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【ヒット夜明け前】小島よしお「そんなの関係ねぇ!」誕生秘話

エンタメ・アイドル 投稿日:2019.10.27 16:00FLASH編集部

【ヒット夜明け前】小島よしお「そんなの関係ねぇ!」誕生秘話

 

 海パン一丁がトレードマークの小島よしおさん(38)。ネタ中に噛んだりオチを先に言ってしまい「へたこいた~」と落ち込むかと思いきや、軽快なBGMに合わせて「そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ! はい、おっぱっぴー!」とシャウトするリズムネタが有名だ。

 

「そんなの関係ねぇ!」は「ユーキャン新語・流行語大賞2007」でトップ10に選ばれ、この年、時の人となった。今回は小島よしおさんの「そんなの関係ねぇ!」の「ヒット夜明け前」に迫る。

 

 

 はじめはお笑い芸人ではなく、芸能人になりたかったため、「日テレ学院」のタレントスクールを受験。合格して、授業料の40万円を母親に無心するも出してもらえなかった。母親から大学受験をすすめられ、早稲田大学に入学した。

 

 大学の新入生歓迎会で、お笑いサークルに在籍していた「かもめんたる」岩崎う大さんから勧誘され、そのまま入会することに。

 

 サークルに入って1年後、2001年に開催された「ギャグ大学偏差値2000」というイベントに出演したことをきっかけに、小島さんを含む5人組の「WAGE」がスカウトされ事務所に所属することに。しかし、メンバー間の方向性の違いにより2006年に解散。

 

 解散とともに事務所から離れ、卒業後も就職せずにフリーターとなった。フリー芸人を続けていた小島さんは、芸人仲間の「東京ダイナマイト」松田大輔さん、「流れ星」ちゅうえいさん、元「さくらんぼブービー」木村圭太さんと毎日のように遊ぶ日々が続いた。

 

 そんなある日、「かもめんたる」槙尾ユウスケさんからサンミュージックの事務所オーディションがあると聞き、受けることを決意。

 

 小島さんは事務所に所属できるかどうかが決まる大事なオーディションの日も、いつものメンバーと遊んでいたが、さすがにその日は違った。

 

「『今日は夕方にオーディションがあるから、家に帰ってネタの練習をさせてください』って言ったら、『じゃ今、そのネタをやってみろ』って松田さんに言われたんです。

 

 それでやったら、先輩2人が『やばい。つまんなすぎて事務所に入れないよ! ネタを考えるぞ!』ってなって、松田さんと木村さんがその場で考えてくれたんですよ。それでそのネタをオーディションでやったら受かった(笑)」

 

 しかし、事務所に所属するも、仕事がなく暇な日々が続く。そんなとき、木村さんがDJを務めるクラブイベントに手伝いに行くことになった。

 

「DJブースにいたら、いきなり木村さんに『盛り上げろ』とマイクを渡されて。そのときにやったネタが、ブルース・リー風に『アター! アター! 下が南で上がキター!』ってやったんですが、全然ウケなくて(笑)。

 

 でも『何とかしなくちゃ』と思って、『すべったけど……そんなの関係ねぇ! そんなの関係ねぇ!』って言ったんです。

 
 そしたらフロアにいた人が『そんなの関係ねぇ!』ってマネし始めたんですよ。そこからは『明日は皆さん会社だよ。でも、そんなの関係ねぇ!』とか、何を言っても盛り上がるようになったんです」

 

 先輩のなにげないフリから窮地に追い込まれ、放った一言が、翌年の「ユーキャン新語・流行語大賞2007」のベスト10に選ばれるギャグとなった。

 

 クラブイベントの2~3カ月後、ラジオでネタをやる仕事が入った。小島さんがなんのネタをやるか迷っていたとき、クラブイベントに遊びに来ていた当時の彼女の口から思いもよらない話を聞いた。

 

「あのときの『そんなの関係ねぇ!』を今でも家でやってて、それを聞いたお母さんもやりだしたというんです。『あのギャグ、私の家で流行ってるよ』って言われて。それでラジオでやったら優勝したんです」

 

 だが、ラジオでやったときは服を着ていて、まだ未完成の状態だった。その後、衣装をどうするか考えたとき、体を鍛えていたこともあり、裸でやることに決めた。

 

 ちょうど、母親の沖縄料理屋を手伝っていた際、誕生日プレゼントで常連客から海パンをもらったことを思い出した。それが後にトレードマークとなるカラフルなブーメランパンツとなった。

 

 最初はライブでやってもお客さんにはウケなかった。しかし舞台の袖で見ていた芸人にはウケており、面白いと言ってくれたので続けることができた。

 

 ネタに手ごたえを感じたのは、おぎやはぎ、ドランクドラゴン、アンタッチャブル、アンジャッシュなど、そうそうたるメンバーが出演するライブに大抜擢されたときだった。

 

「ネタをやった後に、子供が『そんなの関係ねぇ!』のマネをしていたんですよ。それで共演していた先輩方が『これは絶対にいけるぞ!』って言ってくれて。

 

 そのときにアンジャッシュの渡部(建)さんが、『テンポがちょっと速いから下げた方がいいよ。その方が聞きやすいから』ってアドバイスをくれたんです。それで今のテンポになりました」

 

 こうして完成したネタを、ブレークへの登竜門番組『おもしろ荘』(日本テレビ系)で披露したことがきっかけとなり、大旋風が巻き起こったのだ。

 

 それにしても、このギャグが完成するまでに、こんなに多くの人が関わっていたとは知らなかった。数多くの人との出会いや助言により「そんなの関係ねぇ!」は完成したのだ。

 

 小島よしおさんの「ヒット夜明け前」には、数多くの人との出会いと助言、そして何より、人の意見を受け入れる素直な心が存在していたのだ。

 

取材・文/インタビューマン山下

 

 1968年、香川県生まれ。1992年、世界のナベアツ(現・桂三度)とジャリズム結成、2011年に解散。同年、オモロー山下に改名し、ピン活動するも2017年に芸人を引退。現在はインタビュアー、お笑いジャーナリスト

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