――邦子さんは、柳原さんという後輩が出来てよかった?
山田 そりゃ嬉しいですよ。昔の太田プロは、女性がいなくて私が第一号だったの。スカウトされて行ったのに、「女は難しいからいらないんだよな」って(笑)。その後、女性だけでユニットを組んだりしたけど、「女は難しい! 面倒くさい!」という意味がわかった。結婚でやめちゃうコも多いしね。
――自身も女性として、「女は面倒くさい!」と思う?
山田 私は、女であることは楽しい。でも、男もやってみたい。芸人になってから、「自分が男だったら」と思うこともたくさんあった。(ビート)たけしさんや(明石家)さんまさんたちと、同性の同業者として渡り合いたかったしね。芸人全員が全裸になったときに、「私だけできないんだ……」と思ったり。裸になってみたこともあるんだけど、ドン引きされた(笑)。
柳原 私も一回やってみようかな(笑)。
山田 十数年たって、女性コンビの「モリマン」が脱いでウケたのを見て、時代が変わったな~と。「なぜ私はダメだったんだろう」と、さんまさんに話したら「俺もウケへんのや」って。さんまさんは、オチンチンの形が美しすぎるからシラけちゃうんだって(笑)。
――全裸を見るのがイヤではなく、できなくてイヤなのが芸人思考ですね。
山田 一緒に笑いを作っていけないことが悔しかった。だけど、桂三枝(現文枝)さんや(笑福亭)鶴瓶さんら、少し上の世代の兄さん方が、かわいがってくれて。この人たちもよく脱いだんですよ。そのときに、「私に期待されているのは、女のコの『キャー』というリアクションだ」と気づいて、そういう場での役割を見つけたんです。「オチンチン変な形!」と笑ったりね(笑)。
柳原 同じ土俵に立つのではない、女芸人の役割。今、女芸人はみんな自然とそう立ちまわっていますけど、邦子さんが作ってくれた道なんですね。
■号泣しているこの状況をネタにしてしまえばいい
――今、気になる女ピン芸人は誰?
山田 一人は横澤夏子。大ブスじゃないけどキレイでもなく、なんか変でおもしろかった。あと、ここに入れるのもなんだけど、指原莉乃ですね。本人は芸人だと思ってないでしょうけど、久しぶりに「私の次が来たか!」と。カンペどおりに進行するMCが多いなか、「自分をちゃんと持ってるな」と。で、ちょっとブス(笑)。親近感があるし、ちゃんと磨かれてもいる。
柳原 最近、生でネタを見てすごいと思ったのは、ゆりやんレトリィバァちゃん。間をたっぷり取るネタで、そのセンスと勇気に驚きました。ブルゾンちえみちゃんもすごい。「with“B”」を従えたり、音楽を丸々入れ込んだり、まだこんな手法があったかと。
――この機会に聞きたいことはある?
山田 孤独を感じることってある? 私はすごくあるし、孤独が大好きなの。
柳原 カッコいい! 確かに好きかも。
山田 ネタ作りは孤独だけど、ネタは自分のもので、他人に聞いたらつまらなくなるから、孤独に立ち向かうしかない。でも必ず光は差すから、少しでも光が見えたらそれにすがる。この達成感というエクスタシーは、ピン芸をやっている、特に女しか味わえない。
柳原 なんだか、カウンセリング受けている気分です(笑)。私、正直言うと、今までお笑いに関して苦労したことがなかったんです。ペンを持ったらネタがスラスラ書けるくらい超天才で!
山田 奇遇だね。私も天才なの(笑)。
柳原 でも最近、初めてやり方がわからなくなっちゃって……ヤバい泣きそう。初めて悩んでたんです(号泣)。
山田 これ泣く話!?(笑)。今のこの状況をそのままネタにしたらいいんだよ。これでひとつネタできたじゃん。
柳原 できましたね!(泣き笑)。
山田 可奈子っておもしろい生き物だわ~。鏡見てみな、すごい笑えるから(笑)。辛いのは成長している証拠だよ。
柳原 嬉しい! 頑張ります!(号泣)。
山田 もうお前、面倒くさいわ!
やまだくにこ
1960年6月13日生まれ 東京都出身 1981年に芸人として本格的にデビューし、『オレたちひょうきん族』『やまだかつてないテレビ』(ともにフジテレビ系)などで活躍。現在も司会、舞台、執筆などマルチに活動中
やなぎはらかなこ
1986年2月3日生まれ 東京都出身 2005年デビュー。2007年
に出演したCMで注目を集め、一躍売れっ子に。現在『バイキング』MCや『もしもツアーズ』(ともにフジテレビ系)ナレーションなどで活躍
取材&文・松田優子
(週刊FLASH 2017年5月9日、16日号)