
Adoのベストアルバム(写真・公式サイトより)
10月14日、ユニバーサルミュージックが公式サイトに《Ado「愛して愛して愛して」ミュージックビデオに関するお詫び》という文書を公開した。
《このたび、2025年4月に公開したAdoの「愛して愛して愛して」のミュージックビデオ(以下、MV)におきまして、弊社による自主的な調査の結果、動画の赤卵氏とイラストのさしみやま氏のユニット「さしたま」様のクリエイティブの一部を無断で使用していたことが確認され、その対応として、弊社判断により公開を停止いたしました》
この楽曲は今年4月に発売された『Adoのベストアドバム』に収録されたカバー曲で、元々はボカロPのきくおの楽曲。さしたまによるオリジナルMVも先に公開されていた。
「ユニバーサル ミュージック合同会社と、Adoの所属事務所である株式会社クラウドナインが連名で文書を出しています。2023年にAdoがカバーバージョンを発表し、今回のベストアルバムに合わせてMVを制作したんですが、オリジナルMVをオマージュする過程で“クリエイティブの一部を無断で使用”したと判断したようです。レコード会社側が自主的な判断で公開を止めた形になります。
クリエイター側からの指摘ではなく、どの部分が無断使用に当たるのかは公開されていません。ただ、SNSなどでは公開直後から比較動画が上がっており、イントロ頭から“愛”という手書き風の文字がほどけて拡散するなど、類似性があったのは間違いなさそうですね」(芸能記者)
Xでは、今波紋を広げている江口寿史氏の“トレパク騒動”の影響を指摘する声もあがっている。
《江口寿史案件が他社でも出てきたのか》
《江口寿史のトレパクが燃えまくってるから色々言われる前にちゃんと処理ってのは正しいね》
《ここにも江口寿史氏の著作権問題が微妙に影を落としてるのは明らか。時流を変えてしまったのだろう。その方がまともではある》
“トレパク騒動”の発端は9月20日に江口氏が自身のXで公開した中央線文化祭のポスタービジュアル。女性の横顔が描かれたイラストに、文筆家の金井球が自身の画像の無断使用ではないかと問い合わせ、江口氏が《中央線文化祭のイラストは、インスタに流れてきた完璧に綺麗な横顔を描いたものですが、ご本人から連絡があり、アカウントを見てみたらSNSを中心に文筆/モデルなどで発信されている金井 球さんという方でした。その後のやり取りで承諾を得たので再度公開します》と説明。これが大炎上した。
「最初から江口さんサイドから許可取りをしていたのであれば理解できますが、描かれた側が後から連絡して事後的に決着をつけただけですからね。日本を代表するような大御所イラストレーターのあまりに雑な仕事にがっかりしたという声が続々あがっています。
さらに、この炎上をきっかけに江口さんの過去の作品の“元ネタ”とされる画像が次々とネットで話題になり、収拾がつかなくなりました。デニーズやZoff、エドウィンなどの大会社の広告案件でもトレースが指摘され、各社は事実関係を確認するとして広告掲載を差し止めました。これほど大きなトラブルになっているにもかかわらず、江口さん本人は現在まで正式なコメントを出していません」(前出・記者)
結果、明らかになったのは、いわゆる“パクリ”に対してネットユーザーが非常に厳しいということだ。
「AdoさんのMVは、公開からすでに半年も経っていました。このタイミングで突然謝罪したのは、江口さんの騒動の影響で権利関係を“再点検”した可能性はあるかもしれません。同社は再発防止策の徹底なども発表しており、《制作物の公開前の、法務による事前確認のプロセスを社内周知》など、複数の方策を取るとしています。イラストや動画を扱う業界関係者は非常に神経を尖らせているでしょうね」(前出・記者)
今後も“オマージュかパクリか”をめぐる議論は頻発しそうだ。