名な賞のため、書店にとって売上が見込める“目玉コンテンツ”となっています」
そのため、X上ではまさかの“該当作なし”に書店員たちを中心とした嘆きの声が並ぶ。
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《書店員、泣いてます。お客様も驚いていらっしゃいました》
《書店としては残念ですが、候補作はもちろんどれもオススメです》
《書店目線になると正直辛いかも……》
該当作なしの結果となった背景を書籍編集者が指摘する。
「今回芥川賞の候補は4作、直木賞は6作でした。通常、芥川賞は5〜6作程度が候補にあがるため、もともと有力な作品が少なかった可能性がありますね。直木賞は妥当な本数なので、こちらでも当選作が出ないのは意外でした」
仕方がない結果とはいえ、本を売る書店にとっては“大打撃”だと語るのは書店関係者だ。
「出版不況で紙の本が売れない状況が続いていますが、その中でも芥川賞と直木賞の受賞作なら“読んでみようか”と考えるお客様はいます。候補作は選考の約1カ月前に発表されますので、その時点で店頭に候補作を並べます。受賞決定後は、本の帯をまき直し、さらにプッシュする流れがあるのですが、今回それができないのはキツイですね。なんとか候補作を売り伸ばすしかありません」(書店関係者)
芥川賞と直木賞はあくまでも小説としての完成度の高さが評価される。作品が“売れるか”は副次的な要素にすぎず、売り上げのために無理やり当選作を生み出すタイプの賞ではない。一方、最近では新たな賞にも注目が集まっていると前出の書店業界関係者が続ける。
「現役の書店員の投票によって選ばれる『本屋大賞』が2004年からスタートしています。書店員が読み“面白い”と感じた作品が選ばれるのでダイレクトに売り上げにつながっています。リリー・フランキーさんの『東京タワー オカンとボクと、 時々、オトン』(扶桑社)や、百田尚樹さんの『海賊とよばれた男』(講談社)など映画化された作品も多いです。本屋大賞には新作小説のほかにも、過去の作品から名作を投票する“発掘部門”もあります。
すでに、“売れるのは本屋大賞”といった流れがありましたが今回のように、“該当作なし”となってしまうのであれば、ますますこの流れは加速するでしょう。権威があるのはいいことですが、“売り上げ”という現実社会へのインパクトがないと、直木賞も芥川賞も注目度が下がってしまうのではないでしょうか」(同前)
逆を言えば、賞でも取らないと売れないという過酷な現実もあるわけだが……。