哀川翔×ヒロミ「定年後に楽しい老後が待ってるなんて嘘っぱち」

 

ーーヒロミさんは芸能界を離れてから約10年、トレーニングジムの経営をしていましたが、社員と接するなかで経営者として何を感じましたか？

 

ヒ　芸能界にいたときはあんまり思わなかったけど、いざ人を雇って給料を払うとなったときに、自分がやってた仕事は特殊なんだって40過ぎて初めて感じたんですよ。「休み？　みんな休みなんか欲しいの？」みたいな感じで。

 

翔　休んだらもう来なくていい、だから。もう一生休んでなさいだもんね。

 

ヒ　そういうなかで育ってきてるでしょ。だから、「働きたくないの？」「いや、休み欲しいです」「マジで？　休むの？　え、週2日？」みたいな。そこの感覚を直すのにしばらくかかりましたね。俺らは業界で120%で仕事してきたじゃない。だけど一般の人って、たぶん60%とか 70%ぐらいで仕事してるんだよね。

 

翔　俺らは、家に帰ったら疲れ果てて倒れるぐらいやってたもんね。

 

ヒ　普通いないのよ、そんな人。それに100%でやるヤツがいると、逆にほかとのバランスで揉めるっていうのもわかった。みんなが100%で働いてるわけじゃないからね。

 

翔　でも、若いのいっぱい見てきてるけど、100%でやるヤツもいるのよ。そいつらは、やっぱり成り上がってるよ。

 

ーーとはいえ、体育会系的なノリでは今の若者はついてこないし、パワハラだ、モラハラだと騒がれます。50代にとっては、働きづらい時代だと思うんですが？

 

翔　それは甘えじゃない？　だって、給料もらってんだもん。その意識がないんじゃない？　お金もらってるんだから。

 

ヒ　俺らはへんな話、100万円でも100円でも、仕事受けたらもう同じじゃない。

 

翔　一緒だよ。俺らだって今は50代だからまだ仕事あるけど、60になったらなくなるよ。安くできる若いヤツがいっぱい出てくるんだから。それが普通なのよ。だから、やれるうちにやっといたほうがいい。「よーし、仕事が終わったら楽しい老後が待ってるぞ」ってないから！　一生懸命働いてるうちに、一生懸命遊んでないと無理。

 

ーー今の時代、部下との接し方に悩む人も多いですが、何かアドバイスは？

 

翔　みんな怒るのが下手だよね。自分の感情で怒っちゃうからダメなんだよ。感情で人を怒ると伝わらない。悪いところを指摘して怒ってやると、冷静に怒れる。

 

ヒ　怒るって、結局自分への戒めだから。俺は怒るときは、「お前、そういうのよくないよ」って直接言ってましたね。怒るときは直接言って、褒めるときは違うヤツから言わせるようにして。

 

翔　怒られてるうちが絶対華だし、怒られなくなったらヤバいと思ったほうがいい。俺なんか50代になっても、長渕（剛）さんに「いらんことばっかりしてんじゃねえ」って、家に呼ばれて怒られてんだから（苦笑）。

 

ヒ　で、正座して「そうですね」って聞いてるっていうんだから（笑）。でも、怒ってくれる先輩をちゃんと持ってたほうがいいよね。

 

翔　ありがたいね。ところで、俺は今年もラリーに行って走ってくるんだけどさ。ヒロミはどうする？

 

ヒ　丁重にお断わりします（笑）。ラリーがイヤなわけじゃなくて、10日間も海外に旅に出るって大変なんですよ。もっと若いヤツ見つけてください！

 

あいかわしょう
1961年5月24日生まれ　鹿児島県出身　1984年、一世風靡セピアの一員としてレコードデビュー。その後、Vシネマやバラエティなどで活躍。現在、初の主演ミュージカル『HEADS UP！』が、赤坂ACTシアターにて再演中のほか、25年ぶりのニューシングル『再戦』発売中

 

ひろみ
1965年2月13日生まれ　東京都出身　1986年、「B–21SPECIAL」を結成し、芸能界デビュー。バラエティタレント、MCとして活躍するも、テレビ業界を離れ、40歳のときに加圧トレーニングジムをオープン。10年の歳月を経て芸能界復帰後、数々の番組にレギュラー出演中

 

（週刊FLASH　2018年3月20日号）