
『恋におちて』のヒットで知られる小林明子(写真・本人提供)
トランプ米大統領によるイラン攻撃をきっかけに、原油価格の高騰や物流の混乱は、世界に広がっている。英国・ロンドンに暮らすシンガー・ソングライターの小林明子に、現地のリアルな現状を聞いた(以下、本人談)。
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私にとっていちばん大きかったのは、日本への渡航への影響でした。ちょうど仕事で帰国するタイミングと重なってしまったからです。ヨーロッパから日本へは直行便もありますが、中東経由の便が一般的で、料金も半額程度で行けることが多いんです。
ただ、その中東経由のルートであるドバイやドーハ、アブダビといった湾岸の都市を通る便が、開戦と同時に運休やルート変更が相次ぎ、利用できない状況になりました。いわば、アジアとヨーロッパを結ぶ大動脈が止まったような状態で、多くの利用者がキャンセルや変更を余儀なくされたのです。
その結果、どうしても移動しなければいけない人たちが直行便に殺到して、価格が一気に跳ね上がりました。通常であればエコノミーで550ポンド(約10.7万円)前後の中東経由便に対して、直行便は900ポンド(19.2万円)程度だったものが、一時的には3000ポンド(約64万円)近くまで上がったと聞いています。現在はやや落ち着いてきているものの、それでも直行便は7割ほど高い状態だといわれていますし、燃料費の影響で全体的に2~3割程度の値上がりは続いている印象です。私自身は事前にチケットを取っていましたが、それでも欠航になるのではないかという不安は強くありました。
私は車を持っていないので実感はありませんが、夫の話では、ガソリン価格も一時的にかなり上がったようです。ただ、その後はやや落ち着いてきているとも聞いています。むしろ住宅関連のほうが影響を感じていて、建材が入りにくくなり、工事が遅れるといった話も出てきています。コロナ禍で起きたような供給の滞りに近い状況が、再び起きつつある印象です。
生活面で切実なのは、日本食の入手についてです。イギリスでも日本食の人気が高まっていて、需要が増えているなかで、物流の問題も重なり、カップラーメンや調味料などが品薄になっています。私は毎日、納豆を食べるのですが、種類がほとんどなくなっていて、ふだんは5種類くらいあるのに、1種類しか残っていないという状態でした。
物流が滞ると、日本からの物資はすぐには入ってこないので、店頭の棚が空のままになることもあります。かりに状況が改善しても、届くまでには船で数週間はかかり、しばらくは厳しい状況が続くと思います。
現地の空気としては、まだパニックにはなっていません。ただ、ニュースで「どこどこのスーパーで品薄」といった情報が出れば、一気に買い占めが起きる可能性はあると思います。実際、こういうときはなぜかトイレットペーパーからなくなる、というのはコロナのときと同じですね。
全体としては、まだ生活が崩壊するような段階ではありませんが、物流やエネルギー、物価など、さまざまな面でじわじわと影響が広がっていて、この状況が長引けば、より深刻な形で生活に跳ね返ってくるのではないかという不安を強く感じています。
こばやしあきこ
1985年、『金曜日の妻たちへIII』(TBS系)の主題歌『恋におちて -Fall in love-』でデビュー。1992年、英国に拠点を移し、2001年に英国人会計士と結婚。2025年、デビュー40周年を迎えた
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