武田鉄矢
名作の続編は「普通にまぁまぁおもしろい」ぐらいなら、作らないほうがいいのではないか。『102回目のプロポーズ』(フジテレビ系)のことだ。
本作は、1991年に武田鉄矢と浅野温子がダブル主演して、最高視聴率36.7%を記録した大ヒット恋愛ドラマ『101回目のプロポーズ』の正当続編。
FODでは3月19日(木)から配信スタートしていたが、4月1日(水)に地上波放送もスタートした。筆者はFODで第3話まで視聴済だが、本記事では第2話以降のネタバレはしていないのでご安心を。
■前作主人公夫婦の一人娘がヒロイン
今作は唐田えりかと霜降り明星・せいやがダブル主演。ほかには伊藤健太郎や、前作で主人公を演じた武田鉄矢らが出演している。
星野達郎(武田)は最愛の妻・薫(浅野)を10年以上前に亡くしていることもあり、手塩にかけてきた一人娘・光(ひかる/唐田)を溺愛していた。
達郎は小さな建設会社を経営しており、そこに中途採用で入社してきたのが空野太陽(せいや)。太陽は光が達郎の娘だとは知らぬまま恋に落ちるというストーリー。
さて、筆者は前作『101回目~』の大ファン。数多ある国内ドラマのなかからマイベスト10を作るとしたら、確実に『101回目~』は入れるだろう。
そんな前作ファンの視点から言わせていただくと、『102回目~』は悪い意味で、いろいろと “切ない”。ストーリーが切ないというわけではなく、作品自体に切なさを感じざるを得ないのだ。
■もちろん “よかったところ” もある
先によかったところをあげておこう。
まず、とにもかくにも武田鉄矢がいい。初登場の瞬間から “達郎” で、違和感なく『101回目~』の世界観に引き込んでくれた。令和のこの時代に昭和脳で暴言を吐くというキャラになっているが、それもコミカルでおもしろく仕上がっている。
ヒロインの父であり、前作の主人公であり、コメディリリーフとしても機能している武田の存在なくして、この続編は成立しないだろう。
そして、男性主人公を演じるせいやもいい。
演技がうまいかどうかは別にして、彼が演じる太陽は真面目だが不器用で、突拍子もない行動を起こす非モテキャラなので、せいやに激ハマりしている。また、太陽と達郎は絡みが多いのだが、せいやと武田の掛け合いはまるでコントのようで小気味よい。
ほかにも、前作で薫の妹を演じていた田中律子もレギュラー出演しており、出番も多いので前作ファンにとってはうれしいところ。また、達郎の弟を演じていた江口洋介はまだ劇中で写真が出てきただけだが、今後登場する可能性は高く、期待が膨らむ。
キャラクター以外で言うなら、ストーリーのテンポもいい。
本作は30分枠なので、各話の尺はおよそ23分。にもかかわらず、第1話では太陽と光が出会い、太陽が「まっすぐに! あなたを好きになってもいいですか!?」と告白するところまで描くというスピード感なのだ。
恋愛の機微をじっくり見たいというドラマファンには向かないかもしれないが、サクサク物語が進んでいくので見やすくなっている。
最後に、触れないわけにはいかないのが主題歌。前作と同じくCHAGE and ASKAの「SAY YES」が採用されているのである。
第1話の終盤で「SAY YES」のイントロが流れ始めた瞬間、否応なく鳥肌が立ってしまった。これはもう完全なる “正解” だった。
■感想は…普通にまぁまぁおもしろい
ここから悪いところをお伝えしていくが、その大半は先にあげたいいところの裏返しだ。
いいところは前作を踏襲していた要素が多かったからである。前作へのリスペクトを感じるし、筆者をはじめとする前作ファンはうれしいだろうが、この『102回目~』を単独作品として考え、前作未見で視聴したと考えたら、あまりよさを実感できないだろう。
名作の続編であることはいったん忘れ、本作のストーリーをフラットな気持ちで観たとしよう。決して「つまらない」わけではないのだが、率直に言って「すごくおもしろい」わけでもない。
第3話まで観た個人的な感想として、「普通にまぁまぁおもしろい」のだが、グイグイ引き込まれる感覚はなく、いまいちハマれないのである。
前作『101回目~』は、武田鉄矢がトレンディドラマで純愛ものを演じるという設定が非常に斬新だったし、各話の終盤の盛り上げが巧みだったため、とにかく続きが気になって仕方がなかった。
一方、今作『102回目~』は、ストーリーはテンポよく進むし状況はどんどん動いているのだが、前作を視聴していた際の感情の揺さぶられ方が大波だったとすると、今作は小波。恋愛ドラマの金字塔の名を受け継いでおいてこの程度なのかと、さびしく切ない気持ちになるのだ。
名作と比べたらかわいそうだという意見もあるかもしれないが、正統続編なのだから、比べるなというのは無理がある。
要するに、タイトルの期待値に中身が追いついていない。『102回目~』と名乗るならば、「普通にまぁまぁおもしろい」程度ではダメで、「圧倒的におもしろい」レベルでなくてはいけなかったと思う。
■不倫愛にひき逃げ…スネに傷を持つ
女性主人公を演じる唐田えりかと主要キャラの伊藤健太郎についても触れておこう。
唐田と伊藤の演技が悪いわけではない。しかし、すごくいいというわけでもない。この2人の演技についても、ただの恋愛ドラマならば気にならないだろうが、伝説のドラマの続編で、可もなく不可もなくというのはいただけない。
しかも、言わずもがな、唐田は2020年に東出昌大との不倫愛を報じられ、伊藤も同年にひき逃げ事故を起こしている。役は役であり、俳優と演じるキャラは別人格だから問題はないのだが、どうしても過去のスキャンダルが脳裏をよぎってしまうから、やはりこの2人が誠実な役柄を演じるというのは少々引っかかる。
スネに傷を持つ俳優を起用するなら、圧倒的な演技力で負のイメージを払拭してもらいたかったのだが……。
テレビ黄金時代の財産とも言える伝説のドラマの続編に、マイナスイメージが色濃い役者をキャスティングせざるをえないのが、“いまのフジテレビ” なのか。それもなんだか残念な気持ちになり、切ないのだ。
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