エンタメ・アイドル
『スカーレット』戸田恵梨香に活を入れる「いけず女優」の正体
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.10.16 18:49 最終更新日:2019.10.16 18:50
「断言します。あんたには無理や、信楽帰り!」大阪に来たばかりの川原喜美子(戸田恵梨香)にピシャリと厳しい言葉を投げつけたのは、下宿屋「荒木荘」の元女中・大久保のぶ子(三林京子)だ。
きちんと結い上げた白髪、恰幅のいい体によくなじんだ着物と割烹着。重そうな体にもかかわらず、小走りにきびきび歩き、下宿人にお茶を頼まれると「あいよ」と快活に答え、テキパキ支度を始める。
【関連記事:戸田恵梨香主演の朝ドラモデルは「骨髄バンク」設立に尽力】
その堂々たる存在感に一目で釘付けになった。第3週を迎えたNHK朝の連続テレビ小説『スカーレット』の話だ。
『ビバ!大阪新生活』とサブタイトルにあるように、喜美子は故郷の信楽を離れ、大阪にやってきた。これから下宿屋「荒木荘」で女中修業を始めるのだが、下宿屋の主人で下着デザイナーの荒木さだ(羽野晶紀)より断然権限を持っているのが大久保さんなのだ。
ネットでも「言い方がキツイのに嫌らしさがない」「荒木荘に住みたい」「大久保さんが料理本出したら私は迷わず買う」と、大久保さんラバーがすでにあふれている。
この人はいったい誰なのか、ドラマウオッチャーの晴川日月奈氏が明かす。
「大久保さん、いいですよね! 私も毎朝、大久保さんに活を入れてもらうのが楽しみです。大久保さんを演じているのは三林京子さんという女優さんで、関西では知らない人はいない大、大、大ベテランです。
舞台を中心に活躍されていて、民放のドラマにはあまり出ていないため馴染みが薄いかもしれませんが、NHKの朝ドラは昭和、平成、令和の3つの時代で8本も出演しているんです」
三林は1951年、大阪生まれの68歳。NHKの朝ドラは『いちばん太鼓』(1985年)、『ぴあの』(1994年)、『ふたりっこ』(1996年)、『オードリー』(2000年)、『ファイト』(2005年)、『だんだん』(2008年)、『カーネーション』(2011年)に出演している。
「三林さんのお父様は文楽の人形遣いで人間国宝。由緒正しき家柄に生まれ、幼い頃から芸事に通じ、NHK大阪放送児童劇団に入ったのがきっかけで女優さんになったようです。
うちの母に聞いたら、若い頃は正統派の美人で、NHKの大河ドラマとか『水戸黄門』『暴れん坊将軍』などの時代劇によく出ていたそうですから、キャリアは相当長いですね」(晴川氏)
浄瑠璃、日本舞踊、狂言、さらには落語も3代目米朝に入門して修業し、一門初の女性落語家となり、三代目桂すずめの名をもらっている。
「戸田恵梨香さん、役柄での女中修業だけでなく、女優修業としても、すごく勉強になるんじゃないですか。三林さんにビシバシしごかれたら、きっと息の長い素晴らしい女優さんになれますよ」(晴川氏)
大久保さんは、最初は喜美子が女中として働くことに反対するも、次第にその頑張りを認め、女中としてのノウハウを教えるという役どころ。
三林も『スカーレット』出演が決まった際、「3時代8本もの連続テレビ小説に出していただける感謝の気持ちを込めて、しっかりと喜美子ちゃんを仕込みたいと思います」とコメントしている。
第3週の視聴率は、14日18.0%、15日20.4%だが、好調の秘密は、まさに大久保さんの “活” にあると思う。
16日は、喜美子が大久保さんに「どうか雇って下さい。働かせて下さい。戦わせて下さい」とお願いするが、大久保さんは口を真一文字にして「戦うて……子供相手にあほらしもない」と台所に行ってしまう。
それは、「リビングに残ったみんなにお茶を入れるのはあんたの仕事や」と、言葉にせず態度で示す大久保さんの、いけずだけど、深~い愛情。
「ちゃっちゃとしなはれ!」
朝一番に、大久保さんに活を入れてもらったら、今日も一日頑張れそうな気がする。