NHK朝の連続テレビ小説『まれ』、そして『下町ロケット』(TBS系)。2015年最も飛翔した女優・土屋太鳳(20)は主演映画『orange―オレンジ―』で2015年を締めくくる。
今作は高二の高宮菜穂(土屋)に10年後の自分からある日突然、「大切な人が消えてしまう」という手紙が届く。大切な人(山﨑賢人)を救うために4人の友人とともに奮闘するという青春純愛ラブストーリーだ。
「いちばんの見どころは、キャラクター6人の友情だと思います。私と賢人君だけではどうにもならないことが、6人が揃うことで何かが変わるかもしれない、という友情の持つ可能性です。本読みが終わった時点から、それぞれの関係性を意識しながら撮影の合間の休み時間も過ごしました。だから『演じた』というより『生きた』という感じ。オレンジのように甘酸っぱい映画です」
そんな彼女の高校時代は女子校。甘酸っぱさとは無縁の“スポ根”生活!
「ある意味、すごく濃い青春を送っていました。私の入っていたダンス部は全国大会で入賞するぐらいの強豪校だったので、とてもキビしかったです。
たとえば、体育祭も勝つなら勝つ、文化祭も売るなら売る。全部本気で作戦を練っていました(笑)。だから、今回の映画で共学の高校生活ならではの切ない気持ちを体験できてよかったです」
2015年は多忙を極めた一年だった。
「映画『図書館戦争』では耳が聞こえない女のコの役だったので、目で伝えることの大事さを学びました。『まれ』では、結婚して子供を育てるという過程で命の大切さを。この映画では大切な人を失うつらさや悲しみ。そして『下町ロケット』では、親子の愛情や絆を学びました。『愛って何だろう?』ということを考える一年でしたね」
ある時期は平日は深夜まで『まれ』の撮影をおこない、土日は『図書館戦争』の撮影に明け暮れた。数少ないストレス解消法は「短時間でも走ること」だった。
「お仕事は精神力を使うんですけど、運動してないから、体力はあり余っている(笑)。心と体のバランスをとるようにしていました。友達と電話するのも癒やしのひとつです」
映画では10年後の自分から手紙が届く。彼女の思い描く 10年後とは――。
「10年後の自分には《大切な人と大切な時間をちゃんとかみしめていますか?》という手紙を送りたいです。
女優としては、ワークショップなど基礎をぜんぜん習っていないので、どこまで心がもつのかなという不安はあります。ちゃんと成長して『こういう役を土屋太鳳にやらせたい』と想像していただけるような女優になりたいです。
『まれ』の主人公は何歳までに結婚してって全部決めていたんですけど、私も、けっこうそんな感じでした。子供のころは 23歳で結婚して24歳には子供がいて……と考えていたのですが、今は目の前のことを大事にしたいと考えています。
今を大切に生きるというのは今回の映画のテーマでもあります。読者の皆さんにはぜひこの映画を観ていただき、お子さんや大切な人との心の架け橋になってくれたらいいなと思います」
土屋太鳳を知る6つのキーワード
●ブログ
太鳳クンのブログは、かなりの長文で毎日更新されている。2年前から決めたそうで、読者からのコメントに教えられることも多いとか
●バスケ
小中学生のころはバスケ部に所属していたため、ふくらはぎは筋肉質。コンプレックスだったが、今はチャームポイント だと思えるという
●酔っ払い
小学四年生のとき、学校の演劇会でセリフもない酔っ払いの役を演じ、好評。そこで他者を生きる魅力を知り、女優を志 すようになる
●焼き肉
好きな食べ物。小学五年で受けたオーディションでは審査が 終わるたび、落ちると思っていたので「お疲れ焼き肉」をして いたが、見事合格
●メロンパン
ドラマ『真夜中のパン屋さん』で、メロンパンを食べ るシーンがあったが、うまくできずに2時間。本気で 仕事を辞めようと考えたそう
●チュウチュウマン
幼稚園から小学校の低学年のころまでのあだ名。相手が誰でもすぐに頬にキスをしてしまうことから。人とくっつくのが好きだった
つちやたお 1995年2月3日生まれ 東京都出身 2008年映画『トウキョウソナタ』にて銀幕デビュー。その後ファッション誌でモデルを務めつつ、女優としてドラマ、映画、CMなど多方面で活躍。'15年4月からのNHK連続テレビ小説『まれ』に出演して脚光を浴びる。現在、ドラマ『下町ロケット』(TBS系)に出演中。高野苺原作で累計300万部を記録した人気漫画の実写版映画『orange―オレンジ―』で主演を務める
(週刊FLASH 2015年12月22日号)