THE ALFEE
メンバー間の関係性、音楽性の変化、時代の流行――。あらゆる壁を越えなければ、グループが長年にわたって音楽活動を続けることはできない。
高見沢俊彦、坂崎幸之助、桜井賢による「アルフィー」は、これまでメンバーチェンジや活動休止を一度も経験することなく、毎年、新曲をリリースし、全国ツアーをおこなっている日本唯一のグループだ。
古希を迎えてもなお、活動を継続することができるのはなぜなのか? その秘密に迫る。
――毎年新曲を作り、全国ツアーを年間50本前後、この活動を続けるためには「健康」であることが欠かせません。秘訣はありますか?
高見沢 秘訣ってないんですよ。こればっかりは、親に感謝しかないですね。
桜井 それしかないですよ。
坂崎 運もありますね。だって、病気の人もなりたくてなってるわけじゃないから。
桜井 そうそうそう。
高見沢 それは気をつけようがないからな。
――定期検診は受けていますか?
3人 受けています。
――ライブの直前に、坂崎さんは高見沢さんに「血圧いくつ?」と聞かれたりすると。
坂崎 ステージに上がる直前ですよ。
高見沢 (坂崎の)おじいちゃんが血圧高かったんですよ。
坂崎 坂崎家はみんな高いんで。
高見沢 けっこう高いなと思ってて。ステージで、SEが流れてきて、急に「こいつ今、どれくらいなんだろう?」って思って。心配になるじゃないですか。聞いておこうかなと思って。
坂崎 (ライブが)終わってからでもいいじゃん。
高見沢 終わってからだと忘れちゃうじゃん。
桜井 今かよって。
坂崎 坂崎家はそういう家系だったんで、血圧は気をつけてますね。40歳過ぎてから、塩分1日7g以下とか、ラーメンはお汁全部飲んじゃダメだとか。
高見沢 えっ? ダメなんだ。
――食事面で気をつけていることはないですか?
桜井 ツアー中、辛いものは食べないですね。刺激的なものはお尻にきますからね(笑)。
坂崎 高見沢はもとが頑丈ですね。
高見沢 小学生のときは学校代表の健康優良児に選ばれたりしました。
坂崎 高見沢は、今でも自分の歯です。
高見沢 自歯に地毛です。でも、体調には気をつけてますよ。深酒はしないようにしてますし、暴飲暴食もなるべくしない。
坂崎 でも食いますよ。
桜井 お前、あれは暴食だよ!
高見沢 量がちょっと多いだけ。
桜井 リハーサルやっても1人だけ元気なんですよ。だから「ちょっと休もうよ」って言わないと大変。
――3人の衣装にも、「アルフィーらしさ」があると思うのですが、個人の趣味が反映されているのですか?
坂崎 これは、それぞれ勝手にしやがれって感じ?(笑)
高見沢 そうだね。3人ともそれぞれスタイリストがいるので、その人たちが考えてくれるものを着てる感じですね。
坂崎 2人の衣装に興味がないというのもある(笑)。
桜井 そもそも、高見沢のファッションは無理だなって思いますからね。
高見沢 でも、バラバラの方のほうがアルフィーらしいよな。
桜井 昔はよく言われましたよ、3人バラバラでわけのわかんないバンドだとか。いまは、「こういうのがアルフィーでしょう」って言われます。
坂崎 もともと、見てくれも三人三様で違いますからね。
――ヒットする前は、3人のファッションを統一しようとか、指南されそうですが。
高見沢 あんまり、見てくれやファッションばかり気にするようなバンドはだめだと思うんです。まず音楽がちゃんとしていないと、何を着たって馬子にも衣装じゃないですか。とはいえ、売れる前は、お金がなかったっていうのもあります(笑)。ギターや弦、レコードに使ったりして、衣装には全然使わなかった。坂崎はテレビに、セーターを着て出てましたからね。
坂崎 おしゃれなセーター(笑)。
高見沢 いや、普段着。でも、そういうのが気にならなかった。NHKの『レッツゴーヤング』でも、みんな普段着で出てる。アイドルがきれいな格好をしているのに、全然レッツゴーじゃない。
桜井 レッツゴーはいいんだよ。ヤングのほう(笑)。
高見沢 まだあのとき20代後半だからね。
坂崎 でも、さっきの音楽性と一緒で、それぞれ三人三様みんな違う。幅広い音楽性じゃないけど、「3人の個性があっていいです」って言われるけど、やっぱり「揃えろ」って言われていた時期はありましたよ。デビューのとき、お揃いの白いスーツを着たことが唯一あったんだけど、似合わなかったですね。
高見沢・桜井 ホント全然似合わなかった。
高見沢 あと、「ドゥファミリィ(DO! FAMILY)」(※原宿にあった、日本のフレンチカジュアルの草分け的存在)でTシャツを揃えたこともありました。
坂崎 その2回だけです。
――高見沢さんの「王子様」のような衣装は、いつごろ始まったのでしょうか。
高見沢 高校のときにハードロックをやっていて、デヴィッド・ボウイやT・レックスのように、グリッターでキラキラ衣装のグラムロックの真似事をしてたんです。バンド改革したので、またやってみようかなと、段階を踏んで王子衣装になりました。『メリーアン』の1982年ごろ、リストバンドを桜井に「格好いいからつけてみろよ」と貸したら、知らないうちに桜井がメタラーの格好になってビックリしましたよ。
坂崎 やりすぎた?(笑)
桜井 いくとこまでいきました。もう今は忘れ去られていていいんだけど、『星空のディスタンス』のころが、いちばんメタルでしたね。その後、『恋人達のペイヴメント』のとき、メタルの衣装では曲に合わないなと思って、そこからスーツになりました。
高見沢 1985年の横浜スタジアム3DAYS(1985年8月27・28・29日)のときは、まだメタルっぽかったぜ。
桜井 そうだっけ?
坂崎 高見沢の今のキャラは、だいぶあとですよ。1980年代は(髪が)短かったし。
高見沢 2000年、『T×2 SHOW』(テレビ朝日系)という吉田拓郎さんとのトーク番組があったんです。そのときに、毎週衣装を着なきゃいけなくて、たまたまフリルのついたシャツを着ていたら、拓郎さんが「なんだお前、王子みたいだな」と言って、周りのスタッフも「王子」って言い出すんですよ。「やめてくれよ」と言ったんですけど、「王子」と呼ばれるとつい返事をするようになっちゃって(笑)。だから王子キャラは2000年以降なんですよ。もちろん『堂本兄弟』(フジテレビ系)の影響もありますけどね。
――高見沢さんがどんどん「王子」になっていく姿を、お2人はどう見ていましたか。
桜井 それはもう、お好きなように。
坂崎 エスカレートしてきたなって感じ(笑)。
高見沢 お互いに興味がないもんだから(笑)。ほったらかしですね。
――音楽を続けてきてよかったと思うのは、どんな瞬間ですか。
坂崎 やっぱりライブをやっているときですね。この歳になって音楽ができるのは、本当にありがたいことです。10代から音楽を始めて、みんなどこかでやめたり、卒業してお勤めしようとなるじゃないですか。70代で大きな歓声を浴びるなんてね。ちょっと想像もしていなかったし、ありがたいですね。音楽やってきてよかったなと思いますね。
高見沢 その歓声がパワーになるんです。お客さんから力をもらうから、ライブで返さなきゃいけない。コロナ禍のとき、無観客ライブをやったんですが、ほんとに疲れるんです。ライブ数本分くらいの疲労感。お客さんがいないと、ライブは成立しません。
坂崎 お客さんがいれば、あんまり疲れるとか思わない。無観客は最悪ですね。
高見沢 拍手や歓声がないと、音楽をやる意味がないもんね。横浜アリーナのような場所で無観客ライブやるのはキツいですね。
坂崎 よく言ってるんですけど、スポーツは勝ち負けがあるから、お客さんがいなくてもやれるじゃないですか。勝負だから。でも、僕らはお客さんに向けてやるものなので、練習とも違うし、すごく疲れるんです。
高見沢 コロナ禍に武道館でもやったよな。
桜井 やった。アリーナの真ん中で演奏して、スタンド席に照明を置いて、普段は絶対ありえない感じでした。
坂崎 逆手に取るしかないですから。配信でカメラの向こうにお客さんがいると思いながらやりましたけど。
桜井 本気で疲れました。
――いまはAIで音楽を作る人が増え、聴き方もサブスクリプションが中心になるなど、音楽を取り巻く環境が変わりました。AIが作る楽曲をどう思いますか。
高見沢 すごいなって思いますが、パターン化しているところがあったりして、興味はないですね。
――今日までに、AIで『星空のディスタンス』のような曲を作ろうと、プロンプトを何度も作り直して10数曲作りましたが、どうしてもできませんでした。
桜井 ALFEEはAIでも難しいんだ(笑)。
坂崎 AIは「無駄」ができないんだと思います。人間って無駄なことに感動するじゃないですか。人間は、100メートルを10秒切って走る人に感動するけど、AIが9秒で走っても感動しないじゃないですか。だから、僕らの音楽にも、どこかに無駄があるんじゃないですか。
高見沢 人間が作る音楽は、不完全なものなんです。AIは完全を目指すから、おかしなことになる。僕らは絶対に間違えるし、不完全で無駄も多い。だからAIには理解できないし、それでできたものはあまりおもしろくないんじゃないですか?
坂崎 「なぜここにこんなコーラスが入るのか」「なぜここにこんな生ギターが入るのか」とか。
高見沢 そうそうそう。
坂崎 そういうことは解らないんじゃないかな。
――3声のコーラスもできませんでした。
高見沢 普通に3声はいらないもんね。
坂崎 人間は無駄が必要ってことですね。
――新曲は映画『免許返納!?』の主題歌で、「免許返納」は、身近でリアルなテーマです。もし、アルフィーに定年が来るとしたら、どんなときですか?
坂崎 ギターを返納するときですかね(笑)。
高見沢 ギター返納か。でも、それはないんじゃないか。だって、(グループの)「解散はない」と言ってますからね。ライセンスを返すってことは解散じゃないですか。THE ALFEEという名前を返納することなので、僕らは、それは「ない」と言っていますから、返納はないですね。僕らの職業には定年がないですしね。
――最後に、最新シングル「Crossroad -愛の免許返納-」について。
高見沢 舘さんのゴージャスでダンディな感じを、イントロのブラスのメロディーラインで表現しました。コメディ映画だと聞いていたので、コミカルな男女の別れのシーンを物語にして。もちろん、アルフィーの3声コーラスも入っていますし、聴けば僕らだとわかる曲です。
坂崎 そのとおりでございます。
桜井 イントロを聴いただけで「ワオ」となります(笑)。
坂崎 映画のエンディングで聴いたら、また印象が変わるでしょうね。
高見沢 お前、まだ観てないだろう!
写真・福田ヨシツグ
ヘアメイク・野原ゆかり
衣裳協力・kiryuyrik(高見沢)
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