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「今年のM-1ファイナリストは全員一致、納得の9組」とチーフP
エンタメ・アイドルFLASH編集部
記事投稿日:2019.12.22 11:00 最終更新日:2019.12.22 11:00
漫才日本一を決める「M-1グランプリ2019」が、本日12月22日に生放送される(決勝/18:34~、敗者復活戦/13:55~、ABCテレビ・テレビ朝日系)。
昨年、霜降り明星が最年少優勝を果たしたことで、今年のM-1は流れが一変。若手実力派と実績ある芸人との本気のぶつかり合いが期待される。今年からチーフプロデューサーを務める田中和也氏に、見どころを聞いた。
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ーー今年のファイナリストのほとんど(9組中7組)が決勝初進出です。田中さんから見て今年の9組の印象は?
いい9組だなと本当に思っています。審査にも立ち会っているんですが、例年以上にスパンと決まったんです。「これでいいですか?」と時間がかかる年も正直ありますが、今年は全員一致、納得の9組でした。
ーーたとえばスポンサーなどから、「決勝のメンツが知らない芸人ばかりじゃないか!」と言われたりはしないんですか?
それはまったくないです、本当に。ありがたいことに、M-1ブランドを信じてもらえているのだと思います。視聴者の方々にも「誰が出るか知らないけど、M-1だから見てみよう」とチャンネルを合わせてくれる人は確実にいます。全組おもしろいのは間違いないですから。
いまバラエティ番組にひっぱりだこの人気者が決勝に出ていたとしても、世の中には彼らを知らない人も当然いる。
知っているか知らないかではなく、単純に「おもしろいかおもしろくないか」でチャンネルは変えられてしまうと思うので、M-1という名のもとであれば、おもしろい漫才が9つ並んでいる方が納得していただけると思うんです。無名であろうがおもしろければそれでいい。番組のために人気者を出そう! という思いはなかったです。
7人の審査員の審査を楽しみにしている人が多いのも、M-1の特徴だと思っています。なので、去年から審査員の話を長く聞く方針にしています。「審査員の話が長い!」と思う方も多いとは思うのですが。今年は1組に対して、できる限り審査員7人全員にコメントをもらおうと考えています。
ーー審査員は例年入れ替わりがありましたが、今年は昨年と同じです。その理由は?
単純に去年の方々がすごいと思うので。この7人だと芸人からしても納得感があると思うんです。今回2度目のナイツ・塙(宣之)さんは、M-1について考察した本も出されて。そこまで考えてくれているし、審査もビシッと的を射ている。最年少ですがすごくよかったので、今年もお願いしました。
ーー司会も変わらず、今田耕司さんと上戸彩さんです。
今田さんは、若い芸人さんたちとレジェンド級の審査員の間に入るには、ベストな方だと思います。たとえば、過去の大会で発した「いったい僕は誰としゃべっているんでしょうか」という一言もすごかったですよね。スタジオの空気を一瞬で変える天才だと思っています。
ーー今年の見どころを教えてください。
昨年の霜降り明星の優勝が、「オレたちにもチャンスがある」と芸人みんなの漫才スイッチを確実に押したと思うんです。復活後の2015年から、出場資格を結成10年以内から15年以内に延ばしたこともあって、2015~17年は完成され切った漫才が評価されて、みんな「漫才ってすごいな」と思いながら見ていた。
そこに去年、荒々しくてまだ粗削りながら、笑わずにはいられない勢いを持った霜降り明星が最年少優勝をして。今年は若い芸人の「俺らにもチャンスがある。同世代として負けられない」、芸歴10年以上の芸人たちの「なにくそ、意地を見せてやる」というぶつかり合いが上手くいっていると思います。
1回戦からカメラを回すベテランディレクターが、「今年の予選はヤバいくらいおもしろい」と言っていたり。
ーー今年のファイナリストを見る限り、いろいろな形のネタが揃った決勝になりそうです。特に、和装で小鼓を持つすゑひろがりずをどう見るかが気になります。
視聴者の方々はおもしろがってくれると思いますが、審査員にどう映るかは楽しみですね。2002年のテツandトモ以来の小道具持ちですから。
ーー確かに、すゑひろがりずはそれ以来の “鳴り物” 持ちです。
ただ、それが漫才の原点でもありますし。すえひろがりずは、より漫才マイクを意識してネタをしています。当時の審査員の立川談志さんは、テツandトモに賛辞として「てめぇらの来るところじゃねえよ」と言いましたが、その弟子であり、今年の審査員の立川志らくさんはすゑひろがりずに何と言うか。そのドキドキ感はありますね。
ーー「事前発表なし、勝ち上がり組発表後に即ネタ披露」とルール改正された敗者復活にも注目が集まります。
今年の敗者復活は特に熾烈です。和牛にミキ、カミナリにトム・ブラウン、マヂカルラブリーと決勝経験組だけでも5組いる。他にも実力者がたくさんいるんですよね。このルール改正は秋には決まっていたので、まさかこうなるとは思いませんでした。
これまでは番組冒頭で決勝進出者を発表して、スタジオに合流してからネタに臨んでいたので、復活組もいったんクールダウンしていた。そのぶん、敗者復活があまり目立っていない気がしたんです。
ーー確かに他のファイナリストと横並びの一組になってしまう感があります。
そうなんですよ。敗者復活もすごいよ! と。そこにもドラマがあるので、それが見えるようにしたいという思いでルール改正に踏み切りました。そうしたら奇しくも実力派揃いになってしまった。勝ち上がり組発表の後にいったんCMは入れますが、スタジオまでダッシュで移動して即ネタ披露です。
ーーライブ感の高まるルール改正により、今年のM-1がどういう盛り上がりを見せるかが楽しみです。
今年のファイナリストは、初決勝進出が多いぶん粗いと思われる組もいるかもしれませんが、それぞれに意地を持っている。今年は特に執念というか、意地でも上に行ったろうという強い思いを予選段階から感じました。どんな手を使ってでも上がってやるという漫才。それが画面から出ると思うので、名前を知らない芸人でも絶対に面白いと思います。それを感じながら楽しんでいただければと願っています。
※『M-1グランプリ2019』は今年も今田耕司・上戸彩を司会に、12月22日(日)18:34からABCテレビ・テレビ朝日系で生放送。審査員は昨年と同じく、松本人志、上沼恵美子、中川家礼二、サンドウィッチマン富澤たけし、立川志らく、ナイツ塙宜之、オール巨人の7人が務める。敗者復活戦は同日13:55~16:25で生放送され、視聴者投票で決勝へ進む1組が決定する。
構成&文/松田優子