
元TBSアナの伊東楓さん(写真・本人提供)
トランプ米大統領によるイラン攻撃をきっかけに、原油価格の高騰や物流の混乱は、世界に広がっている。2021年、ドイツに移住した元TBSアナウンサーの伊東楓さんに、現地のリアルな現状を聞いた(以下、本人談)。
国の行き来が難しくなったことは強く感じています。私は仕事柄、ドイツから日本や他国へ移動する機会が多いのですが、この春に航空券を検索していたタイミングと戦争の勃発が重なり、一気に価格が跳ね上がりました。
燃料不足の影響で欠航も増えていて、実際にルフトハンザの子会社が燃料不足で全便欠航になったというニュースもあり、影響の大きさを実感しています。
物価については、ヨーロッパではもともとウクライナとロシアの戦争以降、さまざまなものが値上がりしていて、特にドイツは輸入依存度が高く、ガスや電気代の上昇が続いています。ただ、今回のいわゆるイラン・ショックで、電気代が急激に上がったという感覚はありませんが、「今後はどうなるかわからない」と不安視する友人は多いです。
実際に、デュッセルドルフに住む友人は、ガソリン代が今回の戦争で1Lあたり0.6ユーロ(約110円)上がったと話していました。
想定以上に影響は広がっていると感じています。周囲でも、この状況はしばらく収まらないだろうという認識は共通していて、今後さらに物価が上がるのではないかという不安も広がっています。
一方で、日々の生活のなかで強く感じているのは、物資よりも人に関わる問題です。ベルリンは国際都市なので、さまざまな国籍の人が暮らしていますが、戦争によって国籍や人種に対する見方が厳しくなっていると感じます。
ウクライナ戦争の際には、ロシア人の銀行口座が凍結されたという話もありました。今は紛争の影響で、ユダヤ系の友人たちは身の安全を守るために、公共交通機関を避けたり、名前を変えて生活したりと、非常に緊張した日々を送っています。日常の挨拶でさえ、相手の思想がわからないために個人情報を明かすことをためらうという状況を目の当たりにし、心が痛みます。
私には、どちらの側に立つという考えはありません。ただ、戦争が起きると特定の国の人たちがひとくくりにされ、レッテルを貼られてしまう現実があると実感します。
人の善悪が国籍で決められてしまうことには、強い違和感があります。ヨーロッパではこうした背景もあって、各地でデモが頻発しています。それは、罪のない人たちの「切実な声」でもあると感じています。
いとうかえで
2016年、TBSに入社し、アナウンサーとして活躍。2021年、絵本作家になるために退社してフリーとなり、初の絵詩集『唯一の月』(光文社)を上梓。同年、ドイツに移住
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