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『愛の、がっこう。』せっかくのラウールの熱演が「悪しき夢物語」になる可能性…過度な純愛物語に疑問【ネタバレあり】

熱演を見せたラウール
純愛が実って感動! ラウールの演技も最高! ……でもこの結末、“ホストとの恋愛” を美談にしすぎじゃない?
主人公で高校教師の愛実を木村文乃、恋の相手役でホストのカヲルをSnow Man・ラウールが演じる恋愛ドラマ『愛の、がっこう。』(フジテレビ系)。9月18日(木)に最終話(第11話)を迎え、大団円のハッピーエンドとなった。
最終話前の第10話の段階で、2人は想いを確かめ合って正式に交際をスタート。カヲルは勤めていたホストクラブが閉店したこともあり、水商売から足を洗う決意をしていた。
■【ネタバレあり】高校教師とホスト、愛の結末は?
そして迎えた最終話。カヲルは美容師を目指して専門学校の入学試験を受けるが、残念ながら不合格。
ここからエンディングまでのネタバレをさせていただくが、カヲルは合格できなければ別れる覚悟をしていたため、カヲルから振る形で破局。彼はまた歌舞伎町のホストに戻ろうとしていた。
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しかし、思い出の海でおこなわれる花火大会の日に海岸で再会。カヲルはやはりホストをやめ、もう一度専門学校の試験を受ける決意をし、2人は復縁してハッピーエンドとなった。
筆者は、ラウールによるいい意味で生々しいホスト感や、陰陽のギャップで引き立てる切ない演技に魅了されていたこともあり、個人的には主人公カップルの純愛が実る形の結末でほっとした。
とはいえ、「このハッピーエンドってまずいんじゃないの?」と、モヤモヤが胸によぎっているのも事実。“ホストとの恋愛” を美化しすぎていて、悪質ホストの色恋営業を助長し、被害女性が増えてしまうのではないかという大きな懸念があるからだ。
このエンディングは、ホストに本気で恋をして過剰にハマってしまっている女性、いわゆる「ホス狂」にあまりに夢を抱かせるラストになっている。
■劇中の純愛を悪用するホストが出てくるかもしれない
たしかに劇中のカヲルのように、本当の愛に目覚めて、本命彼女のために水商売から足を洗うホストも一定数いるだろう。
けれど、悪質ホストはそういったケースを色恋営業に利用し、さも自分も本当の愛に目覚めたかのような演技をして、カモの客から何十万、何百万円と貢がせるのである。
また、足を洗う気もないのに、「君のためにホストをやめるから、最後にNo.1を取りたい」といった甘言でお金を引っ張るだけ引っ張って、結局やめないという悪質ホストもいるだろう。
つまり、カヲルが本当の愛に目覚めていたからOKというわけでもないし、カヲルがホストをやめているからOKというわけでもない。今後、劇中の純愛を悪用するホストが出てくるかもしれないということだ。
愛実とカヲルが幸せな結末を迎えたことは、筆者を含む本作のファンは感動しただろうが、いま現在ホストにガチ恋している女性、もしくはこれからホストにハマるかもしれない女性に、幻想を抱かせる「悪しき夢物語」となってしまったのではないか。
「私と彼も愛実とカヲルのようになれるはず」と妄信して騙される女性がいたら一大事。せっかくラウールが切ない熱演をしていたのに、脚本上の「純愛」が過度だったことがアダとなりかねない。『愛の、がっこう。』の結末を利用した悪質ホストによる被害女性が出てこないことを願うばかりだ。
■1分間のラストシーン、老夫婦に「なんじゃこりゃ」
余談だが、個人的にラスト1分のシーンは不要に思えた。
愛実とカヲルが海岸で復縁したシーンから切り替わり、ラスト1分は愛実の両親の自宅風景。モラハラ夫に愛想を尽かしていた妻が離婚を切り出していたが、こちらもよりを戻していたことがわかるシーンになっていた。
念のためお伝えすると、このラスト1分間には愛実もカヲルも登場せず。たしかに愛実の両親が離婚したのかどうかは気になっていたし、このあと実家に愛実&カヲルがやってくることが匂わされていたが、連続ドラマの最後の最後に挿入するほどのシーンだったのか、大いに疑問。思わず「なんじゃこりゃ」とつぶやいて、苦笑してしまった。
主人公カップルの純愛には感動したし、ラウールの演技は最高によかったが、いろいろと懸念や疑問が残る最終話だった。