外出自粛の友「Netflix」おすすめドキュメンタリー総ざらい

Netflixオリジナルシリーズ『タイガーキング：ブリーダーは虎より強者？！』独占配信中

　男の名は、ジョー・エキゾチック。広大な土地で、多数の虎、ライオンなどの猛獣を飼い馴らす私設動物園の園長だ。1980年代のD・ボウイのような髪型で、2人の男性と同時に結婚し、カントリー歌手でもあり……。

　そんな「彼」をめぐる犯罪ドキュメンタリーが、いま話題を集めている。動画配信サービス「Netflix（ネットフリックス）」が配信する、『タイガーキング：ブリーダーは虎より強者』だ。

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「登場人物がヤバい人ばかり。虎を飼うことが、自己顕示欲を満たす世界があるなんて驚きますよ。中心人物のジョーは、虎の殺傷や違法売買、殺人依頼の罪で有罪判決を受けて、現在服役中。犯罪者を大きく扱う作品というのも、ほかではなかなか見られません。

　世界的にも第一級のクオリティで、かつきわどいテーマを扱ったドキュメンタリーが見られることは、Netflixの醍醐味だと思います」（映画ライター・稲田豊史氏）

　Netflixといえば、世界190カ国で約1億8300万人（2020年4月時点）のメンバー登録数を誇り、日本には2015年に上陸した業界大手の動画配信サービスだ。

「Amazon プライム・ビデオ」や「Hulu」と肩を並べ、映画やドラマが定額で見放題。スマホやパソコンでの視聴のほか、専用機器でテレビ画面に動画を映し出すこともできる。

　ほかの動画配信サービス同様、ハリウッドのメジャー作品から国内の作品まで幅広く扱うが、とくに目を見張るのが、前出の『タイガーキング』をはじめとする、オリジナルドキュメンタリーの充実度だ。

『ストレンジャー・シングス 未知の世界』『全裸監督』『ROMA/ローマ』『アイリッシュマン』などは、近年、世界的に人気となったシリーズ・映画作品だが、これらも、Netflixが製作したオリジナル作品である。

「時間のあるときもないときも楽しめるのが、Netflixのドキュメンタリーの魅力」だと、稲田氏は言う。

「10数分で完結するものから、1本2時間というものまで、作品の長さはさまざま。放送枠にとらわれない、動画配信サービスならではでしょう。一人ひとりのスケジュールに合わせて見やすいと思いますよ」（稲田氏）

　また、「現代社会ならではの “闇” を垣間見られることも魅力」とすすめるのは、映画ライターの常川拓也氏。

「『FYRE：夢に終わった史上最高のパーティー』や『アメリカン・ミーム』は、SNS社会の裏側に迫った良作。ある意味ホラーでした（笑）。また、『レボリューション　米国議会に挑んだ女性たち』のような骨太の作品もあります。アメリカの現実が、丁寧に描かれています」（常川氏）

　多彩なオリジナル作品のラインナップを、Netflixはどう実現しているのか。

「アメリカだけではなく、世界約100拠点の制作チームが、独自にコンテンツを制作しています。クリエイター主導で作品を作り、幅広いジャンルを揃える戦略。極端な話、映画の脚本をシリーズ用に変更したり、スタジオとしてのフレキシビリティも重視しています」（広報担当・東菜緒さん）

　ドキュメンタリー作品でも、アカデミー賞を受賞した。

「ロシアのドーピング問題に迫った『イカロス』が、第90回アカデミー賞の長編ドキュメンタリー賞を受賞しています。“危険” なものを含めて、テーマ設定にタブーはなし。ただ、『ポルノや若者の自殺を誘発するような作品は作らない』というポリシーはあります。

『テーマがニッチだ』と言われることはありますが、世界中の視聴者が見てくだされば、“グローバルなニッチ” 。もはや大きな層ですし、ニッチであるほど、オリジナルドキュメンタリーとして取り上げる意義があると思います」（同前）

　次のページで、視聴方法と稲田氏と常川氏が推薦するNetflixのオリジナルドキュメンタリー作品を紹介するので、ぜひ作品選びの参考にしてほしい。あなたのニッチも、埋まるかも。